2025年の映像制作向け照明業界では、LEDを基盤とした高出力化と、より忠実で豊かな色彩表現を可能にする高演色・広色域化が大きなトレンドである。同時に、冷却システムの革新や軽量化によって、撮影現場での設営効率と運用性を高める製品開発が進んでいる。

この動向を背景に、各社から新製品が発表されている。写真用照明で知られるプロフォトは、独自の液冷システムでバラストを不要とし、設営を効率化した「L600シリーズ」で本格参入した。NANLUXの「Evoke 600C」やAputureの「NOVA II 2×1」は、新開発のライトエンジンにより最大20,000Kの広範な色温度調整やRec.2020色空間をカバーする広色域を実現し、色彩表現の幅を広げている。また、GODOXの「KNOWLED MG4K」は、従来のHMIを超える高輝度を低消費電力かつ軽量な筐体で実現するなど、性能と運用性の両面で進化が見られる。

01 プロフォト(#6508)
デイライトバランス型モノLED「Profoto L600D」

写真撮影用照明で知られるプロフォトは、映画制作用照明の分野にも進出している。その中でも「L600シリーズ」は、LEDの性能を再定義する注目すべき製品である。このシリーズは「L600C」と「L600D」の2モデルで構成され、完璧な光質、迅速な操作性、そしてコンパクトな筐体からのパワフルな出力を求めるプロフェッショナル向けに設計された。革新的な液冷システム「HydroCTech」を搭載することでバラストを不要とし、設営の手間を削減する。また、同じLEDシリーズのProPanel 3×2やL1600も同様に注目される製品である。

02 NANLITE / NANLUX / GUTEK(#6510)
600W フルカラー ライト「Evoke 600C」

NANLUXの新世代フルカラーLEDスポットライト「Evoke 600C」が注目される。最新のライトエンジン「Nebula C8」を搭載し、1,000Kから20,000Kという業界で最も広いクラスの色温度域を実現している。CRIは平均96、TLCIは平均97であり、±200の範囲でG/M補正にも対応する。さらに、IP66の防塵防滴構造を備え、オールインワン設計となっている。DMX/RDM、CRMX、Art-Netといった多彩な制御方法に対応可能である。新開発のBEマウント(電子接点付きボーエンズマウント)の採用により、既存のボーエンズマウントアクセサリーに加え、新しいアクセサリー「FL-22E」も装着できる。

03 Aputure Imaging Industries Co.,LTD(#6511)
パネル ライト「NOVA II 2×1」

Aputureの「NOVA II 2×1」も光の忠実度と色彩表現を新たな次元へと引き上げる注目すべき製品である。これは次世代のパネルライトだ。新開発のBLAIR-CGライトエンジンは1,800Kから20,000Kの広範な色温度調整を可能にし、Deep Redエミッターが肌色の再現性を高めることで自然な白色光を生成する。Rec.2020色空間の90%以上をカバーする広大な色域は、これまで困難であった豊かな色彩表現を実現した。独自の光学方式により、35°の直接ビームは高出力でありながら色ムラの少ない均一な光を被写体に届ける。

04 GODOX Photo Equipment Co.,Ltd.(#7414)
2000W LED「KNOWLED MG4K」

IBC 2025で注目を集めたGODOXの「KNOWLED MG4K」がInter BEE 2025で展示されることとなった。本製品は、従来の4K HMIに代わる次世代の高出力照明を特徴としており、消費電力を2,000Wに抑えながら、4K HMIを超える25,600Luxという高輝度を実現している。本体重量も約10kgと軽量であり、現場での設営や移動における負担を軽減する。また、先進のライトエンジンと効率的な冷却システムは、高い光学効率と長時間の安定したパフォーマンスを両立させている。0.1%単位での精密な調光や正確な色再現性も備え、プロフェッショナルの要求に応える仕様となっている。国内でその実力を直接確かめる機会が待たれる製品である。