「無限の表現力と業務効率化で新たなステージへ」をテーマに、5つのエリアで新製品やソリューションを展開

Inter BEE 2023のパナソニック コネクトのブースでは、「無限の表現力と業務効率化で新たなステージへ」をテーマに5つのエリアで最新の映像技術と新製品ラインナップを用いたソリューションを展示した。

「無限の表現力と業務効率化で新たなステージへ」

  • 「映像制作ゾーン」
  • 「カメラシステムゾーン」
  • 「ライティングゾーン」
  • 「オフィスゾーン」
  • 「新しい価値体験ゾーン」

ブースの印象を一言で表現するならば「NAB Show 2023で発表(や参考出展)された製品やサービスが、半年ちょっとの月日を経てこの Inter BEE 2023 ではより詳細な情報と、より具現化された利用イメージを私たちが実際に目にして話を聞くできるものが多かった」と感じる。

パナソニック コネクトの展示製品のうち、注目製品を紹介していく。

第二世代へKairos Core 200/2000

Kairos Coreの第二世代 Kairos Core 200/2000が展示されており、多くの人の関心を集めていた。 第一世代と比較しても、映像処理パフォーマンスの向上、ファイルストレージ容量の増加などが実現され、大規模なライブ映像制作に対応可能な点がより強調された展示が行われていた。

Kairos Core 2000が展示

映像処理能力の向上

Kairos Core 200/2000は、その先代であるKairos Core 100/1000からGPUの映像処理能力が向上したことにより、レイヤー数も大幅に拡張され、より複雑で高度な映像表現が可能となった。

また、ME数やKEY数に制約されないエフェクトが使用可能なKAIROSの特長は、これによってさらに強化され、大規模な会場でのライブ配信における実用性の向上が期待される。

最大4面のマルチビューへ

Kairos Core 200/2000 は、1台のサーバーで最大4面のマルチビューを実現し、異なるプラットフォームの要件に応じた使いやすいマルチビュー設定が可能になった。


ライブ会場のサイネージやYouTubeなどのライブ配信プラットフォーム用の配信スイッチングにも対応するのはもちろんのこと、スタジアムや球場などの大型サイネージにも対応でき、広い画面比率で一枚の映像を制作できるため、多様な映像表現ができるようになった。

実際にプレゼンブースの大型サイネージはKairos Core 2000でコントロールしていた

「Kairos Core 第二世代 Kairos Core 200/2000」 動画レポート

カメラコントロールユニット「AK-UCU700シリーズ」

「Making Every Moment Live」のコンセプトのもと、様々なスタジオ収録のソリューションが展示

カメラシステムゾーンでは「Making Every Moment Live」をコンセプトに、多様なスタジオ収録ソリューションが展示されていた。スタジオ収録デモが実施され、そのシステムの中心となっているのが、この参考展示のカメラコントロールユニット(以下、CCU)「AK-UCU700シリーズ」である。

昨今、映像・音声の伝送規格のバリエーションが増えており、システム構築の選択肢が多くなっている。AK-UCU700シリーズではこの環境に合わせて、冗長性に優れたCCUである。

参考展示の「AK-UCU700」

多彩なIP規格に対応

従来のCCUでは、SMPTE ST 2110に対応していたが、今回の新シリーズでは、ネットワークオーディオ規格Dante、IP伝送規格であるNDI(High Bandwidth NDI)やSRT(Secure Reliable Transport)にも対応するという。

従来のHD運用に必要な系統を充実させた上で、次世代のIP伝送規格にも幅広く対応したAK-UCU700シリーズは冗長性をもたせたシステム構築が必要な放送業界にて、活躍が期待される。

多様な伝送規格に対応する

タッチパネル付き3.5型モニター搭載

フロント部分に3.5型タッチパネル液晶が搭載されており、プレビュー機能を備えているという。これにより、システムを組む際に別のモニターを用意しなくてもすぐに映像の確認をすることが可能になった。

また、CCUの設定もフロント液晶で行うことができ、従来のボタン操作に加え、タッチパネルで操作が可能になったことにより、より直感的な設定が行える。

タッチパネル操作でCCUの設定変更が可能に

「AK-UCU700シリーズ」動画レポート

コンパクトライブスイッチャー 「AV-HSW10」

発売がもうすぐそこに迫った AV-HSW10 の実機が展示された。

HSW10のフロントパネルはAW-HS50を思い出させるボタン配置のレイアウトだが、T型フェーダーとAUXバスで選択可能なクロスポイント列が備わり、クロスポイントボタンの押し心地はより良くなったと感じる。

豊富な入出力系統

入力は最大9入力となり、3G-SDIやHDMIのインターフェースと、High Bandwidth NDIやNDI|HXとSRTによるIP入力が可能。※1

出力は最大6出力で、3G-SDIとHDMI、High Bandwidth NDIやSRT、RTMPに対応する。※2
さらに、USB Video Class に対応した USB端子も搭載。ライブ配信だけでなく、ビデオ会議システムを用いたウェビナーの現場での出番も生まれそうだ。

※1 NDI|HXとSRTによる入力機能は今後のファームウェアアップデートで対応

※2 SRTとRTMPによる出力機能は今後のファームウェアアップデートで対応

自動色調整機能やNDI αチャンネル入力機能を搭載

入力された複数のカメラごとにバラつきが出がちなマルチカメラでの収録・配信映像の色味を、任意のカメラの色調に合わせ自動で調整する「自動色調整」機能や、イベント中の素材編集が簡単に行えるなど柔軟な運用に貢献する「NDI αチャンネル入力」の仕組みに大きな関心を寄せた。

透過度(αチャンネル)の情報を持ったテロップなどの素材をSDIやHDMIの入力を消費せず、PCからLANケーブル1本で直接入力できる「NDI αチャンネル入力」は現場の人には嬉しい機能となるだろう。

CG素材が利用しやすい「NDI αチャンネル入力」(説明動画)

屋外対応で4K60p撮影可能なリモートカメラ「AW-UR100GJ」

パナソニックがリモートカメラ発売15周年を迎え、業界シェア1位を獲得している。 そんな中で注目を集めたのが、屋外対応で4K60p撮影が可能な「AW-UR100GJ」だ。

パナソニックは、さまざまな用途に合わせた多彩なリモートカメラのラインナップを展開

過酷な環境下でも、高性能な撮影機能を発揮する

この屋外対応リモートカメラは、電動24倍光学ズームとデジタル10倍ズームを備え、過酷な環境下でも使用可能な堅牢性、高精度な映像撮影能力を有している。保護等級IP65に準拠し、塩害や極寒環境にも耐える設計で、デフロスターやワイパーも搭載。

4K60pの撮影が可能で、光学式画揺れ補正(OIS)、電子式ROLL補正(EIS)、パンチルト式画揺れ補正(D.I.S.S.:Dynamic Image Stabilizing System)の3つの揺れ補正の機能を備えており、風による揺れも抑えられ、スタジアムや屋外イベントでの利用が見込まれている。

豊富なインターフェースによるシステム構築の柔軟性

3G-SDI、12G-SDI、Fiberなどの映像伝送インターフェースに加えて、Genlock Inにも対応し、NDIやSRTなどのIPプロトコルもサポート。これにより、様々な撮影環境や映像制作システムに合わせやすくなっている。

スタジアム内にポールを立てて常設するケースは基本的な利用想定のひとつだが、AW-UR100GJ のD.I.S.S.などの補正機能を実演するデモンストレーションを目にしたユーザーからは「三脚につけて仮設(運搬が可能なかたち)で設置をして、SRTで映像を伝送してみたい」といったアイデアをフィードバックされるシーンもあったようだ。

色々な使い方が期待される「AW-UR100GJ」

リモートカメラで「内蔵」自動追尾が可能に

パナソニックコネクトのリモートカメラシリーズAW-UE40、AW-UE50、AW-UE80には、「内蔵」の自動追尾機能が搭載されている。

これまでのモデルでは、外部ソフトウェアと組み合わせることで自動追尾を実現していたが、これらのシリーズではカメラ単体でその機能が利用可能である。

シンプルなシステム構築が可能

自動追尾のオン・オフや設定などはリモートカメラのOSD画面、もしくは、リモートカメラ内に備わるWeb UIを通じてコントロールする形となり、外部ソフトベースの自動追尾で利用する自動追尾ソフトウェアやトラッキングPCは不要だ。

このことから「リモートカメラ内蔵の自動追尾」は、従来の外部ソフトベースの自動追尾に比べ、必要となるシステムの構築もシンプルとなり、構築に伴うコストも抑えることが期待できる。

追尾の反応速度も向上

また、「リモートカメラ内蔵の自動追尾」は、外部ソフトベースの自動追尾に比べて追尾の反応速度も向上し、より速い動きに対しての追従も期待できそう。

外部ソフトベースの自動追尾では(リモートカメラから送られた映像をトラッキングPCで解析し、その結果を再びリモートカメラへ返すといった)リモートカメラとトラッキングPCの間でのネットワーク越しの連携が必要となるが、「リモートカメラ内蔵の自動追尾」では(リモートカメラ単体で完結するため)その連携が無くなるから、とのこと。

内蔵自動追尾により、シンプルなシステム構築が可能

「リモートカメラ内蔵の自動追尾機能」は放送関係などのプロフェッショナルだけでなく、ビギナーの人でも企業の製品発表会や株主総会、セミナーや講習会といったウェビナーやライブ配信の現場においてもうまく活用できるだろう。

ソフトウェアプラットフォーム 「Media Production Suite」と有償プラグイン「Video Mixer」

オンライン講義、ウェビナー、学会、講演会などでのパナソニック製カメラの使用をより高品質かつ円滑にするソフトウェアプラットフォーム「Media Production Suite」が10月31日から提供開始された。

このプラットフォームは、映像機材に詳しくない初心者ユーザーでも容易に使用可能な、デバイスの一元管理・モニタリング機能を提供する。これにより、撮影現場でのカメラのセットアップ、管理、制御が効率化される。

同ソフトウェアプラットフォームの有償プラグインとして、クロマキーを必要としない映像合成が可能な「Video Mixer」のデモンストレーションが行われた。「Video Mixer」は、グリーンバック不要で被写体と映像を簡単に合成できるプラグインであり、複数カメラの運用も可能である。

AIによる背景と前景の差分認識

従来のクロマキー合成とは異なり、このプラグインは背景画像をキャプチャし、その画像との差分を分析して人物を認識し、映像を合成する。

この新しい映像合成技術は、屋外でも静的な背景があれば、色や形状に関わらず映像合成が可能である。細かい部分も高精度に映し出されるため、非常に精密な映像合成が可能となる。

「Video Mixer」での合成映像のキャプチャ。髪の毛など細かい部分もきれいに抽出されている。

直感的な操作で映像スイッチングが可能なGUI

このプラグインは映像合成だけでなく、映像のスイッチングも容易に行える。GUIは直感的で、クリック操作によりカメラ映像と合成映像の両方をスイッチングできる。

4つの映像入力が可能で、SDIのみならずNDI/SRTにも対応しているため、リモートカメラ運用にも適している。映像機器に精通していないユーザーでも豊かな映像表現が可能である点が注目される。

「Video Mixer」の管理画面

「Video Mixer」動画レポート

ハイブリッド会議や授業で起きがちな課題をシーリングアレイマイクロホン「WX-AM800」とリモカメ連携で解決する

2023年度第4四半期に発売が予定されているシーリングアレイマイクロホン「WX-AM800」。会議室や教室の天井に設置するタイプのマイクで、主に、ハイブリッドの会議や授業での利用が想定されているものだ。

天井に設置する「WX-AM800」

ハイブリッドの会議や授業で起こりがちなのは、リアルの参加者とリモート(オンライン会議システム越し)の参加者との温度差。その場に参加しているリアルの参加者は目の前の話者の表情や声のトーン、雰囲気を直接感じることができるが、オンライン会議システム越しの参加者はその雰囲気や温度感をリアルの参加者と同じように感じるのはなかなか難しい。

リモートカメラとの連携で、リアルとリモートの温度差を解消

WX-AM800は教室・会議室の天井に設置し、同時に複数人の会話を収音できるため、ハイブリッド環境でのスムーズなコミュニケーションを実現。複数のマイクに届く音量の差や到達した時間の差をもとに指向性を制御し、特定方向の音を強調するビームフォーミング技術で、狙った場所や話者の声を的確に収音でき、複数人の同時発話(最大4者)も対応する。

シーリングマイクにワイヤレスアンテナユニット(WX-AU202)を1台接続することで、1.9GHz帯ワイヤレスマイクを2本、シーリングマイクと併用して使用可能。ワイヤレスマイクでの室内拡声中は、シーリングマイクがエコーを低減し、オンライン先に自然な音声を届けることができる。

シーリングアレイマイクロホン「WX-AM800」(左)ワイヤレスアンテナユニット「WX-AU202」(右)

WX-AM800とパナソニックコネクトのリモートカメラが連携をすることで、シーリングマイクが発話者の位置を特定し、自動でリモートカメラの向きを切り替えることが可能だ。

これにより、リモート会議であっても、話者の表情や雰囲気を感じることが可能になる。

カメラのエリアは、シーリングマイクで16エリア、ワイヤレスマイクで2エリア設定できるためユーザーの使用用途や部屋のレイアウトにあわせてフレキシブルに対応可能。話者に応じてリモートカメラの向きが変わることで、リモート参加者に向けてもリアルの参加者が感じるのと同じような、より臨場感のある会議や授業を伝えることができる手段として活用できそうだ。