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マイクロフォーサーズは小型軽量、機動力で差別化

パナソニックは2021年5月26日、LUMIX「GH5 II」の発売と「GH6」の開発を発表した。特にGH5 IIはAFの改善や手振れ補正、無線ライブ配信を搭載し、開発発表のGH6は、5.7K60P 10bit撮影対応を表明とかなり気合が入っている。GH5発売から4年ぶりの久々のマイクロフォーサーズ上位モデル発表とあって話題だ。

そんな話題の発表製品について、パナソニックのコンシューマーマーケティング ジャパン本部 イメージング商品 マーケティングマネージャーの伏塚浩明氏とマーケティング担当 主務の中西智紀氏に話を聞くことができたので紹介しよう。

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GH5(左)とGH5 II(右)

――新GHシリーズが発表されまして、「待っていました」と言わんばかりのSNS投稿をよく見かけます。マイクロフォーサーズの人気は衰えていませんね。この反応をどのように思われますか?

伏塚氏:

どちらかというとカメラ業界はフルサイズ機の注目度が高く、マイクロフォーサーズ機は各社フラッグシップモデルがしばらく登場しなくて「どうなの?」と思われがちでした。そのような状況に新GHシリーズ発表という形でお答えできて、かなりポジティブな反応をいただくことができたと思います。今回の発表がさらなる盛り上がりのきっかけになれたらと思ってます。

中西氏:

盛り上がりや注目していただけるのは、ありがたいと思ってます。実際は発表したばかりで本当の評価はこれからだと思いますが、この勢いで盛り上がりが続いていければと思っています。

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パナソニック アプライアンス社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 イメージング商品 マーケティングマネージャー 伏塚浩明氏

――フルサイズのSシリーズには動画専用のS1Hやコストパフォーマンスの高いS5がありますが、マイクロフォーサーズとの棲み分けをどのように考えていらっしゃいますか?

伏塚氏:

フルサイズは大判センサーを生かした描写性や耐性に優れた感度の利点がありまして、それを生かした形の商品づくりや商品ラインナップがあると思います。マイクロフォーサーズは、レンズのシステムを含めた小型軽量で機動力が1つの大きな特徴になります。

そういった形では、フルサイズはとことん描写性能にこだわるラインナップ、マイクロフォーサーズは機動性を重視したラインナップに棲み分けできると思っています。

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パナソニック アプライアンス社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 マーケティング担当 主務 中西智紀氏

内部の基板を一新。回路設計や電気系はほとんど新規開発

――これまでGH5の高感度バージョンを「GH5S」と命名してきたことがありますが、今回の新製品をGH5 IIとつけた意図を教えてください。

中西氏:

GH5は、ビデオグラファーを中心とした幅広いクリエイターの方に多く使っていただきました。その一方、長時間のライブ配信を安定してできることから著名なチャンネル登録者数の多いYoutuberの方々にもご愛用をいただきました。

そこで今回の後継機種の開発にあたっては、お客様から頂いたご意見をもとに、大きく2つのラインに分けました。1つはより高度な映像制作の現場で活用いただけるカメラ。もう1つは、動画の基本性能を向上させながら、昨今伸長しているライブ配信をより簡単にできるカメラの2種類を開発することになりました。これまでのGHシリーズは数字のナンバリングで世代を表していましたが、2本の枝分かれで機種の名称は社内でも論議になりました。そこで1機種は今までの法則と違うGH5 IIと言うことでネーミングを分けさせていただきました。

決して我々はマークIIをマイナーチェンジだとは思っていません。後継機として素直な名称のひとつというふうに思っています。

――GH5 IIは「マークII」という名称のために、マイナーチェンジと思われがちです。GH5 IIはGH5に比べて中身的にはどの程度、変更されていますか?

中西氏:

GH5 IIは、外見を見るとあまり変わってないように思われがちですが、内部の基板は一新しています。回路設計や電気系は新規開発がほとんどです。見た目の印象よりも、中身は全く違うものになっています。

――これまでのGHシリーズはプロフェッショナル向けの動画撮影を特徴としていましたが、それに加えて全く新規に無線ライブ配信に対応してきました。なぜライブ配信なのでしょうか?

中西氏:

ライブ配信はここ数年で流行してきていると思いますが、実現するのはとてもハードルが高いイメージがあります。その一方で、次世代移動通信システムの5Gが大変な勢いで進んでいます。遅延も少なくて、速度も高速ということでGH5 IIにライブ配信機能を業界に先駆けて搭載しました。

GH5 IIとスマートフォンだけあれば、ケーブルを一切も繋がずにライブ配信が可能です。屋外でライブ配信が簡単にできたり移動しながらライブ配信も可能な機能になります。

――業務の4KカムコーダーAG-CX350でライブ配信対応を実現していますが、その機能を継承している部分もありますか。

中西氏:

当然プロフェッショナル機のテクノロジーを活かしながら開発をしていますが、プロ機と民生機ではユーザビリティで当然違ってしかるべきです。GH5IIは一般のお客様にもお使いいただきやすいように仕様の最適化やアプリケーションも独自に開発をしていくことで、さまざまな面において最終的には違う機能になっていると思っています。

――GH5 IIはGH5のバッテリーパック「DMW-BLF19」も対応します。これは嬉しいですね。

中西氏:

喜んでいただけて嬉しいです。マイクロフォーサーズ機の後継機ということで、従来のGH5を長らくご愛用具合をいただいた方もいらっしゃると思います。さらにGH5Sも、その前のGH4もユーザーの方なども含めDMW-BLF19を多数活用されている方がいらっしゃると思います。
もちろん新しいDMW-BLK22を使っていただくのが理想なのですけれども、以前のDMW-BLF19でも単純にバッテリー持続時間が違うだけで全く同じ動作が可能になっています。従来のレンズやバッテリーパックをそのままGH5 IIでもご活用いただければと思い対応しました。

GH6の本発表を期待してほしい

――動画記録時間無制限など一眼カメラの動画の可能性を切り開いてきたGHシリーズですが、後継機種の開発には相当なプレッシャーもあると思います。GH6の年内発売に向けて待ち望んでいる人に対して、メッセージがあればいただけないでしょうか?

伏塚氏:

GHシリーズは注目度が年々高まっているモデルになりまして、今回も前のモデルから4年も経っている中での発表になりますが、それだけに期待値が高く、プレッシャーも感じています。ただ、その期待に充分応えられるものを準備しております。

今回開発発表で公表させていただいたGH6のスペックは本当にごくごく一部のものです。まだまだ驚くような新しい機能を発表できるように開発を進めておりますので、是非本発表を期待して待っていただきたいと思っています。

中西氏:

今回の製品発表はGH5IIでしたが、もちろんGH6に向けてもさまざまな技術開発を進めています。マイクロフォーサーズシステムのユーザーの方に素晴らしいモデルお届けできるように開発を進めていますので、ぜひ登場を期待いただければと思っています。


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