バーチャルプロダクションスタジオ紹介メイン画像

東京周辺で、LEDやグリーンバックを使ったバーチャルプロダクションスタジオの開設が相次いでいる。東宝、大映、日活などの撮影所内での開設が中心だが、中規模のスタジオ開設も少しずつ増えている。そこで各社利用可能なバーチャルプロダクションスタジオの特徴をまとめてみた。

(1)国内バーチャルプロダクションの映像制作を牽引する「Hibino VFX Studio」

バーチャルプロダクションスタジオガイド説明写真

Hibino VFX StudioはインカメラVFXに必要な機能を備えたバーチャルプロダクションスタジオだ。主にCM撮影、MV撮影、ドラマ撮影、配信イベント等に利用される。コンサート・イベント大型LED映像で数多くの運用実績を残しているヒビノだからこその、高品質なインカメラVFXシステム環境の提供を特徴としている。

また、指定の外部スタジオへ撮影に必要なシステムを持ち込み、最適な環境を構築することも可能。参画しているメタバースプロダクションでは技術面を全面サポートしているほか、「studio PX HIBINO」としても稼働している。

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■住所

  • 〒105-0022 東京都港区海岸2-7-70 ヒビノ日の出ビル3F

■LEDディスプレイの撮影エリアまたはグリーンバックの概要

  • 背景エリア:ROE Visual「Ruby1.5F」 全幅9m×高さ4.5m、W5760×H2880pixel
  • 環境光用ディスプレイ(天井):ROE Visual「Carbon3 MarkII」、幅6m×奥行4.8m
  • 環境光用ディスプレイ(側面):ROE Visual「Carbon3 MarkII」、幅1.8m×高さ3.6m×2式(移動可能)

■インカメラVFXのシステム

  • メディアサーバー:disguise「vx 4+」
  • レンダリング用サーバー:disguise「rx II」
  • 4K LEDプロセッサー:Brompton「Tessera SX40」

■カメラトラッキングシステム

  • stYpe「Redspy 3.0」

■スタジオ面積と天高

  • 面積:55.66坪/184m2(18.8m×9.8m)
  • 有効高:約5m

(2)Crystal LED Bシリーズを使用した常設スタジオ ソニーPCL「清澄白河BASE」

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ソニーのCrystal LED Bシリーズを使用した国内最大級(2023年5月現在)のメインLEDウォール(曲面形状+平面形状を組み合わせて配置)を備える。また、ソニーPCL独自開発「清澄白河BASE」制作シミュレーターの運用で、バーチャルプロダクションスタジオに入らずとも、オンラインでの撮影アングルの検討、簡易的なストーリーボードやプリビズ映像を作成することで制作効率の向上が図れる。自走式立体駐車場と直結する搬入出口を備え、秘匿性の高い車両撮影に対応するのも特徴としている。

■住所

  • 〒135-0014 東京都江東区石島2-14

■LEDディスプレイの撮影エリアまたはグリーンバックの概要

  • LEDディスプレイ 17280×3456pixel(横27.36m×高さ5.47m)

■インカメラVFXのシステム

  • レンダリングソリューション:Unreal Engine、SMODE(xRシステム)

■カメラトラッキングシステム

  • StarTracker、OptiTrack

■スタジオ面積と天高

  • スタジオ面積:約760m2(撮影エリア、ミーティングエリア、マシンルームを含む)
  • 天高:約9.8m(撮影ステージ床から天井までの高さ)

(3)次世代コンテンツを生み出す複合型撮影施設ニコンクリエイツ「平和島ステージ」

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ニコンクリエイツの平和島ステージは、ボリュメトリックビデオ撮影システムや大型LEDバーチャルプロダクションなどの最新技術が集結された複合型撮影施設として稼働中だ。モーションコントロールシステム「BOLT」を保有しており、バーチャルプロダクションスタジオと組み合わせて使用が可能。クリエイターが要望する様々なカメラワーク/映像表現に対応できるのも特徴としている。

スタジオ立地に関しては羽田空港近くに位置し、国内外/都心からのアクセスの良さも魅力。大型トラックもスタジオ内に乗り入れることが可能で、車をはじめとした大型物の撮影にも対応。照明や特機など機材搬出入も容易にできるので、効率良く撮影を進められるという。

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LEDバーチャルプロダクションインカメラVFX+モーションコントロールシステムBOLTの組み合わせ

■住所

  • 〒143-0006 東京都大田区平和島6-1-1東京流通センターB棟3F

■LEDディスプレイの撮影エリアまたはグリーンバックの概要

  • メインLED:横10.4m×高さ4.2m、W6528×H2592pixel
  • 天井部LED(環境光用):横6.0m×奥行4.2m ※昇降可能
  • サイドLED(環境光用):横1.8m×高さ3.0m×2式 ※移動可能

■インカメラVFXのシステム

  • レンダリングソリューション:Unreal Engine
  • メディアサーバー:disguise「vx 4+」「vx 2」
  • レンダリング用サーバー:disguise「rx II」
  • 4K LEDプロセッサー:Brompton「Tessera SX40」

■カメラトラッキングシステム

  • RedSpy
  • モーションコントロールシステムBOLT(FreeD)

■スタジオ面積と天高

  • 面積:102坪/337m2(28.3m×11.9m)
  • 有効高:約5.5m(梁下)

(4) 国内最大級のxR対応スタジオ「バーチャル・ライン・スタジオ」

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日活調布撮影所内にある日本最大級の常設グリーンバックステージ。スタジオ全面にRedSpyマーカー設置済みで、広いオペレーションスペースによりテクノクレーンなどダイナミックなカメラワークが可能。グリーンホリゾントとZero Density「Reality Engine」により高品質のリアルタイムキーイングを可能としている。

エンタメイベントや企業カンファレンスのマルチカメラによるリアルタイム合成ライブ配信、CM・MVのオンセットビズやポスプロ用カメラトラッキングデータ収録など幅広いジャンルにて多数の利用実績がある。

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■住所

  • 〒182-0023 東京都調布市染地2-8-12 日活調布撮影所内

■LEDディスプレイの撮影エリアまたはグリーンバックの概要

  • グリーンバック:約50坪(幅:約13m×奥行:約10m×高さ:約6.4m)

■インカメラVFXのシステム

  • レンダリングソリューション:Unreal Engine、Zero Density「Reality Engine」

■カメラトラッキングシステム

  • RedSpy

■スタジオ面積と天高

  • 面積150坪
  • 天高7.2m

(5)グリーンバックと大型LEDディスプレイを併用できる「代官山メタバーススタジオ」

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代官山メタバーススタジオは、xRシステムを用いたバーチャルプロダクションスタジオ。代官山駅から徒歩5分という立地や、コンパクトなスタジオサイズにxR機能を詰め込んでいるため、フットワークが軽く、様々なプロジェクトに取り組むことが可能。グリーンバックとLEDウォールの2パターンの設備も特徴だ。

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■住所

  • 〒150-0034 東京都渋谷区代官山町14番地23 セントラル代官山2F

■LEDディスプレイの撮影エリア

  • サイズ:幅4.9m×高さ2.4m 210 inch
  • 解像度:3072x1512pixel
  • ピッチ幅:1.5mm

■グリーンバックの概要

  • 幅10m×奥行6.5m×高3m、65m2

■モーションキャプチャー

  • システム:Realis RTS1000w(24台)
  • キャプチャエリア:10m×5m×高さ2.4m
  • モーションキャプチャスーツ(M)
  • 反射マーカー

■インカメラVFXのシステム

  • レンダリングソリューション:Unreal EngineとPixotope

■カメラトラッキングシステム

  • Stype RedSpy

■スタジオ面積と天高

  • スタジオ全体面積:約287m2(約90坪)
  • 天高:3m

(6)4社によるバーチャルプロダクションサービスを提供 TSP「芝浦海岸R&Dスタジオ」

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株式会社東京サウンド・プロダクションは、ビジュアル・グラフィックス株式会社、株式会社デジデリック、株式会社ブリッジリンクの3社と業務提携を⾏い、バーチャルプロダクションによる映像制作のサービス体制を強化。バーチャルプロダクションのトータルなサービスを提供していくことを⽬的に、バーチャルプロダクションの運⽤が可能なデモルームとしてオープンした。

各社の強みを活かし、1社ではできないトータルなコストパフォーマンスの高いサービスの提供を特徴としており、CG制作、LEDディスプレイの⽤意まで、バーチャルプロダクションの制作過程のすべてを網羅。バーチャルプロダクションの可能性を、4社で引き出せるサービス展開をしていくという。

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■住所

  • 〒108-0022 東京都港区海岸3-18-1 ピアシティ芝浦ビル11F TSP撮影センター

■LEDディスプレイの撮影エリアまたはグリーンバックの概要

  • LEDディスプレイ:1.9mmピッチ 5m×2m

■インカメラVFXのシステム

  • レンダリングソリューション:Unreal Engine

■カメラトラッキングシステム

  • LinkBox

■スタジオ面積と天高

  • 面積:49m2(7m×7m)
  • 有効高:約2.3m