Inter BEE 2023キヤノンブースでは、様々なソリューション、新製品のデモンストレーションが行われていた。

カメラ1台で複数の視点を提供するオンライン会議ソリューションAMLOS

コロナ禍以降、ハイブリッドワークスタイルの中でオンライン会議の需要も増えているが、その際にリモートでの参加者と、実際の会議室にいる参加者とで板書や付箋など、視覚情報も含めた情報の格差が出てしまいがちだ。

AMLOSは1台の4K リモートカメラで撮った映像から複数の視点を提供することによって、その格差を埋めて会議をより効率的にして生産性を高めるソリューションだ。

会議室にキヤノンの4K リモートカメラ1台とAMLOS専用PCを設置し、会議室にいるスタッフがURLを発行することでリモートユーザーはブラウザを使って会議に参加することができるので、専用アプリのインストールなどは必要ない。

4K30p対応のキヤノン製リモートカメラ「CR-N300」

AMLOSではカメラが映している部屋全体の映像の他に、ホワイトボードなど範囲指定した箇所やプレゼンターの顔をトラッキングした映像などを1台のカメラの映像からデジタルズームで最大3つ同時に表示することができる。

ホワイトボードについては、前に立つ人物を半透明で表示させることで、板書を隠すことなく表示する。

また、机上にある商品やコルクボードに貼ってある付箋の内容などについては、ハンドジェスチャーを使って目的の部分に一時的にカメラをズームして撮影し、静止画を生成させることもできる。

こういった環境を提供することで、リモートでの参加者が会議室と同様な情報を得ることを可能にしている。

人物を透過させ、文字が隠れないように表示させることが可能

AMLOSはキヤノンの高画質リモートカメラや画像処理技術を活用した画像、映像コミュニケーションの一つと位置付けられており、日本でも販売に向けたテストマーケティングを開始している。

リモートカメラでの自動追尾

リモートカメラのエリアでは、今年の4月にリリースされた自動追尾機能のデモンストレーションをフラッグシップモデルとなるCR-N700にて行なっていた。

自動追尾機能を使うと、映っている人物を検出して自動でパン、チルト、ズームし、CR-N700であれば、後ろ向きなど顔が見えない状態でも頭部を検出して追尾することができる。

自動追尾のためのアプリケーションでは追従性について様々な設定が可能になっている。

画面に映す被写体のサイズを5段階で設定可能で、人物が前後に動くと自動的にズームをしてサイズを維持するようになっており、追尾する際の反応速度も10段階から選べる。

また、画面上で指定をした部分を、常に画角に残すようにする「優先表示領域設定」という機能もある。講義やセミナーなどで、資料の画像は常に表示させたいといったニーズに対応する。

左:センターにあるモニターを「優先表示領域」に指定。
右:人物が移動しても「優先表示領域」に指定したモニターが画角に収まるよう自動的に調整してくれる。

また、開発中の機能として、交錯動作対応での自動追尾のデモンストレーションも行われていた。

複数の人物が重なるように移動しても、指定した人物を追尾し続けるというもので、将来的には音楽ライブやスポーツなどでの使用を想定しているとのこと。

現在開発中の「交錯動作対応」のデモの様子

リモートカメラとコントローラーのタッチ&トライコーナーでは既存の機種と共に、新製品も展示されていた。

キヤノン製リモートカメラのラインナップ。屋外対応モデル「CR-X300」、ハイエンドモデルの「CR-N700」から、新発売のエントリーモデル「CR-N100」まで全ラインナップが並んだ。

リモートカメラのエントリークラス CR-N100

既存のCR-N300からSDI端子を省いた最もリーズナブルなモデルだが、4K30pでの撮影が可能だ。業務用途で複数台必要な場合や、文教や一般企業での運用も想定している。

CR-N100も加わったことで、ハイエンドからエントリークラスまで幅広いラインナップが整った。

ハイエンド向けコントローラー RC-IP1000

既存のRC-IP100との違いでまず目につくのは、物理ボタンが多く搭載されている点だ。

押し間違いの防止や、プリセットを多数登録したいといった、放送局などの業務の現場からのリクエストに応えたモデルとなっている。

また、モニターには接続しているカメラの映像を最大9台まで同時に表示することができ、画面上でのAF枠の指定も可能だ。

ワイドから中望遠をカバーし全域F2.8を実現するドリームレンズRF24-105 F2.8 L

従来キヤノンでは24-105mmはF4、F2.8が必要であれば24-70mmだったが、24-105mmでF2.8通しのレンズが誕生した。フォトグラファーの為の新定番レンズという位置付けとともに、ビデオグラファーに向けた仕様も充実している。

RF24-105 F2.8 Lではフォーカス、ズーム、アイリスそれぞれのリングが独立して採用されていて、アイリスリングはクリック感のないスムーズな動きになっている。もちろんカメラ側からのアイリスの設定も可能だ。

また、EOS C70などのオートアイリス機能にも対応している。そして全長固定なのでズーム時に前玉が繰り出すこともなく、撮影時のバランスも問題ない。

そして別売りのパワーズームアダプター PZ-E2/E2Bに対応している。E2Bは20pin端子が搭載されているので、様々なズームリモコンを使ったズームワークが可能となっている。

「RF24-105 F2.8 L」と「PZ-E2/E2B」を組み合わせることで、よりENGカメラに近い感覚でシネマライクな映像表現が可能となる。

シネマレンズ初のRFマウントを採用したPRIMEレンズ CN-R50mm T1.3LF

EOS R5C、C70といったRFマウントのシネマカメラが登場し、今までEF、PLマウントを採用していたシネマPRIMEレンズにもRFマウントが登場した。

RFマウントのシネマカメラユーザーは今までマウントアダプターを介してシネマレンズを使っていたが、変換アダプターを介さずダイレクトに装着することで堅牢性の向上、レンズのガタつきの軽減などが期待できる。

また、EF PRIMEレンズはEOS-LENS通信により、倍率色収差補正、周辺光量補正に対応していたが、RF PRIMEレンズでは、さらに歪曲収差補正機能へも対応する。

RFマウントのシネマPRIMEレンズは来年の1月から順次発売予定。

FLEX ZOOM レンズをSuper35mmセンサー搭載カメラに対応させるリレーキット RL-S1、RL-S2

フルサイズ対応ズームレンズであるFLEX ZOOMレンズ、CN-E20-50mm T2.4 L、CN-E45-135mm T2.4 Lは、撮影スケジュールの厳しいドラマなどでレンズ交換の手間を省きつつズーム全域でT2.4の明るさと高画質を提供し高評価を得ている。

これらのレンズをSuper35mmセンサー搭載カメラに対応させるためのパーツがリレーキットだ。リレーキットを使うことで焦点距離と最大口径比が変わり、全域でT1.7を実現する。焦点距離はそれぞれ14-35mm、31.5-95mmとなる。