AJA:CEO Nick Rashby氏インタビュー。ポータブルデバイス「ColorBox」開発意図や特徴とは[Inter BEE 2022展示レポート]

AJAのCEO、Nick Rashby氏

AJAブースではコンパクトで高性能なカラーマネージメント用コンバーター「ColorBox」が展示されていた。AJAのCEOであるNick Rashby氏にColorBoxの特徴などについてお話を伺った。

――ColorBoxの概要を教えてください

Rashby氏:

ColorBoxは、HDRも含めたカラーマネージメントのためのコンパクトなコンバーターです。非常にハイクオリティな4K対応デバイスで、映画やライブ収録の現場や、ポストプロダクション、スクリーンルームなどで、Colorfront、NBCU、BBC HLGのLUTによる処理パイプライン、そしてORION-CONVERTの非常にハイクオリティな浮動小数点演算での色変換などをほぼ遅延なく確認できます。

――遅延が非常に少ない、というのもポイントでしょうか

Rashby氏:

多くの技術的なリソースを費やし、演算にかかる時間を1本の走査線の半分の時間にしたことで、ほぼリアルタイムまでの遅延に抑えることができました。これにより、ライブプロダクション環境でスイッチャーの許容範囲に収めることができている点もColorBoxのポイントだと思います。

――ColorBoxのその他の特徴を教えて下さい

Rashby氏:

Pomfort社のLivegrade Pro/StudioやAssimilate社のLive Looks/Live Assist、そしてSKAARHOJ社、CyanView社のコントロールパネルでのハードウェア制御など、幅広いアプリケーションとの統合が可能なので、現場で既存のワークフローを変更することなく、ColorBoxを導入して頂けます。
また、ネットワークポートを搭載しているので、ウェブブラウザを介して遠隔地からの制御も可能です。ウェブブラウザで処理する前後の映像をリアルタイムに確認できるので、リモートワークにも対応できます。

――ColorBoxのターゲットとなるマーケットを教えて下さい

Rashby氏:

ColorBoxは非常に柔軟性のある製品です。4K60P 10bit、BBC LUTなどでの放送やライブプロダクション、そしてRGB 12bitやColorfrontカラーサイエンス、各社ソフトウェア/ハードウェアとの連携など、映画の業界にもフィットする製品だと考えています。あらゆるタイプの映像制作で色にこだわりを持つお客様が、ColorBoxを活用いただけると考えています。

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――ColorBoxを開発する際にこだわった部分はどこでしょうか

Rashby氏:

我々はラックマウント型のHDR/WCGコンバーター兼フレームシンクロナイザーであるFS-HDRを数年前に発売していますが、ユーザーに話を聞く中でポータブルタイプのデバイス製品を撮影現場で使いたいというニーズが見えてきました。検討した結果、そういった小型のデバイスが様々なシチュエーションで活用できるという結論に至り、ColorBoxを開発しました。ColorBoxにはお客様からいただいた意見を元に搭載した機能がいくつかあります。例えば、ColorBoxで行った様々な作業の設定を、それに伴うLUTと共にメールでポスプロに送ることができるので、先方にあるColorBoxにデータを読み込ませることで同じ設定を完全再現することができます。
また、プロデューサーやポスプロでのダブルチェックを行うために、ColorBoxで行った作業のメタデータがオーバーレイされている静止画が提供できるようにしたいとのリクエストがあり、ColorBoxにはメタデータを焼きつけた16bit TIFFの4K画像の保存が可能なフレームストアの機能を搭載しました。このように、お客様が抱える課題やその解決策について共に考えることが製品を開発する上でとても大切だと考えています。