D.オーディオコース 映像制作の現場を変える、2025年オーディオ収録技術
2025年の映像業界におけるオーディオ収録のトレンドは、32ビットフロート録音やタイムコード同期といった高機能化が進む一方、コネクタの工夫や複数機能の統合、同期作業の自動化など、撮影現場での運用効率を大幅に向上させる製品開発が主流となっている。
具体的な製品では、アツデンが業界初のL型XLRコネクタを採用した「SGM-250LX」でカメラ装着時の運用性を高めている。ゼンハイザーは1本で3つのステレオモードを切り替えられるショットガンマイク「MKH 8018」を発表し、多様な収録シーンに対応する。また、同期作業の効率化も進んでおり、タスカムの「FR-AV4」はHDMIケーブル1本でカメラと接続し、REC操作やタイムコード同期を自動化する。Saramonicの「Saramonic K9」は、安定したUHF伝送に32ビットフロート録音とタイムコード同期機能を統合し、ポストプロダクションまで見据えたシステムを提案している。
01 アツデン(#2204)
L型XLRコンパクトシネママイクロホン「SGM-250LX」

コネクタ設計と、それによってもたらされる現場での運用性の高さから、アツデンのSGM-250LXに注目したい。業界で初めて採用されたL型XLRコネクタは、カメラ装着時の突出を大幅に削減し、優れた取り回しと収納性を実現した。ブースでは、実際にカメラへ装着した際の操作性の良さを体験できる。さらに、他社の業界標準マイクとの比較試聴も可能となっており、その卓越した音質も直接確認できる。
02 ゼンハイザージャパン(#2208)
ステレオショットガンマイクロホン「MKH 8018」

ゼンハイザー MKH 8018は、1本で多彩なステレオ音像を描き出す、現場の要求に応える万能型ステレオショットガンマイクロホンである。MS、XYナロー、XYワイドの3つのステレオモードをスイッチ一つで切り替え、ミキシングコンソールでの詳細な調整からマイク内でのミックスまで柔軟に対応する。独自のRFコンデンサー技術は、湿気など過酷な環境でも安定した性能を発揮する。軸を外れた音も色付けなく自然に捉え、非常に低いセルフノイズでクリアな音質を実現した。放送・映像制作に最適化された周波数特性と、-10dBパッドやローカットフィルターといった実用的な機能も備えている。
03 タスカム/ティアック(#2618)
4chフィールドレコーダー/ミキサー/タイムコードジェネレーター「FR-AV4」

映像と音声の同期という長年の課題を、HDMIケーブル一本で解決するその革新性が注目される。32ビットフロート録音技術が録音レベル調整の不安を解消し、歪みのないクリアな音質を保証する。最大の特徴は、特許技術を用いたHDMI Sync機能である。HDMIケーブルでカメラと接続するだけで、REC操作の連動から高精度なタイムコード・クロック同期までを自動で行う。これにより、従来は専門知識や追加機材が必要であった映像と音声の同期作業が大幅に簡略化され、制作の質と効率を飛躍的に高めるものである。
04 Saramonic(#3114)
デジタルUHFオーディオシステム「Saramonic K9」

プロの現場で必須のUHF伝送、32bitフロート録音、タイムコード同期を一台で完結させるその統合性が注目される。干渉に強いUHF帯デジタル伝送による安定した音声収録を基本とし、送信機本体には32ビットフロートでのバックアップ録音機能を搭載することで、予期せぬ音割れのリスクを排除する。さらに、タイムコード同期機能はポストプロダクションにおける映像と音声の同期作業を大幅に効率化する。付属する3mm径の小型高耐久ラベリアマイクや、複数台を一括管理できるアプリ連携も、現場での運用性を高めている。