Inter BEE 2025のアークベンチャーズブースにおいて、バーチャルプロダクションおよび没入空間に向けた最新の映像ソリューションが展示された。

同社は今回、LEDを使用した撮影技術と、プロジェクターを用いた空間演出技術の2つを主軸に据えた展示を行っている。バーチャルプロダクションエリアでは、「マルチカメラ GhostFrame(ゴーストフレーム)」システムの実演が行われた。このシステムは、1台のLEDウォールでありながら、撮影するカメラごとに異なる背景映像を同時に表示し記録することを可能にする技術である。会場でのデモンストレーションでは、60フレームの映像ソースを120pで出力制御することで、複数の映像情報を1つのLED画面上に共存させる仕組みが紹介された。

ハードウェアの新製品としては、Brompton Technology(ブロンプトン)社製のプロセッサー「Tessera SQ200」がアジアで初めて公開された。本製品は同社として初めて8K解像度に対応したほか、映像伝送のIP規格であるSMPTE ST 2110をサポートしている点が特徴だ。このハイエンドプロセッサーは、翌年2月頃のリリースが予定されている。

また、高精細な表示デバイスとして、Megapixel(メガピクセル)社のプロフェッショナル向けマイクロLED「Ventana(ベンタナ)」も展示された。0.8mmピッチの微細な画素ピッチと最大1000nitsの輝度性能を有しており、同社の「Helios(ヘリオス)」プロセッサーと組み合わせることで、HDRコンテンツの質感豊かな表現を実現している。

没入空間やプロジェクションマッピングの分野に向けては、プロジェクターのキャリブレーション技術に関する2つのソリューションが提案された。1つ目はHIVE(ハイブ)メディアプレイヤーを使用した平面向けの自動補正システムである。センサーとなるカメラを用いることで、スクリーンに投影された複数台のプロジェクター映像の結合や歪み補正を、短時間かつ自動的に完了させることが可能である。

2つ目はDisguise(ディスガイズ)社のメディアサーバーを用いた「OmniCal(オムニカル)」システムだ。こちらは3D空間でのキャリブレーションに対応しており、湾曲したスクリーンや特定の立体物の3Dデータに基づいた、高精度な投映調整を実現する技術として紹介されている。