北陸最大級の映像機器展「北陸放送機器展」が2024年9月2日から2日間、富山県民会館でスタートした。なぜ北陸で開催し、この展示会が北陸の中でどのような役割を果たすのか?同展示会を主催する神成株式会社の泉悠斗氏に話を聞いた。
――放送局と映像制作会社は表裏一体の存在です。富山に放送局は何局ありますか?
泉氏:
富山には現在、放送局は4つあります。日本テレビ系列の北日本放送、フジネットワーク系列の富山テレビ、TBSネットワーク系列のチューリップテレビ、あとNHKがあります。テレビ朝日系列はありませんが、石川県の北陸朝日放送をケーブルテレビ経由で視聴可能です。
富山の北日本放送は、全国の地方局よりも早くからデジタル地上波をスタートさせた歴史があります。そのため、日本テレビ放送網といえば一般的には4チャンネルですが、富山では北日本放送が早く開局したため、日テレ系列が1チャンネル、NHKは2チャンネルと3チャンネルです。
――富山の映像産業は盛り上がっていそうですね。
泉氏:
フリーのカメラマンなど活発です。富山からスタートして、今首都圏で活動中のカメラマンも結構いらっしゃいます。しかし、北陸には「放送機器展」は存在しませんでした。北陸は良くも悪くも、関西圏と関東圏のちょうど中間にあります。どっちでも行きやすい場所にはあるのですけれども、Inter BEEや関西放送機器展にしても、行きづらいという事情がありました。
そんな事情もありまして、北陸で放送機材を一同に見られる機会を作れないか?というご相談を様々な人からいただきました。そこで、企画をしたのが北陸放送機器展になります。
――北陸といえば石川県の金沢というイメージもあります。なぜ富山で開催を決定したのでしょうか?
泉氏:
北陸放送機器展を企画時に、金沢での開催も視野に入れていました。しかし金沢での開催だと、新潟や岐阜、長野から少し来づらくなります。富山には、岐阜からは東海北陸自動車道、新潟からは北陸道があります。金沢は、富山よりも時間がかかってしまうと考えました。新潟や岐阜のクリエイターの方も多く、できるだけ参加していただきたいと思い富山での開催としました。
――北陸放送機器展を主催します「神成株式会社」とはどのような会社でしょうか?
泉氏:
神成はもともと「神成防災有限会社」という法人で、5年前に「神成株式会社」に変わりました。その後、私も所属するAVC事業も発足し、「防災」「電気」「AVC」の3部事業に変わりました。
北陸自体に映像や音響の機材代理店はあまりありませんでした。しかしながら、私は高校生時代に、高校放送機器展を主催者として立ち上げた経緯もあり、メーカーさんとの数々のつながりがありました。そんな経験と人とのご縁もあって、北陸放送機器展は神成として主催をすることとなりました。
――北陸放送機器展開催を発表しまして、反響はいかがでしょうか?
泉氏:
メーカーさんから、予想を超える反響をいただきました。当初10社前後を想定して大会場1部屋で行う予定で考えていました。それが結果約30社を超える反響がありました。会場を大幅に拡大して開催となりました。
メーカーさんサイドとしても北陸のユーザーに対してアプローチしたいという思いは大きくあるようです。私からお声がけしたメーカーさんの中には九州放送機器展や関西放送機器展、VIDEOGRAPHERS TOKYOに出展しているところもあり、その出展メーカーさん同士の中でも「北陸放送機器展」について話題になったようです。それらの展示会後に、お問い合わせをいただくことが多数ありました。
――北陸放送機器展が目指したところや思いはありますか?
泉氏:
Inter BEEや関西放送機器展は、上長クラスが多く、若手クリエイターは少ないです。若手クリエイターが機材の情報を得られる場は、Webメディアベースや雑誌ぐらいしかないのが現状です。そういう若手クリエイターも富山に来て、交流できる場を少しでも作りたいという思いはありました。
――最後に、来年以降の開催など、今後の展望をお聞かせください。
泉氏:
2025年開催も考えています。来年も9月の第1週目を予定しています。2024年はスモールスタートのイメージでした。予定よりも大きな展示会となりましたが、来年以降はビデオグラファーの人たちを巻き込んで、もう少し展示会の裾野を広げたいなと思っています。
今年富山市内で初開催されたコスプレイベント「EN COS JAPAN 2024 in Toyama」に関しても各メーカーさん興味持ってらっしゃいます。例えばカメラステージの企画やコスプレショーの後ろのビジョンに展示してみるとか、被写体としても可能性があります。そういった様々な連携も取り入れていこうと話を進めています。