AJA製品を活用したコンサート演出
ポスト・マローンは今秋、ライブツアー「Runway」を敢行し、ジャンル・ベンディング(様々なジャンルの楽曲を繋ぐスタイル)の音楽だけでなく、映像、光、サウンド、レーザー、スモーク、パイロテクニクス(爆発・閃光・煙または炎を使った演出)で視覚的にも観客を楽しませた。
映像と照明のサービスを提供するレンタル会社PRG-VERは、すでに北米37都市での公演を終え、先日決定した2020年2月からの延長公演でも、ライブツアー用の機材とサービスを提供する。コンサートのパフォーマンスが行われるステージセットには、高さ50フィートの縦長なLEDスクリーン2枚が大きなランウェイを挟む形で立ち並ぶ。
ビデオエンジニアのJason Harvey氏と、ビデオディレクターのZac Leonard氏は、コンサートの映像チームの協力のもと、ポスト・マローンが演じているライブ映像にリアルタイムエフェクトを重ね、ディスプレイを介して観客に届ける。各コンサートは、AJA社のKi Pro GOおよびその他のAJA製品を組み合わせて収録されている。
ステージは8台のカメラで複数のアングルから撮影を行う。映像がDisguise D3メディアサーバーに入力されると、リアルタイムグラフィックツール「Notch」上でカスタムメイドされたエフェクトが、ライブ映像にレンダリングされ、LEDスクリーンで再生される。マスタリングにはAJAのレコーダー「Ki Pro Rack」が2台使用されている。
また、遠隔操作で撮影するロボティックカメラの色補正用に、AJAのフレームシンクロナイザー兼コンバーター「FS2」2台も今回のツアーで使用されている。マルチチャンネルHD H.264レコーダー「Ki Pro GO」はワークフローをまとめ、最大4つのカメラフィードを同時収録し、それと同時に様々なFiDO光ファイバーコンバーターと分配増幅器を使用して、全ての映像とVFXをあらゆるデバイスに配ることが可能。
Harvey氏:AJAはライブプロダクションで必要とされる全てのオプションを提供してくれます。AJA製品はどのリハーサルやショーでも確実に機能するので、失敗を恐れる必要がありません。
Ki Pro GOは、ワイドショット用のソニー製カメラ、ドリーショット、Disguise D3からのVFX出力、加工前の映像、4つの出力をキャプチャし、それぞれの収録映像によってステージ全体を確認することができる。フッテージ(映像素材)は4つのUSBスティック(256GB)に記録され、即座にマスターソースのプロキシ用H.264ファイルとして利用される。
また、制作班は2TBのSSDUSBドライブをKi Pro GO本体背面にある5つ目のUSBポートに装着し、4つの入力ソースのバックアップ収録用途として使用した。収録後にはクラウドへアップロードし、コンサートのクリエイティブチームやデザインチームと映像を共有する。このワークフローにより、関係者一同で世界中のあらゆる場所からコンサートの映像をすぐに確認し、新しい演出を模索したり、導入することが可能になる。
Harvey氏:この一連のコンサートで使用されたスモークやパイロテクニクスなどの演出を収録するためには高画質なファイルが必要です。そうしないと、エンコード時にこれらの視覚効果が潰れてしまいます。そのため非常に管理しやすいファイルサイズで、必要な解像度をサポートしているH.264は、私達にとって理想的なフォーマットと言えます。
Ki Pro GOはコンサート全体を収録したH.264のマスターファイルを作成し、クラウドにも簡単にアップロードできるため、クリエイティブチームとデザインチームはすぐに演出を確認し、変更を加え、次のツアーまでに修正を反映できます。
Leonard氏:Ki Pro GOはISO収録機能とストレージ管理の点で、私たちにとって画期的な製品です。通常ProResファイル(LTであっても)で収録した場合、コンサートは1ドライブあたり70~85GBで、保管用にSSDメディアからファイルコピーあるいは移行するのにも時間が掛かりました。
H.264でビデオを記録できて、尚且そのファイルをすぐに社内でフッテージの確認用に使用できることは、当社のワークフローにとって途轍もない変化です。
プログラム出力、コンサート会場のワイドショット(引き画)、複数台のカメラのISO収録やカメラオペレーターの収録後の確認用など、多岐にわたる収録で活用でき、そのフッテージを約5分で1台のドライブからオフロードできるということが、Ki Pro GOの素晴らしい点です。