RAIDブースの注目は、RED社のシネマカメラの展示である。RAIDはREDデジタルシネマ社の日本総代理として営業しており、今年の同社ブースは新しく発表されたKOMODO-XおよびV-RAPTOR-XのZマウントモデルを展示している。ブース内にずらりと7台のREDが並ぶ様子は爽快である。いったいこれでどれほどの金額になるのだろうか。

その中でも特に注目すべきは、今回新しくなったZマウントモデルの展示だ。オートフォーカスの機能が大幅に向上している。従来、オートフォーカスはシングルとコンティニュアスの2つのモードを選択できたが、スピードの調整は不可能であった。しかし、新しいモデルではスピード調整の項目が追加されている。シネマにおいてもオートフォーカスの必要性を指摘する声があったが、最新機種ではその点が改善されている。

KOMODO-XとV-Raptor[X]の「Zマウント」モデルが体験可能な「SHOT ON RED」コーナーを設置

そのオートフォーカスに関しては、今回RFモデルとZマウントモデルの両方でファームウェアのアップデートが行われる。ただし、スピードの調整はZモデルのみに搭載される。

従来、「オートフォーカス」という項目であったものが、「フォーカスシステム」という名前に一新されている。アルゴリズムから変更され、新たに「スピード」と「センシティビティ」という2つの項目が追加された。

スピードはZモデルにのみ搭載され、センシティビティはZモデル、RFモデルに搭載される。スピードはオートフォーカスの単純な速度を調整するものであり、センシティビティはフォーカスボックスの感度を調整するものだ。これにより、フォーカスを振った時の合い具合や切り替わる速度を調整できる。

外部モニターの映像にピントの照合位置を設定するフォーカスボックスが表示される
「スピード」と「センシティビティ」という2つの項目が追加

調整幅は非常に広く、上下5段階、つまりマイナス5からプラス5まで柔軟に調整可能。例えば、マイナス5に設定すると、オートフォーカスの合う速度が遅くなる。

マイナス5からプラス5まで柔軟に調整可能

明らかにシネマっぽくない、あるいはミラーレスのような素早い動きが可能である。動きが速すぎる場合には、調整が必要となるだろう。

さらにブースの展示で気になったのは、Zマウントモデルに搭載されているレンズである。3台のうち、1台にはNIKKOR Noct、もう1台にはソニーのGレンズが搭載されていた。Eマウントに変換して搭載されており、オートフォーカスも正常に機能し、通信も問題ないようである。

Zマウントモデルにソニーの「FE 24-70mm F2.8 GM」を搭載

RFマウントのフランジバックは20mmであったが、Zマウントでは16mmになり、REDのシネマカメラでもレンズの選択肢が広がった。コンバーターを使用することで様々なレンズが利用可能になったことは大きな利点である。

発売時期に関しては、受注は既に開始中だ。価格差については、モデルによる差はなく、3月末まではキャンペーン価格で提供される。RFモデルも引き続き販売されるため、Zマウントへの完全移行はない。RFモデルを使用しているユーザー向けに、Zマウントへの交換サービスも提供される。

KOMODO-XとV-RAPTOR-Xのユーザーは、依頼すればマウント交換が可能である。また、DSMC2以前のモデルを所有しているユーザー向けに、V-RAPTOR-Xのパッケージを割安で購入できるトレードインプログラムも提供される。