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Inter BEE 2023のヴィデンダムプロダクションソリューションズのブースでは、Sachtlerのエントリーレベル三脚であるAceシリーズの新バージョン、「Sachtler Ace MkII」の展示が行われていた。
実はこの「Aceシリーズ」、これまでは日本とそれ以外の国では販売されているラインナップが異なっていた。海外では「Ace M」と「Ace XL」の2モデル展開なのに対し、日本では「Ace M」と「Ace L」だった。これは、永らく日本の映像業界で主軸となっていた1.8kg前後の、いわゆるハンドヘルドカメラに対して、ちょうどよいスペックを誇る「Ace L」を求める声が大きかったためだ。
だが、今回の「MkII」で、「XL」が従来の「L」のスペックをカバーする仕様となったため、日本だけの販売となっていた「L」の生産を終了し、「M」と「XL」の2機種にリニューアル、全世界で共通のラインナップとなる。
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デザインと機能の向上
新しいMkIIシリーズも前モデルと同様「M」と「XL」の外観上の違いはほとんどない。パン棒取り付け部の左上、「Ace」と書かれた部分に小さくMかXLと書かれているのみだ。
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前モデルからの最大の変更点は、アルミニウム製およびカーボン製の脚にキャリーハンドルが装着できるようになったことである。これまではフローテック以外の脚にはキャリーハンドルが装着できなかったのだが、今回のモデルチェンジで形状が変更された。またキャリーハンドル自体も同梱品となり、移動時の携帯性向上、撮影現場での利便性向上といった恩恵をユーザー全員が享受できることになる。
また、ドラッグノブの色が従来の銀色からスタイリッシュな黒色に変更されたことも大きな変更点だ。上位モデルである「FSBシリーズ」や「Aktivシリーズ」と同じ黒いノブに変更されたことで、重厚感と高級感が増したように感じるのは筆者だけではないはずだ。
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軽量化と強度の両立
Ace MkIIシリーズの特筆すべき進化は、一部の金属部品をガラスファイバー入り樹脂に置き換えたことによる軽量化である。
この素材変更は、強度を保ちつつも三脚の総重量を軽減し、特に屋外での撮影や移動が多いユーザーにとって大きなメリットとなる。
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XLモデルの特長:改良されたカウンターバランス
XLモデルでは、カウンターバランスが従来の0プラス7段階から0プラス9段階に増やされている。この改良により、より幅広いカメラ設定に対応可能となり、撮影の安定性が向上した。
また、水準器に新たに照明が追加され、暗い環境でも水準の確認が容易になっている。
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Ace MとXLの違い:脚部の材質
Ace Mモデルの脚部はアルミニウム製で、一方のXLモデルではアルミニウム、カーボン、フローテックの3つのバリエーションが用意されている。この材質の違いは、それぞれのモデルが対象とするユーザー層や用途に合わせた設計思想を反映している。アルミニウムはコスト重視のユーザーに、カーボンは軽量性、可搬性を最優先とするユーザーに、フローテックは素早いセットアップとローアングルからハイアングルまでを1台の三脚でこなしたいというユーザーにお勧めだ。
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