北陸放送機器展2026のパンダスタジオレンタルブースで「何か面白いものはありますか」と聞いてみた。そこで最初に紹介されたのが、白い鏡筒の単焦点レンズだった。
「謎マウントレンズなんです」という説明から話が始まる。レンズには「Vistilen」のロゴ。そしてマウント名は「EFRマウント」。どちらも聞き慣れない名前である。聞き間違えたのかと思ったが、確かに「EFR」だった。こうなると、焦点距離やF値を見る前に、このレンズの正体を知りたくなってくる。
「EFRマウントって何?」で足が止まった85mm F1.4
展示されていたのは「Vistilen 85mm F1.4」のEFRマウントモデル。フルサイズ対応のAF単焦点レンズで、キヤノンRFマウントのカメラに装着した状態で展示されていた。
Vistilenというブランド自体にも聞き覚えがない。さらにEFRマウントとは何なのか。まず気になったのは、単に物理的に装着できるだけなのか、それとも電子接点を介してカメラと通信するのかという点だった。
「オートフォーカスなんですか?」と聞いてみると、展示機では実際にAFが動作していた。Vistilenの製品情報でも、この85mm F1.4はSTMを採用したフルサイズ対応AFレンズとして展開されている。
今回の取材ではキヤノンRFマウントのカメラとの組み合わせで展示されていたが、使用するボディやファームウェアによる互換性については、購入時に最新の製品情報を確認しておきたいところだ。
85mm F1.4で税込94,500円。実際の写りが気になる
価格も気になるポイントだった。Vistilen 85mm F1.4 EFRマウントモデルの取材時の販売価格は税込94,500円。同じ85mm F1.4のキヤノン純正RFレンズ「RF85mm F1.4 L VCM」は、キヤノンオンラインショップで税込236,500円となっている。
もちろん、価格だけで両者を単純に比較することはできない。レンズ構成や光学性能、AF性能、操作性なども異なる。それでも85mm F1.4のAFレンズが税込10万円を切る価格で展示されているとなれば、実際の写りが気になってくる。
85mm F1.4と聞くと、やはり人物撮影で使ってみたくなる。被写体との距離を取りながら人物を切り取り、F1.4の明るさを生かして背景をぼかす。今回の取材では画質を評価できる環境ではなかったため、開放F1.4での解像感やボケの描写、AF速度、動画撮影時の追従性までは判断できない。それだけに、実際のカメラに装着してじっくり撮影してみたくなった。
外観も特徴的だ。今回展示されていた個体は白を基調とした鏡筒で、展示台の中でも目に入りやすい。取材中には、その白と黒のカラーリングがパンダスタジオのイメージにも重なるという話で盛り上がった。
パンダスタジオレンタルでは、今後このレンズをどのような形で取り扱うか検討している段階だという。今回の展示では少数を用意し、来場者の反応を見る意味合いもあった。すでに評価が固まった定番レンズを見るのとは違い、「このレンズはこれからどう受け止められるのだろう」と考えながら実機を見ることができたのも、今回の展示ならではだった。
もう一つの「これは何?」。マイクを隠すCineBuff
同じブースでもう一つ、用途が気になるものが目に入った。Saramonicのワイヤレスマイク関連アクセサリー「CineBuff」だ。中でも目を引いたのが、肌に近い色をした帯状の「CineBuff Strap」。一見しただけでは何に使うのか分からず、再び「これは何ですか?」と聞くところから説明が始まった。
演劇や映画などでは、身体に密着した衣装を着用すると、ワイヤレスマイクのトランスミッターが外から目立ってしまう場合がある。CineBuff Strapは、トランスミッターをポケット部分に収納し、腕や脚、腰などに装着するためのアクセサリーである。衣装の下に送信機を収め、外から目立ちにくくするというものだ。
CineBuff Strapには装着場所に応じたサイズが用意されており、Smallは腕や足首、Mediumは太もも、Largeは腰への装着を想定している。薄手で伸縮性のある素材を使用し、衣装の下に装着してもトランスミッターが目立ちにくいよう工夫されている。
CineBuffにはストラップだけでなく、ラベリアマイクやケーブルを衣装や肌に固定するためのテープなども用意されている。ブースには、低刺激性の粘着剤を使用したCineBuff Tapeをはじめ、音声収録時のマイク装着や隠蔽を補助するアクセサリーが並んでいた。
Vistilenの85mm F1.4と、ワイヤレスマイクを衣装の下に隠すCineBuff。製品カテゴリーはまったく異なるが、今回のパンダスタジオレンタルブースでは、どちらも「これは何だろう?」というところから取材が始まった。
展示会では、事前に知っている新製品を確認するだけでなく、名前も用途も知らなかった機材に偶然出会うことがある。そこから使い方を聞き、実物を手に取り、さらに試してみたくなる。今回のパンダスタジオレンタルブースは、そんな展示会ならではの機材との出会いを楽しめる場所だった。