ターレット式ダブル8カメラを彷彿とさせる強烈なデザイン!
iPhone13以降のスマホのデザイントレンドは、複数のレンズ部分をどうデザインするか?撮影される側からすると独立したレンズが複数並んでいるモデルは今自分を撮っているレンズがその中のどれなのか?わかりにくい。Xiaomi 14 Ultraは、4つのレンズ部分をひとつのレンズに見立てて円形にブラックアウトさせたデザインにした。これにより撮影される側は、丸いレンズ部全体をひとつのレンズとして見ることが出来るので安心感がある。
この大きな丸の中にレンズが円周状に並ぶデザインは、ダブル8時代の8mmフィルムカメラにあったターレット式のムービーカメラを彷彿とさせる。1950年代のハイエンドな8mmフィルムカメラは、広角・標準・望遠の3本のレンズをターレットに装着し回転させて使用した。時代は螺旋状に進化すると言うが70年以上前のムービーカメラのデザイントレンドが、最新のスマホのカメラデザインに見受けられるのは実に興味深い。
どのレンズが何を担当しているのか?理解しておくことが大切!
Xiaomi 14 Ultraはアウトカメラに4つのレンズがある。これを仮に時計の文字盤で言うところの11時のあたりから時計回りに1カメ、2カメ、3カメ、4カメとしておこう。1カメが超広角(12mm)、2カメが標準(23mm)、3カメが中望遠(75mm)、4カメが望遠(120mm)となる。その間はデジタル処理となるが、ファインダーではそれぞれのレンズの焦点距離がラインで表示されるのがわかりやすい。
さて、動画用カメラは、3種類用意されている。今回はビデオモードで試したが、その他にも「プロ」モード、「映画」モードもある。Log撮影やLutシュミレーター機能などかなり撮影設定を追い込むことができる。映像カメラを使用しているユーザーには親和性の高い機能が備えられている。別途レビューで解説したい。
4本のレンズを持ち歩いている優位性!
単焦点レンズ4本を、一眼レフのボディと共に持ち歩くのは大変だ。何よりレンズ交換は時間もかかる。Xiaomi 14 Ultraの良さは、瞬時にレンズを切り替えて自分の立ち位置を変えずに必要な映像を狙える手軽さの良さがある。
シチュエーションをじっくり作り込んで撮る商業撮影には、一眼レフが適しているが日常生活の中で出会う風景を切り取るには圧倒的にこちらのほうがよい。ここでは立ち位置を変えずに撮った写真を、1カメ(12mm)→2カメ(23mm)→3カメ(75mm)の順で3パターンの作例を紹介する。
12mm
23mm
75mm
HDRの効き具合がわかりやすい真夏日の作例も紹介する。コントラストが高くとてもむつかしい状況だが、バランスよくHDR処理されている。
広角レンズは手ぶれ補正なしで撮影してみよう!
動画のサンプルは神田にある「絶滅メディア博物館」で撮影した。ここは、「家庭用動画カメラの歴史」が一望できる私設博物館だ。棚にはびっしりとメディア機器が並んでおり、その密度をウォークスルー型の動画として撮影することにした。
使用するのは、1カメ(12mm)の広角レンズ。設定で手ぶれ補正を入れると画角が変わってしまうのでオフに。特別なジンバルなどは使わず両手でホールドした状態で、ゆっくり歩きながら撮影した。階段などの段差を降りているところもジンバルを使っているかのような浮遊感ある映像となった。
動画作例
動画撮影のサブカメラとして最強の存在!
「絶滅メディア博物館」はテレビの取材なども頻繁に受けるので、取材陣がどのような動画カメラを使っているかを毎回注意深く観察している。メインカメラはXDCAMのハンディカムコーダーなどが多いが、サブでスマホをアシスタントディレクターが回していることも多い。Xiaomi 14 Ultraは、こうした動画撮影のサブカメラとして最強の存在となる。4つのレンズを使い分けることで別アングルを望遠ショットで抑えることもできるし、先ほどの作例のように広角レンズを使ってウォークスルー動画のメインカメラとしても使える。これがカメラバッグに入っているだけで「抑え」のバリエーションが飛躍的に広がる。動画カメラ100年の歴史の到達点。面白い時代になったものだ。
ヒマナイヌスタジオ主宰・絶滅メディア博物館館長:川井拓也