富士フイルムブースでは、映像制作用カメラ「FUJIFILM GFX ETERNA」の展示が行われている。Inter BEE 2024ではモックアップ展示であったが、今回のCP+2025では、外部の5インチモニターと共に動作するモデルが展示されている。

新しいGマウントのパワーズームレンズを通した映像がモニターに映し出された状態で展示されており、実際に電源が入り動作していることが確認できる。GFX ETERNAは既に稼働モデルが存在するようだ。

改めて外観をチェックしてみよう。まずSDIだが、1つのみ搭載されているようだ。HDMIも1つ搭載が確認できる。外部モニターへの出力は、HDMIからではなく、モニター専用の出力端子から行われている。そのため、外部5インチモニターを搭載した場合でも、GFX100 IIのようにHDMIポートを塞いでしまうことはない。

2つの大きな蓋が見えるが、これらは恐らく記録メディアの蓋であろう。どのような規格に対応しているかは不明である。

オープンとロックのノブは、記録メディアのスロットの蓋だと思われる

液晶パネルを見ると、24fpsでISOは800、シャッターは180.0°と読み取れる。開角度表示は今回初めて搭載された機能であり、これまでのGFXでは不可能であった。

記録メディア、ビューファインダー、映像出力に対して、個別でルックとクリーンを切り替えることが可能であるようだ。このデモではビューファインダーにルックが適用されているようだが、709なのかフィルムシミュレーションなのかは不明である。

特筆すべきは、本体とハンドルに搭載されたダイヤルである。「F」「Z」「I」「ND」「OFF」と表示されており、「F」「Z」「I」はそれぞれフォーカス、ズーム、アイリスを意味すると思われる。これらのダイヤルにより、レンズの制御がある程度可能になることが期待できる。

改めて驚いたのは、両面に液晶パネルが搭載されている点である。左右のパネルには、現時点では同じ情報が表示されている。両面液晶を搭載したシネマカメラは記憶にない。

助手が必要な大規模な撮影だけでなく、インサイド側からでもほとんどの操作が可能であるため、ワンマンでの撮影にも対応できると思われる。Recボタンはアウトサイド(アシスタント側)側にはなく、インサイド側とレンズマウント側に配置されている。

富士フイルムブースのスタッフによると、今回新たな情報として、対角55mmラージフォーマットセンサーの4:3によるオープンゲート動画収録が可能であることが発表された。これにより、16:9だけでなく、9:16でも撮影しやすくなるというメリットが考えられる。縦位置、横位置両方のコンテンツを撮影したいという需要が増加している現代において、オープンゲート撮影への対応は非常に便利であろう。

新しい32-90mm T3.5のシネズームも展示されていた。これは全く新しいズームレンズである。型番にPZとあることから、パワーズームに対応していることが予想される。

また、PLマウントレンズからGマウントボディへの変換アダプターも展示されていた。このアダプターで注目すべきは、電子接点が搭載されている点である。PLマウントの接点付きアダプターとして考えられる機能は、メタデータの出力である。富士フイルムのPremistaなどは、撮影時のレンズメタデータを記録する「ZEISS eXtended Data」に対応している。恐らく同様に、このアダプターもレンズメタデータに対応していると思われる。

現行市場に出ているGマウントボディとPLマウントレンズ用アダプターに接点付きは存在しない。PremistaなどのPLマウントレンズの性能をGFXで十分に発揮させることは出来ていなかった。今回の電子接点付き純正アダプターの登場により、PLマウントレンズの大きなポテンシャルを最大限に活かすことが出来るようになるだろう。