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福岡パルコが導入したデジタルサイネージ

デジタルサイネージにおけるコンテンツ開発やビジュアライゼーションに取り組んでいるエヌジーシー(東京都中央区)はこのほど、デジタルサイネージソリューションを扱う日商エレクトロニクス(東京都中央区)、デジタルサイネージディスプレイを開発する日本サムスン(東京都港区)と共同で、常設ショールーム「デジタルサイネージフォレスト」を開設し、これから導入を検討する会社に最新デジタルサイネージ導入事例を、実際に操作可能な状態で常設展示して紹介し始めた。

デジタルサイネージ市場が成長/普及段階に入って来たことは、6月に幕張メッセで開催されたデジタルサイネージジャパン2010を見ても明らかだ。各社とも、サイネージ機器そのものよりも導入事例・活用提案という部分を押し出して出展が行われ、「こういうソリューションが登場したのでこういうサイネージができる」というソリューション前提のものから、「サイネージでこういうことを実現したいので、どういうソリューションがあるのか」という利用シーン前提に変わって来た。それだけ、デジタルサイネージそのものが理解され、利用イメージの方向性が具体化してきていることの証でもある。

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ローソン300店舗で導入された「東京メディア」

こうなってくると、単にデジタルサイネージ機器やソリューションを使ってみてはと提案してもうまくいかない。利用者のニーズを汲み取って機器やサービスをインテグレートし、さらに将来に向けた付加価値も含めて提案していくことが求められるようになってきた。店舗内の小規模なサイネージから、各支店も含めた全国展開可能な大規模なサイネージまで、サイネージ機器を追加するのか、その場の環境に合わせてデザインの一部として組み込むのか。臨機応変にシステム構築をしていく必要性は、より高まって来ている。

デジタルサイネージを検討する場合にも、提案する場合にも、サイネージ利用をイメージするのに必要なのが具体例だ。メーカーとしてもサイネージ普及のためには事例公開したい意向はあるのだろうが、デジタルサイネージ自体が広告・マーケティングツールであり、コンテンツ内容はノウハウの一部と考える企業も多いようで、導入/活用事例として紹介できるケースはかなり限られてしまっている。デジタルサイネージジャパン2010は、デジタルサイネージの活用を検討している会社の担当者が具体的な事例を求めて多数訪れていたのには、こんな背景もあったに違いない。

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最新液晶ビデオウォールソリューション「MATRIX」。奥のサイネージと左のサイネージを連動させて表示できる。写真下:デジタルサイネージジャパン会場のエヌジーシーブース正面に展示したMATRIXのコンテンツ設定を解説しながら、サイネージの運用方法を紹介。

デジタルサイネージ事例に対するニーズが増えて来ているのに、年1回の展示会でしか見られないというのは問題だろう。デジタルサイネージを扱う会社の新たな取り組みが求められてきた。エヌジーシー、日商エレクトロニクス、日本サムスンが3社共同で開設した「デジタルサイネージフォレスト」には、福岡パルコが導入した、顔認識機能とFeliCaを連動させたデジタルサイネージや、ローソンが都内300店舗の窓際で超高輝度パネルを使用して表示している「東京メディア」デジタルサイネージなどを紹介している。

さらに、最新液晶ビデオウォールソリューション「MATRIX」も提案。日本サムスンのWindowsコントローラ内蔵型のパネルディスプレイとMagicInfo VideoWallソフトウェアを組み合わせて、異なるサイズのディスプレイを縦横に混在させながら配置(250台まで)したところに、ネットワークを通じて映像を配信、表示できる。デジタルサイネージフォレストでは、縦置き変則的に4面を組み合わせたものと横置き9面を組み合わせたものを連動させる形でデモしていた。

デジタルサイネージフォレストによって、利用者の立場に立ったデジタルサイネージの使用感や、運用者の立場でコンテンツ更新の実際を体感しながら検討できるようになったことは意義深い。実際のデジタルサイネージ事例を通して体験してみることで、デジタルサイネージの導入検討がよりしやすい環境が整ってきたと言える。こうした取り組みは、今後、デジタルサイネージを提供する各社に広がっていくのではないだろうか。

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