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キヤノンブースの目玉の一つは、2025年2月22日に発表された「PowerShot V1」の展示だ。その特徴を一言で表すならば、小型ボディに妥協のない本格的な機能を搭載している点に尽きる。具体的には、「使いやすく持ち運びやすいコンパクトデジタルカメラの形状」「妥協のない高い基本性能」「本格的な動画機能」の三つの要素がPowerShot V1を特徴づけている。
まず、デザインについては、水平垂直のラインを基調としたデザインを実現。場所や使用者を選ばず、あらゆるシーンに自然に溶け込む。次に、沈胴式レンズの採用により、携帯性が格段に向上した。レンズの突出を気にすることなく、首から下げて軽快に持ち運ぶことが可能。
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基本性能においては、三つの重要なポイントが存在する。第一に、PowerShot V1のために新規開発された1.4型CMOSセンサーの搭載である。これは、前モデルのPowerShot V10に搭載されていた1型センサーと比較して、面積が約2倍に拡大している。この大型センサーにより、静止画では髪の毛や肌の質感をより繊細に表現することが可能となり、動画では5.7Kオーバーサンプリングによる美しい4K30P記録や、4K60P記録、スローモーション撮影など、多彩な表現が可能となった。
第二に、進化を遂げたAF性能である。小型ボディながらも、デュアルピクセルCMOS AF II for PowerShotを搭載し、人物だけでなく、犬や猫の瞳も高速かつ正確に捉える。また、商品レビューAF機能を使用すれば、商品をカメラに向けるだけで、顔を隠さずにスムーズなピント合わせが可能となる。
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第三に、35mm判換算で焦点距離約16mmから50mm相当の広角ズームレンズの搭載である。広角16mmから始まるズームレンズは、ダイナミックな写真や動画の撮影に適している。自撮り撮影においても、広範囲を捉えることができ、大人数の撮影も容易である。さらに、1.4倍クロップモードを使用すれば、焦点距離を23-71mm相当に切り替えることができ、望遠撮影にも対応する。
動画機能もまた、PowerShot V1の大きな特徴の一つである。冷却ファンを搭載することにより、30℃の環境下でも4K30Pの動画を2時間以上撮影することが可能となった。これにより、長時間の動画撮影を必要とするユーザーも安心して使用することができる。
画作りにおいては、撮って出しの映像でも十分な品質が得られるが、よりこだわるユーザーのために、多彩なカラーフィルターや10bitのCanon Log 3を搭載している。これにより、撮影時から好みの色調で撮影したり、編集時に高度なカラーグレーディングを行うことが可能となる。
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最後に、PowerShot V1で初めて搭載された「被写体追尾IS」は、被写体の位置を常に画面の中央にアシストし、構図を安定化させる機能だ。これにより、自撮り動画などでありがちな顔のふらつきを抑制し、見やすく編集しやすい映像を実現する。また、中央以外の位置にも固定できるため、多彩な構図での撮影にも対応する。
PowerShot V1は、「使いやすい形状」「妥協のない高い基本性能」「本格的な動画機能」という三つの特徴を備え、カメラ初心者から上級クリエイターまで、幅広いユーザーが満足できるコンパクトデジタルカメラの登場といえそうだ。
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