システムファイブは、開催中の展示会「PRONEWS SUMMIT 2025」において、DJIの新型ワイヤレスマイクシステム「Mic 3」を展示し、多くの来場者の注目を集めていた。

この製品の最大の特徴は、4チャンネルの独立した音声入力に対応した点にある。従来の4チャンネル対応製品は、2チャンネルずつをステレオとしてまとめる方式が主流であった。しかしMic 3では、4つの音声を完全に分離して収録できるため、ポストプロダクションにおける編集の自由度が飛躍的に向上する。

また、タイムコード同期機能も搭載された。これにより、32bitフロートで内部収録した音声は、編集時に他のカメラ映像と手動で同期させる手間が不要になり、タイムラインに配置するだけで作業が完了する。4チャンネルでの収録は、ソニー製カメラ(一部機種)に専用のカメラアダプター(DJI Mic Miniと共通)を装着した場合や、PCとUSB Type-Cで接続した場合に対応する。

さらに、レシーバーを追加すれば、1台のホストに対して最大7台のスレーブを接続し、合計8台のカメラへ同時に音声を送信することが可能だ。この機能は、特にライブ配信のような複数のカメラを用いる現場において、音声系統を簡素化し、スイッチング作業を容易にするという大きなメリットをもたらす。

マイク本体は小型化され、マグネットクリップの採用により衣服への装着方法も柔軟になった。その一方で、従来モデルからの変更点もある。ラベリアマイクの入力端子が廃止されたほか、カメラとのタイムコード同期には、現状では他社製のケーブルが別途必要となる点には注意が必要だ。

会場では、発売から時間を経てなお、シネマカメラ「Ronin 4D」への関心が再び高まっている様子も見られた。頻繁なファームウェアアップデートによって機能が向上しており、最近ではこれまで非対応だったソニー製のパワーズームレンズなども操作可能になった。加えて、小型軽量なシネマレンズの登場により、これまで搭載が難しかったレンズでの運用事例も増えている。

Ronin 4Dには6Kモデルと8Kモデルが存在し、特に高解像度の縦型動画を制作する需要から8Kモデルを選択するユーザーも多いという。多様なレンズマウントに対応できる拡張性の高さも魅力であり、プロフェッショナルの現場で長く支持される製品となっている。一方、ドローンであるInspire 3に搭載されているZenmuse X9-8K AirカメラもNetflixの認定を受けており、空撮と地上撮影で色の一貫性を保った高品質な映像制作が可能となる。このことが、Ronin 4Dへの関心を一層高める要因となっているのである。