1.22x Expanderが実現する65mmセンサー対応
Cine Gear Expo LA 2026のTokina VISTAブースでまず注目したのは、新たに展示されていた「1.22x Expander(PL-LPL)」である。これはレンズ側のPLマウントをカメラ側のLPLマウントへ変換しながら、イメージサークルを1.22倍へ拡大するアクセサリーだ。


このアクセサリーの狙いは明確である。Tokina Vistaシリーズの公称イメージサークルは46.7mmだが、1.22xエクスパンダーを介することで約60mmまで拡大できる。近年登場が相次ぐ60mm級から65mm級の大型センサーへ対応するために開発された製品である。
特に対象となるのは18mmや25mmといった広角レンズだ。35mm以上の焦点距離については大型センサーでも十分なカバー性能を持つ一方、広角側ではセンサーサイズによって周辺部が不足するケースがある。その不足分を補うために1.22倍という倍率が採用されている。
スタッフによれば、ARRI Alexa 65やBlackmagic URSA Cine 17K 65といった大型センサー機への対応を想定して開発が進められているという。既存のVistaシリーズを活用しながら、大型センサー環境へ適応させるためのアプローチである。
さらに、このエクスパンダーはTokina Vista専用品ではない。後玉の突出量や物理的なクリアランスの確認は必要になるものの、他社製レンズに対してもイメージサークル拡張ツールとして活用できる可能性を持つ。既存のレンズ資産を大型センサー機へ対応させるための選択肢としても位置付けられている。
大型センサー対応について話を聞く中で興味深かったのが、「イメージサークル」と「イルミネーションサークル」の考え方である。
Tokina Vistaシリーズは公称イメージサークルこそ46.7mmとされているが、実際にはその外側まで十分な光量が届く設計となっているという。スタッフによれば、一部の焦点距離ではエクスパンダーを使用しなくても大型センサーへ対応できるケースがあるとのことだ。
カタログスペック上のイメージサークルだけではなく、実際に光が届く範囲であるイルミネーションサークルまで含めて設計されている点が、大型センサー対応の背景にあるという。
VISTA-Cの登場で広がるVISTAシリーズの選択肢
Tokina Vistaシリーズそのものについても改めて確認した。現在のラインアップは18mmから180mmまで計12本の単焦点レンズで構成されており、広角から望遠までを同一シリーズでカバーする。製造は日本国内で行われている。

今回の展示では新たに「VISTA-C」が加わり、従来のノーマルモデルと「VISTA-P」を含めた3つのシリーズ構成となった。
ノーマルモデルが高い解像性能を追求しているのに対し、VISTA-CやVISTA-Pはコーティングや描写特性を調整することで異なるルックを実現している。特に周辺描写やフレア表現に違いを持たせており、作品の方向性に応じて選択できる構成となっている。
また、マウントの柔軟性もVistaシリーズの特徴の一つである。PLやLPLだけでなく、EF、マイクロフォーサーズ、ソニーEマウントなどへ対応しており、マウント部は交換式となっている。さらにフォーカススケールもフィート表示とメートル表示から選択できる。
ブースで対応してくれたTokina Cinema USAのスタッフによれば、こうした柔軟な仕様は世界各地の制作現場から寄せられる要望を反映したものだという。Tokina Cinemaはアメリカやヨーロッパを中心に、日本を含むアジア圏でも展開されており、地域ごとの運用環境に合わせた製品構成を重視している。
今後の展開について尋ねると、新たな焦点距離の追加よりも、既存ラインアップをベースとした特殊仕様やカスタマイズへの関心が高いという。アメリカ市場では特定のプロダクションから独自の描写特性を求められるケースも多く、そうした要望を製品へ反映する機会が増えているとのことだった。

18mmから180mmまでのラインアップを揃えた現在、Tokina Cinemaはレンズそのものの拡充だけでなく、エクスパンダーによる大型センサー対応や描写バリエーションの拡張など、既存資産の活用に重点を置いている。今回の展示からは、すでに確立されたVistaシリーズを軸に、変化する撮影環境へ適応させていく同社の方向性が見えてきた。