YouTubeがクリエイターを支援する理由

YouTubeといえば、世界最大の動画共有サイト。映像関連に携わっていれば、誰もが一度は利用した事のあるサービスだ。そんなYouTubeがクリエイターを支援するプログラムをワールドワイドで開催した。それが、「YouTube NextUp」だ。今年アメリカで始まった、YouTube パートナーである動画クリエイターを支援するこのプログラムは、入賞者に 支援金の提供に加え(日本の場合は200万円)、プロモーションや他クリエイターとのコラボレーション企画等、様々な支援を通じて活動をサポートされるという。

YouTubeにもっと多くの優れた動画コンテンツと高い収益を上げている個人クリエイターを増やすことが狙いで、アメリカでは、すでにYouTube上でのキャリアが本業となっているクリエイターも多く 存在しているという。今回日本においては、ファイナリスト10組のうち、2組は東日本復興支援に関する作品を制作した応募者の中から選ばれた。これは、Googleが進める未来の記憶コンテンツ同様 復興支援として日本独自のものだ。3段階の審査を経て、最終的に10組が決定された。

YouTube NextUp の入賞者には、その一環として、9月5日から5日間の動画制作合宿『YouTube NextUp クリエイターキャンプ』が用意された。 デジタルハリウッド大学の秋葉原キャンパスで開催された。期間中 YouTubeのスタッフはもちろん、業界で活躍するプロフェッショナルなクリエイターによる特別講義がくり広げられた。講師も多岐に渡り、基本的なカメラのオペレーションに始まり、YouTubeの効果的な使い方等、映像に関する事が濃縮されたカリキュラムとなった。今回はそんな中、主催者側でもあるグーグル株式会社YouTubeパートナー向けプログラムの担当 井原麻美さんに話しを聞いた。

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-非常に興味深い取り組みだと思います。『YouTube NextUp クリエイターキャンプ』では最終的な狙いはどうなのでしょうか?

YouTubeは、クリエイターに育ててもらったともいえます。つまりクリエイター主導のプラットフォームといえます。その一環としてクリエイターに還元できるように、パートナープログラムを設けています。パートナーとのメリットは、YouTubeチャンネルのデザインのカスタマイズや、広告の収益化が可能になります。映像というフィールドであるYouTubeというプラットフォームでキャリアを築くことができることは、特に個人クリエイターの方にとってはチャンスなんです。活躍しているトップのパートナーのノウハウもありますし、チャンネル運営など、学ぶべき事も多くあります。今回は可能性のあるクリエイターの方のために、学習的にも金銭的にも、そしてプロモーションもサポートしようと言う意味で設けられたプログラムです。

クリエイターキャンプでは、各チームが争うというのではなく、3グループに分けてキャンプ中にコラボレーションの映像作品を制作することになっています。 様々なクリエイターの方に参加いただいています。また、10組の中にはチーム で動いているクリエイターもいるため、10組ですけども16名が今回このキャンプに参加しています。YouTube において、視聴者をのばす手法に関する授業なども用意していますので、普通の映像制作ではないのです。もちろん制作側のカリキュラムもありますが、動画制作やクリエイティブな発想をカタチにするカリキュラムも用意しました。

様々なアングルからYouTubeで活躍するための場が用意された事は、ユーザー(=映像作家)には、うれしい事だ。既にアメリカでは、YouTubeというメディアを運営し生活出来ているという事情もあるのだろう。YouTubeは、2007年、多くの再生回数を誇るアマチュアやプロの映像制作者のために広告収入を提供する「パートナープログラム」を立ち上げた。世界において、数百のパートナーがパートナープログラムにより10万ドル以上の年間の収益を上げており、数千のパートナーが1千ドルを毎月稼いでいる。 すでにアマチュアからスタートして、平均的なサラリーマンの年収を超えるユーザーも多く存在する。日本にも存在するという。

-キャンプで使用した機材やソフトウェアは何を使用しましたか?

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個人のクリエイターですので、普段は民生機を使用させている方がほとんどだと思います。ステップアップするという事も含め、プロの制作環境を体験してみる事も大事だと思います。違いや使った事の無い機能を体験する事によって作品に反映できるのではないでしょうか。今回、撮影用にはSONY NEX-FS100を使用しました。編集にはAdobe PremiereやAfterEffectsを使用しています。

-アメリカと日本でのクリエイターの違いはありますか?

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もちろん、YouTubeの発祥はアメリカですので、チャンネルの登録数など違いはあります。規模の違いから、アメリカでは25組のクリエイターが選出されています。学生時代から取り組みを続けて現在成功している事例として、アメリカでのキャンプでお話しいただいたパートナーさんもいました。動画で何をやりたいのか?という事はアメリカでは既に確立されていて、YouTubeの活用スタイルも確立されています。たとえばミッシェル・ファンというYouTubeの「ハウツーとスタイル」カテゴリにおいて最もチャンネル登録数が多いチャンネルがあります。映像作品という訳ではなく、チャンネルとして成立しているわけですね。

海外ではカメラの前でしゃべるスタイルの動画が多いですが、日本ではまだ少ないですね。逆に日本ではアニメーターの方がいらっしゃるのが特徴でしょうか。今回もアニメーターの方が2組選出されました。日本の後は、ロンドンでキャンプを開催しますが、参加者は主にヨーロッパから、イギリスをはじめ、ドイツ、フランス、イタリアと多岐にわたりますので、楽しみなところです。

次の開催は未定だが、クリエイターに対しての支援プログラムは、続けていくという。なお今回のファイナリスト10組の成果は、今後各自のYouTubeチャンネル並びに、YouTube NextUp 特設チャンネルにて、作品が公開されていく。

初代YouTube NextUp 2011 入賞者

【YouTube NextUp チャンネル】
https://www.youtube.com/youtubenextup

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