AG-AF105 オールドレンズとの邂逅
Panasonic AG-AF105は、マイクロフォーサーズマウント式のレンズ交換型業務用カメラだ。昨年にリリースされて以来、画作りにこだわる多くの映像作家たちの心をつかんでいる。言うまでもないがAF105は、マイクロフォーサーズ(以下m4/3)規格実装によって極めて短いレンズフランジバックを実現した。そのためレンズと撮影センサーの距離が短く、マウントアダプタを間に挟んでレンズを取り付け、数多くのレンズ資産を利用可能にした事が、このカメラの人気の秘密だとも言える。AF105リリース以降、他社からのリリースを見てもこのトレンドを牽引してきたのは言うまでもない。もちろんその先鋒にいたのがAF105であり、サードパーティーからは多くの周辺機器も揃っていることは、先日開催されたInter BEE 2011でも見られた。
Panasonicが通常ブースに加え、幕張メッセ国際会議場コンベンションホールBのテクニカルスイート会場で興味深い展示を行っていた。現行品はもとよりクラシックカメラ用のレンズや、もはや伝説とも言えるアンジェニューの10倍ズームなど様々なレンズを装着するためのアダプターリングやリモコンなどが協力メーカーや販売店などから出展された。押入れの奥に仕舞い込んでいた大年の名機や手持ちのレンズをAG-AF105を装着することで、ノスタルジックな映像やレンズの味(ビデオカメラでどこまで再現できるか不明だが)を生かした映像作りを行うことができる。
奥深きレンズの交換の世界へようこそ
クラシックカメラブームの時にもM42マウントによりメーカーや機種を超えたレンズ交換が行われたが、フランジバックなどの問題もあり無限がでないなど制約があった。AG-AF105のようなビデオカメラはビューファインダーで映像を確認できるので、こうした不安のない撮影が可能だろう。
一般的な3板式のビデオカメラでは、プリズムがあるためにレンズマウントアダプターでフィルムカメラ用のレンズを装着できるようにしてもフランジバックの関係でフォーカスを合わせることができない。また、センサーのサイズも2/3型より小さいためにほとんどのレンズは望遠レンズとしてしか利用できない。前記したが、AG-AF105は、単板式で大判のセンサーを採用しており、フランジバックも約20mmほどなので、操作はマニュアルとなるもののマウントアダプターさえ用意すればムービー、スチルにかかわらず様々なレンズを装着することが可能だ。往年の様々なレンズを手軽に装着して作品作りに利用することで、後処理ではできない今までになかった映像表現も可能になったといえる。また、単にレンズを交換して新たな映像表現に挑戦するだけでなく、ビューカメラに装着することで、アオリを利用したライズやフォールのほか、コンピュータなどで後処理では操作できないシャインプルーフの法則を利用した映像表現なども使うこともできる。
会場内ではこうした映像表現に利用できそうなレンズ交換の提案や撮影装置などが出展されていた。新旧レンズはもとより、一眼レフやシネカメラのレンズなど様々なレンズを交換できると表現の世界が広がるだけでなく、手持ちや中古のレンズを使用することでリーズナブルにシステムを構築することができる。ここではレンズを中心としたこうした世界を中心に紹介してみよう。
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テクニカルスイート会場からは「Panasonic LIVE @ Inter BEE」と題して、パナソニックの多彩な機器・ラインナップをシーンにあわせて活用し、ブースで行われる様々なプログラムをUSTREAMでライブ配信したほか、HD映像コミュニケーションシステムによる中継も日に4回生中継された。
テクニカルスイート展示会場から
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ARRIFLEXスタンダードマウントと4/3マイクロフォーサーズマウントのアダプターを介して装着されたAngenieux25-250mmF3.2レンズ。35mmシネカメラのイメージサークルはマイクロフォーサーズマウントの倍ほどになるので、望遠ズームレンズとしての使用になってしまうが、レンズの持つ味わいはそれなりに再現されている。
フジヤカメラ
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スチルカメラ用のシグマ超望遠ズームレンズAPO 300-800mm F5.6 EX DG HSMを装着したAVCCAMメモリーカードカメラレコーダーAG-AF105。EFマウントのズームレンズだがアイリスの調節が可能。
アイカム
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フォノン製TRIADローラーフォーカスキットRF-15KITを装着したAG-AF105。Vプレートアダプターのサポートロッドを利用して装着する。デジタル一眼レフ用のレンズはフォーカスリングが軽いが、このフォローフォーカスを利用することで、なめらかなピン送りが可能。ほかにも82mm/72mmHDカメラ用ZunewワイドコンバージョンレンズWHV-77などを出品。
エムユーケイ
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各種カメラレンズ用アダプターリング。同社はクラシックカメラの修理や改造、各社カメラのマウントアダプターなどを販売しており、レンズやカメラ本体も並べられていた。
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現在はB4マウントのレンズが主流だが、以前の池上B3マウントのレンズアダプターがあった。こうしたアダプターにより古いレンズの有効活用が可能になるのもレンズ交換ができるカメラが手頃な価格で発売されているからこそと言えるだろう。
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トヨビュー4×5にフジノンの210mmレンズを装着し、ビューカメラのピントグラス部分にAG-AF105を装着。アオリ撮影が可能だがかなり望遠になってしまう。ほかにも袋蛇腹を装着し、広角(といっても4×5の広角レンズはスーパーアンギュロンでも38mm)レンズによる撮影も可能。マイクロフォーサーズのフランジバックは約20mmと短いのでレンズ交換だけでなく、こうしたカメラへの装着もできる。ちなみにフィルムの世界では大判といえば4×5以上、中判がブローニーというのが常識なので、レンズの話をする時は注意したい。
武蔵オプティカルシステム
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フォーカス/アイリスリモートコントローラー TA-FI-1a。大型のボリュームノブを採用することで、操作性の向上を図ったほか、アイリスの方向を反転させるスイッチを装備している。AG-HPX175やAG-HVX205Aなど他のパナソニック製カメラにも使用可能。
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2/3型バヨネットマウントレンズ(B4マウント)をマイクロフォーサーズマウントカメラに装着するための拡大光学系を内蔵したマウントアダプターオプトマグ(仮称)TL-OM2X2。拡大光学系により2/3型センサーのカメラに装着した時と同じ画角で撮影することができる。2012年2月に発売予定。
ライトアップ
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EFレンズはレンズ接点から情報が供給されないと開放絞りとなってしまうがLiveLens MFT Active Lens Mountにより、EFレンズをマイクロフォーサーズカメラに装着できると共にアイリスを1/3単位でコントロールすることができる。
WRITER PROFILE
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