北陸放送機器展の会場の中でも、謎の機材展示でひと際目立っていたのがプロ機材ドットコムブースだ。北京国際ラジオ・テレビ・映画機器展「BIRTV」で展示されていた最新機材紹介の特設ゾーン「BIRTV特設コーナー」が大賑わいだった。今回は同コーナーに注目して、さらに詳しく紹介する。

国内では知られていない機材を一堂に展示した「BIRTVコーナー」

カメラバッグに詰め込めるスティックバルーン「HT-12C」

まずは、照明から紹介しよう。

APAROの「HT-12C」を見た瞬間、「欲しい」と思った。外見はスティックバルーン。点灯させるまでは応援バルーンに見えた。膨らませるとエアディフューザーになる。一応面光源となり、柔らかく均一な光の演出が可能だ。

中にはシートのLEDのテープが1列入っており、未使用時は折り畳むことが可能。この折りたたみ後のサイズにはびっくりだ。おそらくカメラバックに3つや4つ現場に持ち込むことができそうだ。マグネットを搭載しており、壁に装着して使うことができる。夜間撤収時の機材積み込み用照明としても使えそうだ。

操作パネルを搭載し、2500Kから6500Kの色温度やRGBまたはHSIでのフルカラー設定に対応する。内蔵の2600mAhリチウム電池を搭載して、フル充電時に最大75分間の連続が可能だ。

2500Kから6500Kの色温度の設定が可能
耐久性を備えたLEDビーズを搭載
折りたたむと小さくなる
小型だが操作パネルを搭載する
裏面にはカエルのキャラクターがプリントされている

バルーンを使用したディフューザーシステム採用APARO「Radi-12 Air II」

APARO Radi-12 Air IIは日本初公開だ。100WのAPAROで、過去の展示していたものと同じ空気入れて膨らませるライト。柔らかい光を特徴としており、人の肌を綺麗に見せることが可能だ。来場者したフォトグラファーから感想を聞いても評価は高かった。

空気入れてない状態はシートのLEDになる。持ち運びも軽いし、壊れないし、躯体も割れることもない。バルーンなので、子供写真スタジオで子供が万が一衝突しても、事故を最小限に抑えられる利点もありそうだ。

噂のライブストリーミングデバイスをワンパッケージ化「Osee GoStream Deck Kit」

Osee Technologyは、中国の映画製作者向けモニターと配信機器のメーカーだ。最近はライブストリーミングデバイス「GoStream Deck」が話題だ。ここで紹介するGoStream Deck Kitは、ストリーミングデバイスと14インチモニター、ケースを1つにまとめたセットにしたものだ。

GOSTREAM DECKのスイッチャー自体の評価は高い。NDIも入っていて、ATEMの「こうなってほしい」というポイントを全部改良してきている感じのデバイスだ。Tバー搭載でモニター出しもマルチビューとプログラムの2系統出せる。それでいて一体型を実現している。

ちなみに中国では、ATEM miniとモニターをケースに収納できる製品が各社から登場しており、モニターとセットにした一体型デバイスの種類は豊富だ。ただどれもウレタン素材でスイッチャーを覆っているために熱のこもりの問題をかかえる製品が多い。まるでスイッチャーを理解していない人がケースだけを作ったような製品が溢れている感じだ。

その点OSEEは、きちんとケースにファンを内蔵している。長時間起動していても熱くならない。他社の欠点もきちんと大型ファン搭載をして問題解決している。AC、DC、USBから電源を供給できるのも便利だ。4つのHDMI入力をサポートする。

OSEEは、11月のInter BEEにも単独でブース出展する(小間番号:5614)。今後の製品動向に要注目のメーカーだ。

好感度アップ間違いなし(?)「最強のデートカメラ」を実現できる50mmF1.8フルサイズファントムレンズ

ファッショナブルな写真がこのレンズで撮影可能になる

SG-Imageは中国・深センのレンズメーカーだ。ここで紹介するレンズの名称は「全画幅幻影镜头」。当記事では、「ファントムレンズ」と呼ぶことにする。

ファントムレンズは、「ハート型」「星型」「雪の結晶型「楕円型」をレンズのリングで形状選択できる。撮影後の背面モニターを確認してみると驚く。ハート型の絞り時には、点光源がハート形にボケる。絶対に盛り上がり間違いなしの交換レンズだ。この絞り形状で動画撮影を行えば、さらに盛り上がれるクリエイティブな動画撮影が可能だ。

SG-Imageはシネマレンズの開発も開始している。今後の動向に注目だ。

フェイストラッキングに対応するハイコストパフォーマンスな電動雲台

フェイストラッキング付きで約1万円前後で購入できる電動雲台だ。360°のパンと上下35°のチルトをリモコンで操作可能。雲台のカメラに向かってジェスチャーを送ると自動的にフォローショットしてくれる。PTZカメラを買わなくても、所有のカメラで自動追跡撮影が可能になるのは便利だ。

リモコンで角度の操作が可能

ワンマン撮影の際に、モニターを見ると「上半身のアングルがズレている」、スイッチャーの卓からは「カメラの角度をちょっと動かしたい」という場合がある。しかしカメラの微妙な角度修正は、大変面倒である。そんな悩みを、この電動雲台が解決してくれそうだ。

雲台に向かって「OK」のジェスチャーで追尾がスタートする
雲台に向かって「待て」のジェスチャーで追尾がストップする

ワンカメでリッチな映像制作を実現できる4Kバーチャルマルチカムスイッチャー「MC-4K」

SPROLINKは、中国のProAV業界で話題のメーカーだ。放送関連の機材も手掛けており、その中でも4Kバーチャルマルチカムスイッチャー「MC-4K」はかなり面白い。5.5インチタッチスクリーンを内蔵し、1つの4K入力の広い映像から4つのバーチャルクローズアップショットを制作できる。つまり、1カメで4カメ相当の撮影ができてしまう。

例えばスタジオで4人の対談を撮影するとする。4人の登壇者をまとめてワンカメ4K撮影して、4人にそれぞれにアングルを設定する。オペレーターさんはその都度切り替えることによって、マルチカメラを設定できる。

また、通常のマルチカメラは複数台現場に持ち込むのは困難で、カメラの色の調整も手間がかかる。それが1台で済むので、セッティングの早さも特徴としている。

NPFバッテリーをPDやD-Tapで給電できるカプラー登場

「ZGCINE」は、「ジージーシネ」と発音する。電源関連の製品を手掛ける中国・深センのメーカー「Shenzhen Zhengguang Imaging Equipment」のブランド名だ。

目を引いたのは、ソニーNP-FバッテリーをUSB-Cに変換できる給電できるカプラー「USB-C PD-NPFケーブル」と「D-Tap PD-NPFケーブル」。いろいろな場面で使えそうだ。

NP-Fのバッテリーは、照明やモニターでまだまだ採用している機材は多い。それらをUSB-CやD-Tapで充電可能になるのは便利だ。D-Tapのアダプターは、コネクターの角度を180°の回転が可能だ。

PoEの電力とデータをUSB-Cインターフェイスに変換する「PoE To USB Type-C Adapter」

PROCETは、PoEネットワーク電源製品の技術開発、製造、販売を専門とするメーカーだ。ここで紹介する「PoE To USB Type-C Adapter」は、PoEのスイッチHUBから電源を給電しつつ、USB-Cポートでパソコンにつなげることが可能なアダプターだ。PoE給電が可能で、ネットワークにも繋がる。

展示品は、10W、30W、60Wを展示。60Wモデルは、MacBook Proの動作にも対応しそうだ。スマートフォンやタブレットにも対応する。少し特殊なアダプターだが、需要はありそうだ。

被写体を素早く正確にトラッキングするAIトラッキング搭載「iSteady MT2」

Hohemは、ジンバル専門の中国のメーカー。2024年で創立10周年を迎える。 ジンバル業界はDJIが一強で、MOZA、ZHIYUN、FeiyuTechなど確かに健在であるものの一時の勢いに陰りを感している。そんな混沌としたジンバル業界の中で、輝きを放ちつつあるのがジンバル専門メーカーの「Hohem」だ。「一般向け」と「プロ向け」のジンバルを取り揃えていて、ブースで紹介していたのはプロ向けの「iSteady MT2」だ。

スマートフォンやさまざまなカメラと互換性の実現があり、撮影デバイスの変更、向きの切り替え、アクセサリーの取り付けを簡単にするクイックリリースシステムを備えている。

MT2が特に優れているのは、独立モジュールの磁気AIトラッカーを搭載しており、自動追跡を使用できる。OK、手のひら、親指を立てるなどのジェスチャーで写真や動画の撮影を制御が可能だ。