新年明けましてお目出度うございます。昨年10月21日にスタートした「コロラド紀行」ですが、今年の最初の第7号をお送りします。 こちらでは、クリスマスの賑わいと違って、あまり日本での正月という気分の少ないアメリカの新年ですが、本年も「アメリカのハイテク田舎」のコロラドから最近の状況を皆さんのお話の種となる様継続して行きたいと思います。 よろしくお付き合いの程お願い致します。
- 1月5日の我が家の前の通りの雪景色
- 私の家の前の通りRacine Streetの1月4日の降雪の後、翌日朝の様子です。家の前の歩道の部分の除雪はオローラ市の条例でその家に除雪の責任があります。雪がやんでから24時間以内に除雪してその歩行者達が滑って転倒などすると、その家の過失と言う事になって罰せられる事になっています。前の午後から何度か私が除雪を行ったのですが、朝起きてみましたら、また歩道に少し雪が積もっていましたので、箒で雪かきをしました。朝方の気温が摂氏零下10度以下となって雪は軽い乾燥粉雪でしたので箒で掃き寄せるだけで充分です。
昨年の12月25日のクリスマスデイはデンバー地区では前日迄は大変良い天気だったのですが、未明から雪が降って朝起きてみて一面の雪景色で30cm程積もっていたのでびっくりさせられました。文字通りのホワイトクリスマスとなりましたが、翌日は一日快晴となりましたが翌々日12月27日には再び終日の降雪で、夕方になっても降り止みませんでしたので、今度は本格的な積雪となりました。気温が毎晩、最低気温で摂氏零下10度となり、快晴の日中でも摂氏零下5度以下で冷え込んでいますので乾燥粉雪で積雪量としてはたいした事が無かったのですが小型エンジン付きの除雪車を今シーズンの練習の為に引き出して朝の除雪を行いました。
1月6日(日)になってやっと日中の気温も上昇して道路の雪は急速に溶けて消えましたが、現在でも裏庭にはXmasの時の雪がそのまま凍り付いて積もったままになっています。ロッキーの山々は大雪となって各スキー場は全部のリフトがフル運転となっており、昨年11月の中旬迄は雪不足で今年は商売にならないかと嘆いていた各スキー場ではこの例年以上の大雪でニッコリと言う状態になっています。
Winter CES(Consumer Electronics Show) 開催
毎年恒例の家電業界の年頭を飾る冬期コンスーマーエレクトロニクスショー(2008 International Consumer Electronics Show)がネバダ州ラスベガスのコンベンシヨンセンターを中心に周辺のホテルの催事場も使用して1月6日(日)の前夜祭を皮切りに10日(木)の間開催されています。
世界の各コンスーマーエレクトロニクス商品の展示と商談が主体となっている一大イベントで、特に各社からの画期的な新商品などで賑わしていますが、毎年会場ではその時々の業界のリーダーシップをとっている各社の経営責任者が順次Keynote Speechとして業界の見通しや分析結果などをショーの参加者に対して行っており、注目されています。
今年はその多くの講演のうちで開催期間中に特に注目される基調講演として注目されるものをピックアップしてみると下記の様なものが目につきます。
1月6日(日) | Bill Gates氏(マイクロソフト社会長)- 今回のWCESの開幕初頭を飾るKeynote Speech |
1月7日(月) | Charlie Ergen氏(エコースター/Dish Network社会長) Paul Otellini氏(インテル社社長) |
1月8日(火) | Brian Roberts氏(コムキャスト社CEO) Kevin Martin氏(FCCの議長) Gary Shapiro氏(Consumer Electronics AssociationのPresident / CEO) |
1月9日(水) | Nicholas Negroponte氏(MIT Media Lab.の創設者/「One Laptop per Child」プロジェクトの推進者) |
1月10日(木) | 閉会日 |
これらの講演の他に各メーカーや業界のリーダーの人達のセミナーが数多く行われて、これからのコンスーマーエレクトロニクス業界の方向が示される機会となっています。
かってはコンスーマーエレクトロニクスと言えば日本の各メーカーの独壇場と言う感のショーとなっていた時期が長らく続いていましたが、最近ではパソコン業界や通信業界の家電業界との融合が進展して、例えばアップルコンピューター社が同社のiPod と iTune Store による音楽配信事業で大きく業績を伸ばしている事から、同社の社名から「コンピューター」を除いて「アップル社」と変更した事がその近年の情勢を象徴していると言えます。アップル社では、同社の株主へのレポートの中で「もはやコンスーマーエレクトロニクスは日本メーカーの独壇場では無くなった。」と宣言しており、同社の意気込みが強く感じられます。
前回のこのレポートでお伝えしましたが、アメリカでの地上波TV放送のデジタル化への全面切り替え期日が、13ヶ月後と迫って来ており、今回のWCESでもHDTVセットを主体とするデジタルTVセットがショーでの中心商品となっていますが、アメリカのテレビ放送事業での主体を占めているケーブルTV(Comcast社)と衛星TV(EchoStar / Dish Network社)の責任者が、それぞれ講演を行うと言う事で、アメリカTV放送業界の今後の情勢を推測する上で大変有効なイベントとなっていると言えます。
特に今回初めてケーブルTV放送のComcast社では、その子会社のComcast Media Center社が会場に広いスペースを確保して参加しており、同社が運営しているニューヨークとロサンゼルスに在るTV放送プログラミングスタジオの紹介と宣伝を行っているのが注目されます。また、ケーブルTV業界でトップの会社の責任者がCESで講演するのは今回が初めての事となっています。更に衛星放送のDish Network社の会長のCharlie Ergen氏は今回のWCESの講演では同社の衛星放送サービスに於けるプログラム商品とその運用計画について紹介する事となっています。
TV放送サービスのメデイアの新しい一つとして電話会社によるインターネットプロトコルベースのビデオプログラムの配信サービスが始まったばかりですが、特にAT&T やVerison社を先頭にコロラドでも中西部13州で地方電話サービス事業を展開しているQwest社が強力な視聴者獲得戦略を展開しており、次のSummer CESまたは次回のWinter CESでは主力電話サービス会社の経営責任者の講演が行われる事となるかもしれません。
2008年は高精細画像に対応するデジタルTVセットがアメリカの多数の家庭に設置されることになる事から、それを対象としたビデオプログラムのサービスが事業として大きく進展する切っ掛けの年となるものと思われます。地上波TV、ケーブルTV、衛星TV、IPTV,そして高精細ビデオデイスクシステムといったプログラムサービスが今後アメリカの家庭へどのようなペースで浸透して行くか、非常に重要な2008年となると思われます。
コロラドの地元新聞が取り上げている今年のWCESでの注目商品カテゴリー
地元新聞のDenver Post紙では今回の2008 International Consumer Electronics Showでの注目される商品カテゴリーとして次の様なものとなるとしています。
- HDTV, HD-DVR, Blu-ray/HD-DVD
- Digital Content – Music, Movie, TV Program
- Game – Console, Computer, Software, Accessory
- Mobile Electronics and Entertainment
- In-vehicle Technology
- Green Technology Practice
- High-end Home Theater System
今回のWCESの基礎数字
- 14万人以上の参加者数
- 2700社が出展
- 会期中に開かれるコンフェレンスの数200
- Bill Gates氏の基調講演を始めとして300名の講演者数
- コロラド州からの出展社数 24社
コロラド州からの出展会社の一覧(アルファベット順)
会社名 | 所在地 | 出展商品カテゴリー |
Audio Imports | Parker | ハイエンドオーデイオのデイストリビューター |
Able Planet Inc. | Fort Collins | 難聴者用の補聴器 |
ARC Wireless Solutions Inc. | Wheat Ridge | ワイヤレスネットワーク用部品とサービス |
Avalon Acoustics | Boulder | ハイエンドオーデイオスピーカー |
Ayre Acoustics Inc. | Boulder | 高性能オーデイオ&ビデオ機器 |
Boulder Amplifiers | Boulder | ハイエンドオーデイオ&ホームシアター機器 |
Case Logic Inc. | Longmont | オーデイオ&コンピューターアクセサリー |
Comcast Media Center | Douglas郡 | デジタルメデイアプログラミング |
Dali Loudspeakers | Bloomfield | デンマーク製高性能拡声スピーカーのデイストリビューター |
EchoStar Communications | Douglas郡 | 衛星TV放送サービス |
Epilog Laser | Golden | 卓上レーザー彫刻システム |
Etilize Inc. | Denver | 製品情報管理システム |
Grand Prix Audio | Durango | 高性能オーデイオ&ビデオシステム用の防振台 |
Hopscotch Technology | Boulder | 電子機器のペアレンタルコントロールシステム |
ITI (Imaging Technology International) |
Boulder | 産業用のインクジェット技術 |
Jeff Rowland Design Group | Colorado Springs | 高性能ステレオ装置 |
Music Wizard Group (Allegro Multimedia Inc.) |
Longmont | 音楽/ビデオゲーム/教育ソフトウエア |
Nite Ize Inc. | Boulder | 懐中電灯、携帯電話機用アクセサリー |
Otter Products Inc. | Fort Collins | カメラ機器 |
PS Audio International | Boulder | ホームオーデイオ&ビデオ機器 |
Subliminal Entertainment Inc. | Lakewood | オーデイオビデオ機器用の硬質木材家具 |
World Communication | Denver | Cricket社のアクセサリーのオンライン販売 |
YG Acoustics LLC | Arvada | ハイエンド拡声スピーカー |
衛星放送のEchoStar社の視聴者用機器事業部門が分社化
アメリカの衛星TV放送でDirecTV社と視聴者数で業界を2分しているEchoStar社は先に同社の視聴者への供給機器を扱っている部門を分社化する計画を発表していましたが、今年年初から公式に分社化し社名をDish Network Corp.としたと発表しています。したがって、今後は持ち株会社のEchoStar Holding Corporationが衛星TV放送の事業を行い、Dish Netwrok Corporationが衛星放送のカストマー対象機器を扱う事業を手がけて行く事となりました。
この事を受けて、今年年初めのNASDAQでのEchoStar Holdings社の株価は73%も一気に上昇して、この2社の株式の合計市場価値は186億ドルとなりました。毎年雑誌Foebusが掲載している昨年のコロラドの億万長者番付けでトップとなっている同社のCharlie Ergen会長とその奥さんは主要株主の筆頭でもあり、今回の分社化で一段と株式の市場価値が上昇しましたので、今年もコロラドのトップ億万長者となることは間違い有りません。
あとがき
- 1月5日の我が家の前庭の雪景色
- 乾燥粉雪なので風が強いと吹きだまりが出来て大変ですが、今シーズンは幸い降雪時の風が弱く、快晴となって日中の気温が上がると融けかかった雪が夜に凍ってそのまま長い期日残っています。手で雪を握っても固まらないので、雪だるまなどを作る事は出来ません。それでも、家の屋根の雪は吹き飛ばされてあまり残っていませんが、1月下旬になると、明け方の最低気温が摂氏零下20度以下になりますので軒下には大きな雪庇が出来て下を通る時は注意が必要です。
毎年CESが開催されているラスベガスはネバダ州の南端に在り、ギャンブルであまりにも有名な町ですが、現在ではいろいろなハイテク企業が多く事業所を設ける様になり、その従業員や関係業務に携わる人口が近年急増して来ました。
まだ、依然としてギャンブル場やホテルでの働く人の数は多くを占めていますが、その町の状況はハイテクタウンと変化しつつあります。
コロラドからはデンバー空港やコロラドスプリングス空港から距離も近く、ラスベガス空港への直行便が頻繁に飛んでいますので非常に近くに在る町と言う印象です。 コロラドの地元新聞でもこのWCESの期間中は特別取材記事の欄を大きく割いて掲載しています。
今迄比較的規模の大きなコロラドの会社ではWCESへ出展すると言う事は無かったのですが、今回からケーブルTVのComcast Media Center、衛星TV放送のEchoStar Communications、旭光学のアメリカ事業本社のPentax Imagingと出展参加を始めましたので、今迄のオーデイオ/ビデオ/TVセットといったコンスーマーエレクトロニクスからその事業内容規模が大きく変化して来ている事を象徴している今年のWCESと言えそうです。