今回の民主党全国大会(Democratic National Convention略にしてDNC)は8月25日(月)から28日(木)の4日間デンバーのPepsi Centerで月、火、水曜日の3日間、そして最終日の木曜日はInvestco Field at Mile Highスタジアムで開催されます。

Pepsi CenterはプロバスケットボールのDenver NuggetsとプロアイスホッケーのColorado Avalancheのホームグラウンドの屋内競技場で、Mile HighスタジアムはプロアメリカンフットボールのDenver Broncosのホームグラウンドで屋根が無いオープンフィールドです。

変わりやすい天候で知られているコロラドの天気ですので、この4日間、特に最終日の天候が大変気になっていますが、予報では午前は晴れ、午後から曇り後雨という報道がなされていますが、(月)~(水)の3日間で民主党の次期アメリカ大統領候補者としてBarack Obama氏が正式に指名選出された後、(木)にはMile Highスタジアムで候補受託の演説を行う事となっています。

デンバー市としては、民主党全国大会が今から丁度100年前に開催されて以来の政治の一大イベントで、現在のコロラド州知事のBill Ritter氏もまた、デンバー市長のJohn Hickenlooper氏も共に民主党員であることもあって地元としての力の入れ様は大変なものです。

一方の共和党の方は9月1日(月)から4日(木)の4日間ミネソタ州のミネアポリスの町で開催される事となっており、大統領候補としてJohn McCain氏が公式に指名選出される事となっています。

この両党の候補が公式に出そろったところで、11月4日(火)のElection Dayでの国民投票となります。そして、通常新大統領と現在のブッシュ大統領の業務の引き継ぎは1月10日の就任式の後に行われます。その間に新しい大統領府の組閣人事が行われて公式発表され新たな新政府の発足となります。

今回のデンバーでのDNCには全米から民主党員約35000人が集結すると言う事でその受け入れ準備も大変でしたが、その他に報道関係者がアメリカ国内だけでなく、世界各地から集まり取材活動を展開すると言う事で、その数はテクニカルスタッフも含めて総勢15000名強にのぼると発表されています。

New York Times紙、ABC、CBS、NBC、CNN、FoxNewsなどのネットワークTVチャンネル、そしてVoice of America社では90名のメンバーをデンバーへ送り込んでいる、としています。更に日本からはNHK、朝日新聞などを始め殆どの主要メデイアが参加していると公表されており、イラク戦争でお馴染みのイスラム系TV放送のアルジャジーラ社からも取材チームが来ていると伝えています。

また、最終日のMile Highスタジアムの演説会にはこれらの民主党員、報道関係者以外の一般の人達も入場券を購入して入場するので、全体では約7万人の観衆に対してBarack Obama大統領候補の演説が行われる事になる、と地元新聞では伝えています。それに付けても当日の天候が大変気になりますが、警備上の面も含めて無事この4日間が終了する事を祈りたいと思います。

シアトル紀行 「DAY THREE」

晴れて空気が澄んでいればシアトルの町からも南東の方角に見えるマウントレイニアー山ですが、夏でもその頂上付近には冬の間に積もった雪が氷となって残っているので、万年雪の様相をしており、なかなかの景観を呈している名山です。

7月28日(月)に車で行けるその中腹迄のドライブをしました。当初7月27日(日)に行く計画でしたが、生憎の天候で雲が厚くかかっていましたので、1日遅らせて晴れるのを待っての山岳ドライブを楽しみました。

マウントレイニアーの山を中心とする一帯は国立公園となっており、1899年に国立公園に指定されています。その周辺は大きな真直ぐ伸びたアメリカ杉の樹林帯ですが、その中からMt.Rainier山がニョッキリと聳えたっていると言った風景です。

シアトルの町からは約100マイル(160km)の距離で、国立公園の敷地に入るところでゲートがあってそこから上は有料道路となっています。園内の道路は大変良く整備されており、中腹にあるParadiseと言う地名の場所、海抜5400フィート(1647m)迄高いアメリカ杉の森の中を車で走ります。冬期の積雪の多い時には道路は閉鎖されますが、それでも常に良く除雪されているとしています。

説明によるとアメリカ大陸プレートの西端に位置しており、約50万年前に形成されたと推定されており花崗岩主体の岩山ですが、それより南のオレゴン州との州境に近いところにあって近年その火山活動が活発な事で知られているMt. Saint Helenと同様に将来再噴火する可能性を持っている休火山です。

火口を囲んで6つの峰から成っており、一番高い峰は中央火口丘が噴火で中央が陥没したColumbia Crestと呼ばれている峰で海抜14410フィート(4392m)となっています。

また、Paradiseでの冬期の降雪量は1シーズンの累計で680インチ(17.3m)にも達するため、その山頂での積雪は標高が高く気温が非常に下がる為、その頂上から四方に向かって26のGlacier(氷河)が形成されており、Paradiseから正面に望むNisqually Glacierが直ぐ近く迄長い雪渓を形成しています。パラダイスには広い駐車場が設備されており、Visitor Centerの観光案内施設や大きなレストランのあるParadise Innという立派なロッジも在って宿泊することが出来ます。このロッジは5月初めから10月初旬迄の間開いています。

パラダイスから更に上へ登るハイキングコースも整備されていて、海抜6800フィート(2074m)のPanorama Point迄は一般の人でも登る事が出来る様になっています。

向かう道の途中から見えるMount Rainier
周囲が畑や牧場となっている良く鋪装された道を快調に進みます。道路の左側にはMt.Rainierの白銀の峰嶺がとぎれとぎれに望めます。
国立公園内の杉木立の中の道路
国立公園のゲートをくぐると左右を大きなアメリカ杉の木々に囲まれた舗装道路を車は登坂して行きます。Mt. Rainierの峰は木々の間からその姿を時々現します。 だいぶ近づいて来ました。
Mt. Rainierの近影
杉木立が途切れる展望台が途中に在ってMt.Rainierが目前に望めます。真夏だと言うのに雪がかなり残っています。
Paradiseの直前の展望台からの風景
山の四方に形成されているGlacier(氷河)の一つ、Nisqually Glacierです。半分程はその氷雪が消えて沢が露出しています。解説では年々この氷河の下端が短くなって来ているとしており看板に年代毎の下端の位置を示した絵が示されていますが、こんなところにも地球温暖化の影響が直接現れていると言う事の様です。しかしながら、ここ迄登って来るとさすがに周囲の空気がヒンヤリとして来て標高が高くなって来ているのを感じさせられます。

Paradiseへ到着するとその大きな駐車場が月曜日だと言うのに満杯で駐車する事が出来ず、車の中からMt.Rainierの各峰嶺を眼前に眺めて帰路に付く事にしました。月曜日でこの混み様ですので週末だったらどんな混み具合となるのだろうか?と思いました。帰りは来た道を戻るのではなく、山の北東側から一周してシアトルへ戻る道路を通って帰りました。途中、家らしきものには全く見られず、良く鋪装された杉木立の中の下り道をひた走りに走ってやっと最初の町にたどり着いた時はホッとしました。

Mt. Rainierへ向かう途中のAlderの村

シアトルからハイウエイ5号線を南下してTacomaの町外れでハイウエイを降り、161号線を更に南下して7号線に合流して少し行くとAlderの村にさしかかります。このAlderの直ぐ隣に在るElbeの町はその豊富なアメリカ杉の切り出しと製材がかつて盛んだったところで、1904年にTacomaから鉄道が開通して、主として材木の運搬に活躍しました。

やがて、その材木出荷も下火と成って鉄道が廃止となる時にその製材会社のWest Fork Timber Companyを所有していたMurrayさんと言う人が特にサイドシャフト駆動式の蒸気機関車に魅せられてアメリカ各地から古い蒸気機関車を買い集めました。そして、現在のAlderからElbeを通って少し南のMineralの村迄の線路を使って観光目的の鉄道運営を始めたと言う事です。MineralのWest Fork Timber Companyには鉄道の保守作業場が在って、そこには集められたいろいろな昔の蒸気機関車が保存されています。

この鉄道の運行や保守は鉄道好きなアメリカ各地からのボランテイアの人達で運営されていて非営利団体となっています。 今年は5月24日から9月28日の間運行しており、2時間半かけてMt. Rainierの山麓を走ります。その間毎週土曜と日曜日には蒸気機関車が列車を牽引し、木曜日はデイーゼル機関車による牽引となっていて、その他の日はお休みです。

Alderの村の観光案内所の看板
Mt. Rainierに向かう地方道7号線の途中のAlder村に在る観光案内所です。鉄道の駅も兼ねているので、こんな看板が道路端に出ていました。看板の向こうに見えるのが観光案内所の建物です。その道路側に昔の蒸気機関車の実物が設置されています。かって現役で活躍していたSLで、蒐集品の一台です。
鉄道の客車を改装したレストラン
鉄道線路の道路端に昔活躍した客車を停めて、その内部をレストランに改装して営業しています。車を停めてこのレストランで昼食をとりました。ウエイトレス一人だけでサービスしていますが、お客は私たちを含めて3組だけで、のんびりした雰囲気で田舎料理を楽しみました。
鉄道客車のレストランの外観
「Mt. Rainier Railroad Dining Company」と言うのがこのレストランの店名です。客車の窓毎に4人がけのテーブルが設置されていて、調理室は客車に並んで停めてある貨物車を改造して調理室にしています。アメリカの標準ゲージ軌道の車両なので内部が広く、テーブルはゆったりとした間隔です。
古くなった貨物車両を使った店舗 
レストラン以外に何両かの貨物車両も停めてあっていろいろなお店や事務所として使用しています。その店の一つが出している看板が道路端に出されています。「チェーンソーによる彫刻」と言う事で木をチェーンソーで削って造った熊が看板に使われていました。

あとがき

今回は当初Mt. Rainierを見物してから、時間があれば、それから少し南下して、近年その活発な噴火で有名となったMt. Saint Helenの山を見に行くつもりてしたが、時間が足りなくなったのでMt. Rainierだけで帰って来てしまいました。次の機会には是非Mt. Saint Helenを見に行きたいと思っています。Elbeの村がその分岐点で南に7号線をとればMt. Saint Helenへの途中にMineralという村に前記しました昔の蒸気機関車数台が展示されているのを見る事も出来ます。

WRITER PROFILE

萩原正喜

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。