Canonブース動画

360°全天球動画

RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)

Canonブースレポート

キヤノンはNAB2017でカメラの新製品を発表するという噂はあったものの、レンズやモニターおよびカメラのアップデートが中心の展示であった。今年のブースは、キヤノンのレンズやカメラなどを使ってどのようなことができるのか? というアプリケーションに力を入れているようだ。毎年同社のカメラによる4K/8K映像を披露していたシアター会場は姿を消し、代わりに現れたのはドーム型のバーチャルリアリティー映像を披露するシアターが設置され、撮影に使われたリグに装着された7台のEOS C300なども披露されていた。すでにUHDやデジタルシネマ用レンズはラインナップが整い、新たな映像世界へのアプローチの始まりといったところだろうか。

ドーム型のVRシアター。ここで上映されていた映像はEOSシネマカメラで撮影制作されたもの

ドーム型のVRシアターは、池袋サンシャインシティのプラネタリウム「満天」のように、横になった状態で視聴する

VRシアターで上映されていた映像を撮影した機材の一部。7台のEOS C300がリグに装着されてた

UHD用のレンズはENG用の標準ズーム「CJ20e×7.8B」やショートズーム「CJ12e×4.3B」のほか、中継用の箱型レンズ「UHD DIGISUPER 90」および「UHD DIGISUPER 86」、そして今回スタジオ用として「UHD DIGISUPER 27」が登場し、ラインナップは完成したといえる。また、デジタルシネマ用レンズもPLマウントやEFマウントのものが、すでに多数発売されている。

今回発表となったEFシネマレンズ「CN-E70-200mm T4.4 L IS KAS S」は、「COMPACT-SERVO Lens」のラインナップとして発売されたレンズ。COMPACT-SERVO Lensシリーズは、放送用途で一般的な12ピンシリアルや、サーボドライブユニットの装着に対応したモデルで、放送とデジタルシネマの中間的な領域をカバーするとしている。

今回スタジオ用として「UHD DIGISUPER 27」が登場し、2/3型カメラ用UHDレンズはENG用の標準ズーム「CJ20e×7.8B」やショートズーム「CJ12e×4.3B」のほか、中継用の箱型レンズ「UHD DIGISUPER 90」「UHD DIGISUPER 86」が揃い、通常の放送運用に必要なラインナップが完成した

「UHD DIGISUPER 27」は6.5~180mm27倍ズームで、HD用のレンズ「XJ27x6.5B」とほぼ同じ大きさ重さで設計されているほか、ズーム/フォーカス電動駆動系アクセサリー、サーボモジュールなど同じものが使用可能

EFシネマレンズの「CN-E70-200mm T4.4 L IS KAS S」。既存のCINE-SERVOシリーズに比べてコンパクトかつリーズナブルな価格設定となっており、レンズ本体と電動ズームユニットを一体化し、CINEMA EOS SYSTEMカメラのAF機能に対応。高速で高精度なワンショットAFやスムーズなサーボAFを実現しているほか、ズームデマンドやフォーカスデマンドを使用可能。オプションの専用グリップZSG-C10を使用することで、ENGスタイルでの撮影にも対応している

業務用4KディスプレイDP-V1710/DP-V2410/DP-V2420の3製品に各種機能を追加するファームウェアが2017年6月上旬より無償提供されることが発表された。これにより、デジタルシネマカメラと4Kディスプレイの連携が強化され、HDR撮影時の映像確認の利便性が向上する。

HDR対応4Kリファレンスモニター「DP-V2420」。今回「DP-V1710」や「DP-V2410」と共にファームアップデート対応になったモニターで、ARRIや同社のカメラと接続することで、Log CのHDR表示やHDR表示などが可能

今回のディスプレイ3機種のアップデートにより、1画面の4K映像を左右半分に分けてHDRとSDRでの表示が可能になったほか、4K映像を縮小し、映像全体を左右2画面に並べて表示が可能。これにより、HDR映像とHDR撮影アシスト機能の並列表示や、HDR映像とSDR映像の並列表示を左右で比較しながら確認ができるようになった。さらにHDR映像の実輝度の明るさに応じて着色して表示ができるようになったため、映像の輝度分布を視覚的に確認も行える

EOS C700と3G-SDIケーブルで接続するだけで4KのRAW映像表示可能なほか、メタデータの表示やアナモフィックレンズへの対応が可能となる。また、ARRI社製のデジタルシネマカメラと「DP-V1710/DP-V2410/DP-V2420」を接続するだけで、Log Cで撮影した映像をHDRで表示できる。今回のNABでは多数の業務用モニターがブース内で使われており、レンズやカメラ以外の分野での存在感をアピールしていた。

2017年7月発売予定のPLマウントモデルのEOS C700

EOS C700Codex社製のレコーダーCDX-36150を装着することで、最大120pの4K RAWの記録が可能。3月に公開されたファームでCDX-36150に4.5KのRAW記録や4K/60pのApple ProRes記録をはじめとする複数の記録モードが搭載されている

キヤノンは新規事業の強化拡大ということで、2020年までの5か年計画を進行中。今年から医療関係や有機ELなどの産業機器など4つ新規事業が定まり、残り数年の間に軌道に乗せるという一大事業が佳境に入ったといえる。こうした流れの中で、放送機器やデジタルシネマ機器のあり方や同社でのポジショニングなどにより、今までとは異なった機器開発やシステムの登場が見込まれ、今後の新製品が楽しみである。