Inter BEE 2025の会場を巡り、カメラ本体やレンズに勝るとも劣らない熱気を感じたのが、アクセサリーや周辺機器の進化である。現場のワークフローを大きく変える可能性を秘めた、筆者が実際に見て驚き、興味を惹かれたアイテムを一挙にレポートしたい。

Kippertieの電子ND「LCminiND」とBright Tangerine「Halo」の実力をチェック

まず足を止めたのはRAIDブースである。RAIDといえばRED Digital Cinemaのハイエンドカメラが代名詞だが、今年の展示においてハイライトとなっていたのは、「現場のワークフローを改善し、長く使える機材」という提案であった。中でも来場者の視線を釘付けにしていたのが、日本初出展となるKippertie(キッパータイ)だ。これまでもコアな支持を集めてきた同社だが、今回披露された高精度電子NDカートリッジ「LCminiND」は、撮影現場の常識を一変させるほどのポテンシャルを秘めていた。

実機を目にしてまず驚かされたのは、マウント変換アダプターと電子NDフィルターが極めて合理的に融合している点である。従来、マットボックスなどで処理していたフィルターワークが、このマウント部だけで完結するのだ。特筆すべきはiPhoneによるリモートコントロール機能の実装であり、カメラに触れることなく濃度の微調整が可能となる点は、ワンマンオペレーションやジンバル撮影において大きな武器となるだろう。

さらに興味深いのが、シムを使わずにマウント自体でバックフォーカスを調整できる機構だ。フィルターを装着した状態でも即座にピント面を追い込める仕様は、セットアップ時間を短縮する革新的な機能と言える。EFやRFといった主要マウントへの対応も示されており、実用性を求めるプロフェッショナルたちにとって見逃せないトピックとなっていた。

同じくRAIDブースにおいて、Bright Tangerine社のユニバーサルリグ「Halo(ヘイロー)」もまた、非常に興味深い存在であった。これは、多くの制作者が抱える「カメラを買い替えるたびにリグを新調しなければならない」という課題に対し、「カメラではなく、ケージをリグする」という逆転の発想で解決策を提示した製品である。

15mmロッドを介してカメラを囲い込む独自構造により、ニコンZシリーズのようなミラーレス機からCinema Line、ボックスカメラにいたるまで、一つのシステムで対応可能としている点は驚異的だ。ボディ形状に左右されず長期的に流用できるこの汎用性は、コストパフォーマンスの面でも絶大なメリットとなる。

また、通気性を確保したメッシュ構造のオプションハンドルなど、細部にも現場を知り尽くした工夫が見て取れた。「廃棄を減らす」という理念のもと、サステナビリティと実用性を両立させたこのシステムは、機材投資を最適化したいクリエイターにとって、一際輝く選択肢として映った。

エコシステムを強化するATOMOS、浸透するPortkeys

モニタリング環境でエコシステムの完成度を見せつけたのがATOMOSブースだ。CEOのピーター・バーバー氏が紹介した新製品群の中で、特に驚かされたのが「Shinobi 7 RX」の進化である。2,200nit高輝度HDR対応モニターでありながらWi-Fi映像受信機能を内蔵し、対となるトランスミッター「ATOMOS TX」と組み合わせることで最大約300メートルの伝送を可能にした。受信機とモニターが一体化するメリットは計り知れない。

また、主力レコーダー「Ninja TX」も最大8K RAW収録やCFexpress Type B採用など、高解像度化への明確な回答を示していた。映像、伝送、音声を包括的に統合しようとする姿勢は、現場のワークフローを根底から変えようとする気概に満ちていた。

モニター関連では、ケンコープロフェッショナルイメージング(KPI)が本格取り扱いを開始したPortkeys(ポートキーズ)も見逃せない。そのラインナップの充実ぶりと戦略的な価格設定には驚かされた。

KPIブースでは、ハイエンドに迫る7インチモデル「BM7 II DS」の堅実な作り込みに加え、5.2インチのエントリー機「PT6」が税込3万円台前半という驚きの価格で展示されていた。

さらにPortkeysブースで実機を確認した新型「LS7P」は、オールアルミニウム製筐体の質感もさることながら、独自の露出ツール「Log Stops」が非常に興味深かった。カメラごとのダイナミックレンジ情報に基づいて露出を可視化する機能や、主要カメラのISOなどをモニターから直接操作できるワイヤレス制御など、モニタリングと操作性を高度に融合させようとする明確な意思が感じられた。今後、日本の市場で急速に浸透していく予感を強く抱かせる。

音声、ストレージ、そして現場を彩るアクセサリー

映像だけでなく、音声機材の進化も見逃せない。Saramonicブースでは、クリエイターの機動力を向上させる新製品を目の当たりにした。特に目を奪われたのが新型ワイヤレスマイク「Saramonic Air」だ。送信機2台構成ながら驚くほどコンパクトで、業界最小クラスの極小サイズにラベリアマイク入力まで搭載している拡張性には感心させられた。

また、ワイヤレスインカム「WiTalk 9」の「耐候性」も現場目線で大注目だった。雨天でも故障を恐れずに使用できる信頼感や、マイクブームを跳ね上げるだけのミュート操作など、ユーザーが真に求める「使い勝手」への回答がそこにあった。

こうした膨大なデータを支える足回り、ストレージ技術の進化を提示したのがITGマーケティングによるSamsung SSDブースだ。

読み出し速度約5倍を実現した「microSD Express」もさることながら、驚いたのは最新SSD「9100 PRO 8TB」とThunderbolt 5対応エンクロージャーによる高速転送デモである。371GBもの巨大なNRAWファイルのコピーが、従来の約6分47秒からわずか1分4秒へと短縮された事実は、制作現場における「時間」の概念を変革するポテンシャルを秘めている。

最後に紹介したいのが、撮影現場に彩りと快適さをもたらすユニークな存在、Open Moonだ。「映像制作ツールのスーパーマーケット」を自負する同社のブースでは、機能性とカラーバリエーションを兼ね備えたアクセサリーが並んでいた。

型崩れしにくいデジタルガジェットポーチや、職人の手編みによるカラフルかつ高耐久なストラップ、そして置くだけで使えるシリコン製Tマークなど、現場の細かな課題を解決するアイデアが満載だ。無機質になりがちな機材の中で、視認性と個性を発揮できるツール群は、撮影環境そのものを明るく快適なものにしようとする姿勢が感じられ、多くの来場者の関心を集めていた。