iPhoneographerの山﨑です。今回は基本的にどのスマホでも使うことのできるスマートフォンリグの代表的なもの2つと変わり種1つを紹介したいと思います(メーカーによってリグのことを"ケージ"などと呼んだりもしますが、ここでは3社"リグ"という呼び方で統一させてください)。
SmallRig「スマートフォンビデオキット 3384B」
- スマートフォンビデオキット:税込23,599円
SmallRigはシネマカメラを使っている人にはお馴染みのメーカー。創業当初はリグなどのカメラのサポートパーツから始まり、今や照明やワイヤレスマイクなどを販売するようになった中国のカメラ機材メーカーです。そんなSmallRigが販売しているスマートフォンリグがこちら。
SmallRigは後述するBeastgripと違い、スマートフォンリグへの参入は後発だったのですが、今やApple公式のiPhone宣伝動画に当たり前の如く登場しています。
このリグの良い点は簡単に言うと
- 安い
- 手に入れやすい
- パーツが多めに接続できる
ところですね。まずこれはSmallRigの製品全体に言えることなのですが、製品の相場が他社製品と比べて安いです。そして日本の場合、公式のAmazonストアのみならずSmallRig公式HPからも購入できるので安心。
カメラのリグパーツなどといった比較的ニッチなものはメーカーによっては日本では手に入れにくい、もしくは高い送料を払わなければならないといったデメリットがあったりしますよね。しかし、SmallRigの製品は日本での販売経路がしっかり確保されています。
そして、パーツが多めに接続できるという点は、リグにコールドシューマウントが配置されており、1/4ネジの穴が所々空いているので、コールドシューはもちろんのこと、三脚やマイク、ライト、グリップなど多くのパーツが上記商品画像の通り接続することが可能、という意味です。
Beastgrip「Beastgrip Pro」
- 国内代理店:ケンコー・トキナー
- スマホ用カメラリグ Beastgrip Pro + アップグレードキット:税込23,000円
さて、2つ目のリグは前回の自分の記事から引き続き登場のBeastgrip Proです。登場から10年近く経ちますが、スマートフォンリグの中ではパイオニア的な存在です。
スマートフォンリグの歴史の中ではかなり初期に登場したのにも関わらず、未だにアップルの最新のiPhone宣伝動画の中にも登場しているベテラン。「ジョーカー」の撮影監督、ローレンス・シャーや、「デューン」の撮影監督、グリーグ・フレイザー、「ブレット・トレイン」の監督、デヴィッド・リーチ、「エイリアン」の監督、リドリー・スコット、「マン・オブ・スティール」の監督、ザック・スナイダーなど、ハリウッドの名だたるクリエイター達に使用されてきました。
このリグの良い点は簡単に言うと
- 丈夫
- スマートフォンリグの中では比較的コンパクト
- オプションでフィルターが装着できる
- 分解して使用できる
ところです。まず、自分はこのリグを2年以上前に購入したのですが、壊れる気配がありません。アクションカムのように比較的乱暴に撮影しても大丈夫です。
また、SmallRigなどの他社製のリグと比べると比較的コンパクトで、スリングバッグにすっぽりと入るサイズです。持ち運びに便利ですね。
また同社から販売されている58mm Filter Adapter for 37mm Mountを装着すれば、NDフィルターなどを装着できます。iPhoneで綺麗な映像を撮影しようとするとNDフィルターは必須なので、これは嬉しい仕様です。
また、ネジを外すことでリグを分解して使用することができ、必要な部分だけ使うという使い方もできます。
Zacuto「Smart Z-Finder」
- 国内代理店:銀一
- スマートZファインダー ディレクターズリグキット Z-SM-DR:税込101,200円
- マイクロブーム Z-MB:税込39,600円
3つ目にご紹介する、今回の変わり種のリグであるSmart Z-Finder。Zacutoというアメリカのメーカーのリグです。Zacutoは人間工学を重視したデザイン、一日中でも操作できる快適さを目指した商品を開発しているとのこと。確かに、このSmart Z-Finderを触ってみると、重さや運用しにくさといったものがなく、快適に操作することができます。
面白いのがこのリグ、ファインダーが装備されていること。日中の撮影でiPhoneの画面が見にくくてもファインダーの中を覗けばはっきりと画面が見えます。
また、ガンマイクを接続できる対応のマイクブームもあり、ワイヤレスマイクを使えない、使いたくない状況で役に立ちます。インタビュー撮影の際などにこれは役に立ちますね。特に街頭インタビューなどのランダムな人たちにインタビューをするとなった際、ガンマイクをカメラのコールドシューマウントに接続して録音をしようとすると、距離が近すぎたりマイクの角度が対象者と並行過ぎたり、ハンドリングノイズが入ってしまったりして、後で調整をするのが大変です。ランダムな人にピンマイクを付けることも短時間では難しいですしね。
三脚に取り付けると、パッと見映画「宇宙戦争(2005)」に登場するエイリアンの三脚歩行機械「トライポッド」を連想しました。スマートフォンで撮影するとなった際に、クライアントさんにプロらしさをアピールするためにもこういったリグのかっこよさは意外と大事だったりします。
もうすでに他のリグにはないフィーチャーでいっぱいのSmart Z-Finderですが、ありそうでなかったっていうパーツがこちら。
iPhoneなどのスマートフォンは不要な光が入ってくることによるフレアやゴーストが起こりやすいのですが、このオプションパーツがあればそれらを軽減することができます。これはSmart Z-Finderの大きなアドバンテージと言えると思います。
縦型撮影はどうなの?
スマートフォンによる撮影と言えば縦型撮影が一般的になってきていますが、SmallRigは言わずもがな、その他2つのリグももちろん縦型撮影にも対応しています。
Beastgrip Pro
Smart Z-Finder
最後に
いかがでしょうか。今手に入る代表的なスマートフォンリグ3つを紹介させていただきましたが、個人1人1人の目的にあった選択が大事だと思います。
「フィルターはいらない」「安いのがいい」「マイクブームを取り付けたい」など、まずは自分がスマートフォン撮影でスマートフォンをどのように使いたいのかを決めてから、こういったリグを選んでみるといいかもしれませんね。
山﨑拓実|プロフィール
映像制作Mc代表。1998年生まれ、明治大学国際日本学部卒。日英バイリンガル。新卒で太陽企画株式会社に入社した後、フリーランスのiPhoneographerに。現在はBusiness Insider Japan、Gizmodoを運営する株式会社メディアジーンに所属。Business Insider Japan、Gizmodoの映像・記事制作を行いつつ、個人の兼業でのPV、MV制作、配信なども行っている。https://mc19851026.org/