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最新版Smoke for Mac OS Xのワークショップ
オートデスク(メディア&エンターテインメント)が4月8日に発売したオールインワン エディトリアル フィニッシング ツール最新版のSmoke 2012 for Mac OS X。発売直後に米ラスベガスで開催された2011 NAB SHOWでは、日本語デモンストレーションのほか、会場内ノースホールのカンファレンスルームで1時間の無償ハンズオントレーニングも実施された。
このNAB SHOW以降、日本でも「Autodesk Smoke for Mac OS Xワークショップ」(問い合わせ先=オートデスクイベント事務局 TEL:03-4500-9053)と題し、オートデスク内で4月28日から月1回のペースで3時間のセミナーを実施中だ。セミナーは、Smokeでの編集方法から、Smoke for Mac OS Xのエフェクトやカラコレ、ステレオスコピック(立体視)などの主だった機能をよりよく知ってもらうために実施。フィニッシングシステムの導入を検討しているプロダクションやクリエイターを中心に、毎回20~40人ほどが参加している。
ハイエンド編集システムがベースのSmoke for Mac OS X
Smokeは、オートデスクが開発する編集フィニッシング製品だ。もともとはディスクリート・ロジックが1997年に開発した編集システムFireとして開発したものがベースだ。当時は、シリコングラフィックス製スーパーコンピュータOnyxを用いて、SD非圧縮のタイムライン編集を行うシステムだった。Onyxは小型のものでもデスクサイド設置型のラックマウントサイズだった。これをベースに1998年にデスクトップコンピュータOctane向けに編集フィニッシング製品としてSmokeをリリース。1999年にディスクリート・ロジックはオートデスクに買収されたが、Smokeは編集フィニッシング製品のコアプロダクトとして引き継がれ、2000年にはHD非圧縮への対応を行った。
Smokeは2003年にデスクトップワークステーションのLinux OSベースの製品へと進化。ファイルベース・ワークフローが一般的になってきた2008年になると、それまで非圧縮映像の編集システムとして進化を続けて来たSmokeも、パナソニックのP2 HDで使用されているDVCPRO MXFファイルとアップルのQuickTimeファイルといった圧縮コーデックに対応した。同時に、ツリー構造を持ったコンポジティングワークフローBatchFXを追加したことで、コンポジットシステムinferno/flameとの連携も含めた編集フィニッシング製品へと進化している。
翌2009年末のInter BEE 2009において、オートデスクとしては初のMac OS Xベースのオールインワン編集フィニッシング製品として、Smoke 2010 for Mac OS Xを世界初公開している。このようにMac OS Xベースのシステムとしてはまだまだ若い製品だが、Smoke 2012 for Mac OS Xのベースとなる編集システムは丸13年もの間、ハイエンド映像制作シーンで揉まれ続けて来た実績のあるシステムと言える。
Smokeの新規導入に向け、機能を確認できるワークショップ
「Autodesk Smoke for Mac OS Xワークショップ」開催の狙いについて、メディア&エンターテインメント マーケティングの一ノ瀬真一郎氏は次のように話した。
Inter BEE 2009でSmoke 2010 for Mac OS Xを発表しましたが、2年経ってようやく浸透し、導入が増えて来た感じですね。これまでハイエンドシステムを活用して来たポストプロはもちろんですが、特にフィニッシング部分まで作り込んでいきたいと考えるプロダクションが導入し始めています。これまで当社の製品を扱ったことがない企業でも、編集を行って書き出すというだけでなく、よりしっかりとフィニッシングをしたいとSmokeの導入を検討するなど、ワークフローをしっかり考えながら制作を始めているという印象です。当社としても、Smokeの新規導入を検討していただくにあたり、より機能を知っていただくために、定期的にワークショップを行うことにしました。
ワークショップ前半はSmokeを使用し編集をするための基礎編。制作環境をはじめ、ソフトウェアの起動やインタフェース、素材の取り扱い、編集作業について解説していく。一般的なノンリニア編集ソフトウェアとのインタフェースの呼び方や機能の違いなども含めて、実際の制作作業の進行に合わせて解説してくれるので分かりやすい。RGB4:4:4が扱えるSmokeの特徴を生かして、REDカメラによるR3Dファイルの取り扱いについても紹介した。
休憩を挟んで、ワークショップ後半はエフェクトなどを活用した応用編。カラーコレクションやビジュアルエフェクト、3DコンポジティングアーキテクチャであるAction機能を用いた作り込み、ステレオカメラリグを用いたステレオスコピック機能について紹介していった。関心の高いステレオスコピック機能については、3D空間内に素材を配置し、フレアなどの光や陰影の効果を加えることで奥行き感を作り、ステレオカメラリグを使用することでも擬似的にステレオスコピック映像を作り出せることを紹介。参加者に配った赤青メガネを使用して、アナグリフ映像で立体感を確認できるように配慮していた。
ワークショップと位置づけているものの、参加者が実際にSmoke for Mac OS Xを使いながら技術を学んでいくというハンズオントレーニングではない。前半・後半の2部構成で、前半最初に製品のバックグラウンドなどの解説があるほかは、Smoke 2012 for Mac OS Xを実際にデモンストレーションするのを見ながら理解していく。参加者が実際にSmoke 2012 for Mac OS Xを操作する機会はないが、デモンストレーションを通して実機の動作速度や操作感を確認できるように工夫されていた。質問の時間もワークショップ後半の最後に設けられているが、前半の終わりにも質問できるほか、デモンストレーションの合間にも随時質問してもらって構わないという。
Autodesk Smoke 2012 for Mac OS Xの30日間限定 無償体験版はWebサイトからダウンロード提供中。
次回Autodesk Smoke for Mac OS Xワークショップ開催は?
Autodesk Smoke for Mac OS Xワークショップは、11月30日、12月21日にも開催を予定している。時間はいずれも14時から。Webサイトからの事前登録制で、参加費は無料。さらに、11月16日から3日間の日程で幕張メッセで開催される国際放送機器展(Inter BEE)2011のオートデスクブースにおいても、Smoke 2012 for Mac OS Xを中心に製品紹介を実施するほか、パワーユーザーによる導入事例セッションも行う。ワークショップでは導入事例の紹介はしていないので、実際に使用しているユーザーの作例や制作方法を見たい人にとって、オートデスクブースは要注目だ。