完成度の高い製品版として展示されたKinefinityの新型シネマカメラ
Cine Gear Expo LAの会場で熱視線を浴びるKinefinityブース。NAB 2026での披露に続き、注目のフルフレーム6K 3:2 CMOSイメージセンサー搭載シネマカメラ「VISTA」の実機を再度この目で確かめてきた。ブースに展示されていたのは、試作の域を脱した量産仕様の製品版である。実機が放つ質感からは、妥協のない作り込みと製品としての高い完成度が読み取れた。
まず目を引くのは、そのコンパクトなサイズと軽量なボディだ。重量はKineMOUNT仕様、バッテリー非装着時で610gと、シネマカメラとしては非常に軽量な部類に入る。一方で、実際に手に取ると軽さだけではなく、金属製ボディならではの剛性感もしっかりと感じられる。小型軽量ながら実務機としての信頼感を備えた仕上がりである。

筐体には冷却ファンを内蔵しながら、防滴設計も採用している。可動式4インチOLEDスクリーンはバリアングル方式を採用し、さまざまなアングルでの撮影に対応する。

インターフェースも充実しており、フルサイズHDMI(Type A)端子×2、デュアルUSB-C、オーディオ端子を装備するなど、現場で求められる接続性を備えている。ストレージについても内蔵220GB SSDに加え、メディアスロットとしてCFexpress Type Bを利用できる構成となっている。

撮影性能も充実している。フルフレームセンサーによるオープンゲート撮影に対応し、6K 17:9では50fps、4K 17:9では50fps、S35 4K 17:9では100fpsの撮影が可能だ。さらに独自のLOG収録機能「KineLOG」を搭載し、本格的なカラーグレーディングにも対応する。ファインダーの表示も鮮明で、撮影時の視認性は高い。このサイズでフルフレームセンサーの表現力を持ち運べることは、機動力を重視する撮影現場において大きなメリットとなるだろう。
柔軟なKineMOUNTとEマウント対応
レンズマウント設計にもKinefinityらしい柔軟性が見られる。マウントはアクティブEマウント、アクティブPLマウント、KineMOUNTの3種類である。同社独自のKineMOUNTは、アクティブPL、アクティブEF、LPLなどへの交換をユーザー自身で行うことができる。マウント部のネジを外すだけで変更できるため、保有するレンズ資産に合わせて柔軟にシステムを構築できる点は実用性が高い。

Eマウントへの対応も興味深い。ネイティブEマウントモデルではアイリスやフォーカスリングの電子制御が可能で、レンズデータも取得できる。一方、KineMOUNTモデルにアダプター経由でEマウントレンズを装着した場合は電子通信が行われず、マニュアルレンズとしての運用となる。既存のEマウントレンズ資産を積極的に活用したいユーザーにとっては、ネイティブEマウントモデルが有力な選択肢となりそうだ。
また、実機で確認して印象的だったのが、ポジティブロック式のPLレンズマウントを採用している点である。大型のズームレンズを装着した際でも高い固定力が期待でき、マウント部の遊びを抑えることができる。シネマカメラとしての運用を前提に考えられた設計であり、現場での安心感にもつながるポイントだ。

2,000ドルを切る価格が持つインパクト
そして、このカメラの大きな特徴のひとつが価格設定である。通常価格でも2,500ドルを下回る設定となっているが、現在実施中のプロモーションでは1,999ドルで提供されるという。この価格帯でフルフレームシネマカメラを導入できることは、市場においても大きなインパクトを持つだろう。
販売体制についても具体的な説明を受けた。販売は代理店経由で行われ、北米ではB&Hなどの大手販売店へ今月末までに入荷予定だという。ただし初期ロットについては品質管理を重視し、限定的な生産体制を取っている。メーカーによれば、最初の数百台は数週間以内に出荷される見込みだ。
すでに予約は数百台規模に達しているという。バックオーダーによる一定の待ち時間は発生する可能性があるものの、極端な供給不足にはならない見通しだとしている。B&Hへの発注量も多く、市場からの関心の高さがうかがえた。

Kinefinityが提示する新たな選択肢
Kinefinityは、独自システムの構築を着実に進めている。価格・性能・拡張性のバランスに優れた本機は、既存のシネマカメラ市場において、新しい可能性を示す選択肢の一つになりそうだ。今回の展示で感じられたポテンシャルが、実際の撮影現場にどのような変化をもたらすのか。新たな潮流の広がりを期待させる、手応えのある展示であった。