今回レポートするPanasonic メモリーカードカメラレコーダー AG-HMC155は、DVカメラの名機DVX100シリーズの流れを汲みながら、HD化/テープレスを実現した「AVCCAM」カメラレコーダーである。先日、オープンしたばかりの弊社イベントスペース用に、カメラ導入を検討していたこともあり、DVクレーンを使いオープニングイベント前の様子を撮影してみた。そこで感じたことを中心にレビューをさせていただこうと思う。
予想以上の軽さ、実際の運用時に気になるバランス
テープデッキ部を除くことで、1.7kgと見た目以上の軽さに仕上がっている。グリップで片手持ちした際にもバランスが良く、違和感無く操作することが出来た。但し、実際の運用時を想定しマイクホルダーに外部マイクを装着したところ、グリップで持った際のバランスに違和感が出てしまった。今回使用したのが小型バッテリーパックであったことも影響しているかもしれないが、業務用途で使用するユーザーであれば、内蔵マイクの使用は少ないと思われるので、外部マイク使用時のバランスをも考慮されているとさらに良かったと思う。
操作性
フォーカスアシスト機能
HD収録では小型液晶モニターでのフォーカス合わせは難しいが、フォーカスアシスト機能とEVFDTL機能を併用することでかなり使いやすくなっている。従来までのフォーカスアシスト機能である拡大表示機能では中心部分しか拡大されず構図によっては使いづらかったが、今回からヒストグラムによるアシスト機能も使用できるので、構図を確認しながらのフォーカシングが可能になっている。
フォーカスリングを使ったアイリス調整
オートフォーカスでの撮影の場合には、フォーカスリングにアイリス調整の機能を割り当てることが出来る。マニュアルレンズの意識で操作してしまうと気になる点はあるが、左手のポジションを動かすこと無くアイリス補正が出来るようになった利点は大きい。
ウェーブフォーム/ベクトルスコープ表示機能
カメラ単体での使用が多い現場運用を考えると、波形表示ができるようになったことは大変ありがたい。簡易表示ではあるが、PV撮影の現場などでは重宝されるだろう。
その他
細かな点だが、リアパネルに端子を集中させたことで、イヤホンジャックのみを使いたい場合にも大きな端子カバーを開けなければならないことが気になった。
画質・画角
AVCHD/PHモード
民生用ハイビジョンというイメージの強いAVCHDだが、PHモードでの撮影であれば十分業務に耐えられる画質と感じた。ただし、圧縮に対してシビアな状況でのテストは行っていなので、撮影環境や被写体の違いによって評価は分かれるかもしれない。業務向け編集環境としては、PHモードへの対応状況を見て判断すべき時期であると思われる。
画角の広さ
35mm換算で28mmの画角は、余裕のある広さになっており、とくに室内での撮影に重宝するだろう。
AG-HMC155で撮った動画
動画ファイルサイズ:64MB。AVCHDの元データ(約21Mbps)を、WMV(約8Mbps)に変換したものを掲載。
※画像をクリックすると動画が再生されます(Windows Media Playerが必要です)。PCのスペックによってはうまく再生ができない場合があるのでご注意ください。
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試用を終えて
DVX100ユーザーにとっては、SDからHDへ正統進化した機種といえるだろう。作品制作を主と考えるユーザーは、自身の編集システムの対応環境を確認しておく必要があるが、HDでの長時間収録を重視するブライダルやドキュメンタリーなどの現場には、使い勝手の良いカメラとして受け入れられるだろう。
筆者プロフィール
岩沢 卓(いわさわ たかし) 有限会社バッタネイション/Co-Net代表
ウェブ向け映像コンテンツの制作や、バンドのライブ撮影、PV制作などを行っている。最近、日本橋にイベントスペース「Co-Net」を開設し、そのスペースを使って収録・配信なども行っている。映像だけに留まらず、インテリアの企画やショップコンセプトの立案など、幅広い分野での活動をしている。
このコーナーは、今業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にPRONEWSからお願いをして実機レポートをしていただくコーナーです。
「ここは予想以上に素晴らしかった!」「ここは期待した程ではなかった・・・」等々、メーカーカタログには記載されない、実際に使ってみてどう感じたのか、リアルな声が聞けるかもしれません。
同じ機材でも、レポーターさんの使用目的等によって着目点やその感じ方が違うことも非常に有益な情報になることでしょう。
これからも順次掲載予定ですのでどうぞご期待ください。