Inter BEE 2023で、NETGEARのブースは大きな注目を集めていた。
映像・音声信号をIP伝送する「AV over IP」システム構築の核となるProAVスイッチの新製品「M4350シリーズ」が展示されており、このスイッチを活用したサッカーのゴール判定システムのデモンストレーションや複数のProAVスイッチを一元管理できるソフトウェア「NETGEAR ENGAGE」の設定方法の解説が行われた。
ProAVスイッチによるゴール判定システムをデモンストレーション
NETGEARのブースでまず目を引いたのは、ゴール判定システムのデモンストレーションだ。4台のカメラと2台のスピーカー、センサーがLANケーブルでProAVスイッチと繋がり、昨年のワールドカップで話題になったゴール判定システムを再現していた。
メディアフロント・ジャパン株式会社および、株式会社アンリットの協力のもと、こちらのゴール判定システムのソフトウェアを開発したという。
■低遅延のIP伝送で実現できるリアルタイム解析
4台のカメラとセンサーがボールの動きを捉え、そのデータは低遅延の映像伝送方式「SDVoE」でゴール判定システムのソフトウェアに送信される。ここでNETGEARのProAVスイッチが重要な役割を果たし、ほぼ遅延なくデータ転送を行うことで、解析がリアルタイムで行われ、結果も即座に表示された。
ProAVスイッチを一元管理する「NETGEAR ENGAGE」
また、ブース中央では、複数のProAVスイッチを一元管理するソフトウェアNETGEAR ENGAGEのデモンストレーションが行われていた。
AV over IPシステムの構築をする際、規模が大きくなると複数のスイッチを管理することになる。本来ならスイッチ1台ずつの設定が必要だが、それらの制御、設定を一元的に行うためのソフトがNETGEAR ENGAGEだ。
下記より無料でダウンロードが可能となっている。
AV over IPシステム構築時には、Dante、NDI、SDVoEなど音声や映像を伝送方式ごとに1つずつポートへ設定する必要があるが、NETGEAR ENGAGE内にプロファイルが用意されているので、NETGEAR ENGAGE上で各ポートへの設定がクリック操作で可能。どのポートにどのケーブルが接続されているかもグラフィカルに確認できる。
実際のブースでのネットワーク構築でも、各スイッチの配線後にNETGEAR ENGAGE上で各種設定を行い、非常に役立ったとのことだった。
また、ネットワークに接続されているスイッチ、エンコーダーなどのIPアドレスがすべて画面上にリストで表示され、一目で確認できるところもこのソフトウェアが便利たる所以だ。さらに、接続されているネットワーク機器の写真を登録できるので、現場で機材の場所を確認することが容易になる。
NETGEARの今後の展望について
今後はNETGEAR ENGAGEのクラウド化を目指し、ソフトウェアのインストールなしで一元管理が可能な仕組みの検討を進めているという。
さらに、来年発売を予定している「M4350シリーズ」の2機種がSMPTE ST2110に対応することで、放送業界におけるNETGEARのProAVスイッチを用いたAV over IPシステムの構築機会が増えることが期待される。NETGEARはユーザーファーストなAV over IPソリューションを提供し続けており、その動向には今後も注目が集まる。