カメラをサポートするモノたち「三脚・カメラサポート」編

昨日に引き続き本日のテーマは、「三脚・カメラサポート」である。三脚やクレーン、ステディカム、カメラや周辺機器の取り付け金具類などをカメラサポートというくくりで取り上げてみた。三脚や雲台などは平和精機工業、ザハトラー、ヴィンテン、ミラーがすでにブースレポートで取り上げられているので、そちらも併せてご覧いただきたい。

Cinetoys社GEARNEX

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CineToys, LLC社のCTO Bret Allen氏

まずは今回のInterBEEで初出展の米CineToys, LLC社のギヤヘッドを最初に取り上げてみよう。Cinetoys社はNAB2009で初出展を果たした新しい会社だ。映画の業界ではARRI GEAR HEADなどが有名だが、何十kgもある35mmシネカメラ用のものであった。GearNexギヤヘッドは、ARRIの何十kgもあるシネカメラ用のものではなく、もう少し軽量なRED ONEなどのデジタルシネマカメラ用に設計されており、価格も大幅に安く(約100万円)なっている。

また、RED ONEのカラーリングに合わせたものとブラックを基調とした2種類が用意されており、オプションで100mm/150mmボールとミッチェルプレートを選択できるようになっている。なお、輸入元が株式会社アスク、販売は株式会社新輝が行う。

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GearNexギヤヘッドの2段切り替え変速機

会場の新輝ブースでCineToys, LLC社のCTO Bret Allen氏にお話しをうかがったところ、「従来の35mmシネカメラからRED ONEのようなローコストで高性能なカメラが出現。ギヤヘッドを始め周辺機器もこうしたカメラにマッチしたモノが求められるようになってきた。そこで開発したのがGearNexギヤヘッドです」

ギヤヘッドは一見簡単に操作できそうに見えるが、油圧式のヘッドのようにパン棒で操作するのではなく、パン/ティルト別々のハンドルを回転して行うようになっている。パンだけ、ティルトだけの独立した操作なら、簡単だが、斜めパンや動く被写体を追っかけるような操作が要求されると2つのハンドルを連携させながら操作するのは、慣れないと大変だ。

「私も助手をやっていたころ、撮影が終わった後練習しました。撮影中は助手に絶対触らせてくれませんでしたから」なにやら30年前の日本の映像業界を彷彿させる話だが、できる人は、下積み時代に人知れず努力しているということだろう。

ブースには幾何学模様やミミズがはったような軌跡が印刷されたポスターが張られており、ギヤヘッドに取り付けたレーザーポインターでその軌跡をなぞるというデモを行っていた。Bret Allen氏が八の字の軌跡をスムースになぞっているのを見て挑戦してみたがかなり難しい。来場者も数人挑戦者がいたが同様な結果であった。「ここにあるポスターとレーザーポインターは練習用にGearNexギヤヘッドに付属します」と笑いながらいっていたので、これは冗談かもしれないが、練習が必要になるのは確かだ。

http://www.cinetoysonline.com/
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GearNexギヤヘッドRED ONEバージョン 練習用のポスター

レーザーポインター用の練習ポスター

平和精機工業

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RS-450やRS-350は脚などを含めたセットの型番

ヘッドはそれぞれRH45,RH35という型番になっている

8月に発売されたLibecの新ラインアップRSシリーズを中心とした出展であった。小型ビデオカメラは、従来業務用や放送用のサブカメラとして使わせていたのだが、最近ではニュースやバラエティのほか、制作用のメインカメラとしても使われだしたことから、こうしたカメラに合わせて、RSシリーズは新たに設計されたものだ。性能や機能をアップさせただけでなく、価格的にもローコスト化した小型ビデオカメラに合わせている。

相反する命題を見事に解決したシリーズといえるが、外観デザインなど機能や性能にかかわりのない部分は、それなりにシンプルになった印象だ。耐寒性や操作フィーリングに優れたグリースの開発のほか、セットに付属するソフトケースまでもが、RSシリーズ用にリファインされている。

同社がいかにこのシリーズに賭けているかがうかがい知れる。現在RSシリーズは8月に発売となったRS-450のほか、InterBEE直前に発売となったRS-350の2機種だが、年明けのNABショーに向けて次のモデルが計画されているほか、RSシリーズにマッチした周辺機器の開発も予定されている。こうした開発に伴い従来のLibicシリーズは順次RSシリーズに置き換わっていくそうである。
http://www.libec.co.jp/

稲田が見つけた優れモノ達

■SECCED

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SECCEDは1997年に設立された中国企業。ご覧の通り大小様々な三脚からクレーンさらには、バッテリーなども手がけている

国内販売は神奈川にある有限会社クレイダーが行っている
http://cradler.shop-pro.jp/

■NINGBO EIMAGE STUDIO EQUIPMENT

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NINGBO EIMAGE STUDIO EQUIPMENTは、中国の企業。安さにびっくりする価格だ。
http://www.eimagevideo.com/

■インテックス

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テックスは機材レンタルの会社だが、姉妹会社にインテックスがあり、こちらは販売を行っている。プロが使うというか職人の道具的なものが多く、ある意味特殊な機材を扱っている。左はハイスピードカメラと通常カメラの2重連。ただ2つ並べただけと言ってしまえばそれまでだが、カメラの位置調節などがちゃんと行えるようになっている。右はAJA Kipro用のカメラ取り付け金具。純正品もあるが、コチラのほうがしっかりしていそう。フォノンが試作したもので、販売は来年になる模様
http://shop.intec-s.jp/

■東通インターナショナル

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東通インターナショナルが扱うヘリコプター用カメラ防振装置CINEFLEX T14。xsys Technologies社との共同開発で、中継車などへも搭載可能。コントローラーで、ズームやフォーカスといったカメラコントロールのほか、パン・ティルトなども可能
http://www.totsu-int.co.jp/

■ElementTechnica

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ElementTechnica社の3D RigsとRED ONE用のアクセサリーをフル装備したもの。西華産業はこうしたRED ONEにまつわる様々な周辺機材を取り扱っているが、どこまで商売になっているのか、不思議な面もある。先行投資だろうか
http://www.technica3d.com/

■cmotion

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cmotion社リモートレンズコントロールシステム。フォーカス、アイリス、ズームなどのリモートシステムだが、手元のコントローラーのディスプレーに数値が出るようになっており、一方的なコントロールではなく双方向通信を行っている。ワイヤレスタイプもあるが、電波法の問題があるので、国内では認可が降りるまで時間がかかるかもしれない。
http://www.cmotion.eu/



稲田出のトレンド100選 その1稲田出のトレンド100選 その3

WRITER PROFILE

稲田出

稲田出

映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。