長らくお付き合いいただいたトレンド百選もいよいよ10回目にして最終回である(まだまだ紹介したいものは多いのだが…!)。最後は、映像になくてはならないオーディオについて紹介しよう。InterBEEのオーディオ出展社は、集音からレコーディング、PA、レコーディングスタジオ用の機器やラジオ、テレビなど実にバラエティーに富んでいるので、ビデオに関連する集音やレコーディング関係の機材を中心に集めてみた。オーディオの業界は、ある意味ビデオより遥かに進んでおり、クォリティーの面では人間の識別能力を超えている。こうした現状で、いかに差別化を図っていくかが課題になっているようだ。
一見時代遅れにも感じるビンテージマイクや真空管を採用したマイクプリなどが新製品として発売されているのは、単なる懐古趣味というより、こうした事情があるようだ。ビデオの業界もある時期を過ぎたら、アナログのベータカムやUマチックなどがビンテージビデオ機器として珍重される時代がくるのだろうか。もしそうした時代が来たとしても、CMやPVなどで、一つの効果として8ミリフィルムを使った映像が今日でも使われているような、一種演出効果でしか使われないような気がする。
アーニス・サウンド・テクノロジーズ
SoundLocusは、バイノーラル音声を独自のデジタル信号処理を行うことで、三次元空間(前後上下左右)の任意の位置に音像を定位・移動させることができるオーサリングソフトウェアで、モノラル、ステレオ音源を初め、サラウンドのマルチチャンネルの音源をバイノーラルにエンコードし、ヘッドホンで3Dサウンドを再現できるソフト。iPodを始めとしたオーディオ機器の普及により、イヤホンやヘッドホンで聞くという視聴形態が半ば当たり前になった昨今では、充分将来性があるといえよう。実際イヤホンやヘッドホンで試聴すると非常にリアルで、目をつぶると極端な話現実との区別がつかないほどだ。SoundLocusは、Windows版のソフトウェアだが、今回Mac版も発表された。なお、サンプルの音源がWeb上に上がっているので、視聴することができる。
http://www.arns.com
ベリンガー・ジャパン
驚異的ともいえるコストパフォーマンスの製品を開発・発売している同社は、数年前からInterBEEに参加しており、放送業務業界にもだいぶ定着したようだ。いまのところ電子楽器や集音機材などオーディオ関連の機材しかラインナップがないが、この勢いだといつビデオ関係の機材を発売してもおかしくないと思うのは私だけだろうか。
12AX7という真空管を搭載したスタジオコンデンサーマイクロホンT-1。専用パワーアダプターなどを含めて¥28,245。
コストパフォーマンスに優れたパワーアンプEPX2000(¥58,695)。電源にスイッチングパワーサプライを採用しており、効果的に高出力を実現しているほか、少ない熱量により大きな放熱器を必要としない構造により、軽量化を達成している。4Ω負荷で650W+650Wの出力が可能。
10chオーディオミキサーXENYX 1002B(¥17,745)。入力は、ファンタム電源対応のモノ×2ch、ステレオ×3chのほかステレオテープチャンネルが1chとなっている。各チャンネルには3バンドEQ、2 つの AUX センドを装備。約3時間のバッテリー駆動が可能。
パワードアクティブモニタースピーカーB1030A(¥37,590)。入力端子として、XLR、6.3mmフォンジャック、RCAコネクターを装備。内蔵パワーアンプは、低音域35W、高音域15W。
http://www.behringer.com
オーディオテクニカ
アクティブリボンマイクAT4080、AT4081は、同社が初めて発売するリボンマイクで、振動板であるリボンをデュアルで搭載している。アクティブ回路を採用しており、+48Vのファンタム電源で駆動可能。
http://www.audio-technica.co.jp
エレクトリ
Neumann社は、1991年SENNHEISER社の傘下に入ったが、製品ラインナップを見る限り独自性は失われていないようだ。ちなみに、マイクハウジングの正面にあるマークの色で種類を識別できるようになっており、紫はトランス出力、赤はトランスレス、黒は真空管、緑はダイナミック、青はデジタル出力となっている。
ダミーヘッド型マイクNeumann KU100
デュアルダイアフラム搭載、無指向性、カーディオイド、双指向性、ハイパーカーディオイド、広角カーディオイドを選択可能なU89i、ノイマン社設立80周年記念モデルTLM67、Neumannの代表的なコンデンサーマイクU87Ai。
MS型ステレオマイクRSM191(左)、バウンダリーレイヤーマイクロフォンGFM132(右)。
ミニチュアマイクロフォンシステムKMシリーズ。
http://www.electori.co.jp/Neumann.htmlhttp://www.electori.co.jp
アストロデザイン
3G対応オーディオモニターAM-3800。3GのHD/SD-SDI信号のエンベデットオーディオをモニタリングすることができるほか、AES3id 入力を搭載しており、5.1ch音声のダウンミックスもモニタリングも可能。LCDモニターでレベル表示やチャンネル設定などができる。
http://www.astrodesign.co.jpフェアライトジャパン
統合型ミキシングコンソールFXシリーズ (Xynergi Constellation)。最大230chのミキシングチャンネル、192オーディオレコーディングトラックの同時再生が可能。7.1chからステレオ、モノまでのフルデジタルミキシングを行うことが可能。
フォステクス カンパニー
マイクプリアンプFM-1(参考出品)。リミッター、バリアブルローカットフィルター、ピーク表示が可能。
http://www.fostex.jpヒビノ
レコーディング用コンデンサーマイクAKG Perception 820 TUBE。ECC83という真空管を搭載したほか、1インチのダイアフラムを2枚採用。真空管のもつ独特の温かくつややかな音質を実現。
ガイコツマイクSHURE Super 55。誰もが何処かで見たことがあるマイク。それもそのはずで、オリジナルは70年ほど前に発売されている。その間多少のデザインは変わったものの、ほぼ同じスタイルを維持している。
DPA 3521DPA社は、測定用マイクロフォンメーカーなどを手がけるB&Kからオーディオ用マイクロホンを製造する会社として独立した会社だ。写真の3521は、4021マイクロホンをステレオペアとして、ノイズや感度、周波数特性の偏差を2dB以内に収めるよう調整したセットもの。
ミニチュアヘッドバンドマイクDPA 4066-B/-F。装着していても外観からはほとんど目立たないマイクロホン。キャスターやイベントのナレーター、ミュージシャンなどに最適。激しい動きにも耐えられるように、ケブラー繊維をケーブル内に織り込み強度をつけ、摩擦に強くねじれにくいポリウレタン製のケーブルジャケットを採用。
DK-Technologies社HD/SDウェーフォームモニターPTO760M/12A、クライアントターミナルPTO700R。背面のスロットにモジュールを装着することで、HD/SDビデオ信号や各種オーディオ信号用に対応可能。4chまでのビデオ信号表示が可能なほか、オーディオ信号のレベルや位相表示ができる。PTO700Rは、リモートコントロールパネルで、本体とは独立した表示も可能。
http://www.hibino-intersound.co.jp/
オタリテック
APHEX SYSTEMS チューブマイク/インストゥルメントアンプModel207D、マスターボイスチャンネルプロセッサーModel 230、デュアルロジックゲート/コンプレッサーModel 240、今回新たにラインナップに加わった8chリモートコントロール・マイクプリアンプModel 188。Model 188は、2 系統の ADAT オプティカル出力(SMUX 対応)を装備、前面パネルでの操作以外にも専用ハードウェアコントローラーや PC/Mac ソフトウェアによるリモートコントロールが可能。
3 ウェイ DSP モニタリングシステムGENELEC 8260A。同軸スピーカーユニットとDCW(Directivity Control Waveguide)を搭載したモニタースピーカーで、DSP ベースのクロスオーバーフィルター、EQ、ディレー、レベルなどの音響補正を含めたオートアライメントが可能
RIEDELデジタルワイヤレスインカムシステムCELLコントローラー/ベースステーションACROBAT CC-8、CELLアンテナCA-6、ワイヤレスベルトパックWB-2
三研マイクロホン
参考出品されたヘッドウォーンマイクロホン。装着していることが外観からほとんど目立たないマイク。
ショトガンマイクロホンCS-2。屋外使用でカゴやジャマーに入れたときのために、ハイブーストスイッチを装備しており、高域成分を補償することで明瞭な音が得られる。ドラマ・バラエティ・映画などの収録や、インタビューやスポーツなどの中継に最適。
http://www.sanken-mic.comシグマシステムエンジニアリング
ポータブルミキサーSS-302 Rex。3chミキサーにレコーディング機能を搭載したもので、記録はCFメモリーカードにされる。単独のミキサーとしても使用できる。
オプティカルジープシステムSS-1036。映像信号や音声信号、インカム回線などを光ファイバーで伝送する装置。実況ブース席と中継車間などを汎用の光カメラケーブルで接続することで、こうした信号を一括伝送できる。
http://www.kamesan.co.jpトモカ電気
TK-4WF は、FOMA携帯電話の通話を4ワイヤーインカムに変換するインターフェースで、移動局の予備用通信装置として使用することができる。
2chリミッター/コンプレッサーCL-202。アタック、リリース、スレッショルド、レシオをCPU制御しているため正確に反応するほか、FET制御のゲインリダクションを採用しているため音質劣化がないという特徴を備えている。
テックス
beachtek 社2chマイクアダプターDXA-5D。キヤノン5D MarkⅡ用に設計されたもので、XLRタイプのマイクを2ch接続できるほか、モニター用のヘッドホンを接続可能。ファンタム電源、ライン入力にも対応している。取り扱いはフォノン。
http://www.beachtek.com/http://www.tec-s.jp
東通インターナショナル
ノンリニア編集システム用オーディオミキサーRENEGADE社Gray328MXE。8バス、32入力のデジタルオーディオミキサーで、ESAMプロトコルにより編集機からコントロールすることが可能。最大入力数32チャンネル8バス出力で、入力はAES/EBU、AES/EBU/SRC付き、アナログ、アナログ+マイク、HD/SD-SDIからシステムに合ったオプションを選択できるほか、入力段にマトリクススイッチャー装備している。
http://www.totsu-int.co.jpゼネラル通商
ZaxcomマルチトラックレコーダーDeva 5.8。8ch入力10トラック記録ができるポータブルオーディオレコーダー。160GBのHDDを内蔵しているほか、DVD-RAM、コンパクトフラッシュへ記録できる。8ch MIC/LINE入力のほか、デジタル入出力を8chずつ装備しているほか、最高10秒のプリレコーディングも可能。また、シーやテイク、ノート、ロールナンバーなどのメタデータを本体のタッチスクリーンや外部キーボードなどから入力できる。
ガンマイク用Rycoteフルウィンドシールドキット4
ステレオ収録用Rycote SシリーズウィンドシールドキットS-330Kit
TRUEシングルチャンネルマイクロフォン/インストルメントプリアンプP-Solo、MS(Mid-Side)デコーダーを搭載した2chマイクプリアンプP2 Analog、1Uラックサイズに8 chのマイクロホンプリアンプを搭載したPrecision8i。
コスミックエンジニアリング
AES/EBU、アナログオーディオモニターSP-PM14。AES/EBUおよびアナログオーディオ入力に対応したオーディオモニターで、4つのアンプとスピーカー、レベルメーターが装備されている。
http://www.cosmic-eng.co.jp/新輝
オーディオモニタースピーカーAMS-5000。ステレオ入力の音声信号をスピーカーでモニタリングできるほか、レベル表示用にVUメーターを装備している。入力レベルを-20dB/-10dB/4dB切り替えできるほか、L・RのPAN(バランス)ボリューム、ヘッドフォンジャックを装備している。
http://www.shinkicorp.co.jpアサカ
半導体HD動画、静止画、音声ファイルAVR-200。記録媒体にフラッシュメモリーを用いた小型HDTV動画/静止画/音声ファイルで、動画(Fill/Key)15 分、静止画(Key付)1400 枚、音声(8ch)15 分の記録再生が可能。CFメモリーカードから直接動画/静止画/音声を送出できるほか、映像・音声の素材データの受け渡しにLAN(Gigabit Ethernet)も標準装備している。
http://www.asaca.co.jp◀ 稲田出のトレンド100選 その9 ● ◀ 稲田出のトレンド100選 その1