元々、All-In-OneモバイルビデオキットというのはSmallRigから代々リリースされていたシリーズものですが、今回の商品が特別なのは、インフルエンサーであり映像クリエイターのBrandon Li氏との共同デザインバージョンである点。ぱっと見のデザインは通常のAll-In-Oneモバイルビデオキットとそっくりに見えますが、付属パーツやグリップがかなり大きく違っています。
そもそもSmallRigのスマートフォンリグって?
SmallRigのスマートフォンリグは以前から有名でしたが、最近特にフィーチャーされるようになってきました。先日の新型のiPhoneの発表に伴ってリリースされた、iPhone 16 Proシリーズで撮影されたThe Weekndの新曲MVのメイキングで登場していたのは記憶に新しいです。
もはやAppleの伝統となっている有名アーティストのMVをiPhoneで撮影するシリーズ。去年のOlivia Rodrigoに続き、今年はなんとThe Weeknd
こちらはそのMVのメイキング
SmallRigの商品は実用的なデザインかつお安いお値段であることが特徴です。「痒いところに手が届く」商品という表現がピッタリでしょうか。
様々なスマートフォンが装着できるユニバーサルリグ
iPhone 15 ProシリーズからApple Logで撮影できるようになって以降、各社から様々なリグが登場するようになりました。SmallRig以外で特に代表的なリグだと、TILTAのTILTA Khronosがありますが、こちらは今回のAll-In-Oneモバイルビデオキットのほとんどの機能に加えて冷却機能が追加されている代わりに、iPhone 15 Pro、もしくはiPhone 15 Pro Max専用であるという点が違います。
今回のAll-In-Oneモバイルビデオキットはあくまでもユニバーサルリグ。iPhoneのみならずGalaxyを始めとする様々なスマートフォンに装着できます。
移り変わりの激しいスマートフォン業界ですが、今回のAll-In-Oneモバイルビデオキットを1つ持っておくだけで、スマートフォンが変わってもリグを買い替える必要がないのは大きなメリットと言えます。
M.2 SSDを搭載できるハンドル
今回のAll-In-One モバイルビデオキットの特徴とも言えるM.2 SSDを格納できるハンドル。ピストルに弾倉を入れるようにM.2 SSDを格納することができ、ハンドルのUSB-Cポートへのケーブル接続でスマートフォンからのProResなどの撮影データをM.2 SSDに保存することができます。
M.2 SSDはパソコンで使用される高速なストレージですが、All-In-Oneモバイルビデオキット(SmallRig x Brandon Li共同デザイン版)ではそれをM.2 SSDをハンドルに内蔵するという斬新なアイデアです。しかし、スマートフォンのバッテリーからハンドルに直接的に電力を供給されるために、スマートフォン本体のバッテリーの減りが早いことや安定した記録ができないこともありました。
SmallRigは、外部電源によるサイドハンドルとスマホ両方への給電を推奨しています。給電は必須と考えた方が良いでしょう。
PD 100W 充電ポート、USB-C 3.1、USB-C 2.0 インターフェース2つを搭載した4 in 1 USBハブ
様々なスマートフォン用のリグや、それに伴うSSD、マイクなどが続々と登場してきている昨今ですが、その中で一番悩ましいのは「配線」。スマートフォンにUSB-Cポートが1つしかない分、マイクやSSD、モバイルバッテリーをそのまま同時接続するのは不可能です。そんな中登場したのがこちらのUSB-Cハブ。
SmallRig以外にもスマートフォン向けのUSB-Cハブは続々と登場してきていますが、こちらのSmallRigのものはオスのコールドシューアダプターが備え付けられているのでリグへの取り付けが簡単。
調整可能な67mmマグネットフィルターアタッチメント
様々なスマートフォンを装着できる今回のリグですが、フィルターアタッチメントもiPhoneから始まり様々なスマートフォンに対応しています。
フィルター径は67mmと、超広角のレンズでもケラれにくい大型のフィルターサイズです。ただ、All-In-Oneモバイルビデオキット(SmallRig x Brandon Li共同デザイン版)ではマグネットフィルターのみの対応です。基本的にSmallRigのフィルターしか使うことができないことに要注意です。
ただ、例えば、別売りの「着脱式フィルターアダプター(Mマウント)67mm」などに付属するねじ込み式アダプターを使用すれば、今回のAll-In-Oneモバイルビデオキット(SmallRig x Brandon Li共同デザイン版)にも通常のねじ込み式の他社製のフィルターを使用することができます。
iOSとAndroidの切り替えができる、シャッターボタンとズーム&ボタンが付属したワイヤレスボタン
と、ここまでで機能が盛りだくさんのAll-In-Oneモバイルビデオキット(SmallRig x Brandon Li共同デザイン版)ですが、なんと、まだあります。それはBluetoothでスマートフォンと付属のワイヤレスボタンを接続できること。ただ、Bluetooth接続をしてワイヤレスでスマートフォンのシャッターを切るだけなら、以前から発売されているSmallRigのハンドルでも可能です。今回アップデートされたのは、ワイヤレスボタンでズームとフォーカスができるようになった点と、iOSとAndroidスマートフォンの操作を切り替えられるようになった点。
といった感じで、iPhoneographerとして欲しかった機能が盛りだくさんのSmallRig All-In-Oneモバイルビデオキット(SmallRig x Brandon Li共同デザイン版)ですが、いかがでしたでしょうか。もはやスマートフォンリグやパーツが群雄割拠となっている最近ですが、一番大事なのは自分のスマートフォンの撮影に何が足りないのかを見極めることだと思います。
ただ、今回のAll-In-Oneモバイルビデオキット(SmallRig x Brandon Li共同デザイン版)はそれがわからない人に可能な限りの機能を提供してくれるリグとして、ぜひおすすめです。
takumifone(山﨑拓実)|プロフィール
iPhoneographer、ビデオグラファー、ライター、ディレクター、エディター。企業のプロモーション映像やミュージックビデオなどをiPhoneで撮影し、iPhoneで撮影したようには見えない映像を制作することが主なお仕事。他にも、iPhoneでいかにシネマカメラのような映像を制作するかのセッティングに関するセミナーや記事執筆なども行っている。
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