大晦日である。2009年最後の[トレンド100選]をお送りする。今回は、趣向を変え「モニター」編である。小型モニターから始まったLCDモニターは、今や2k4kや大型なものまでその活躍の場を広げている。当初、LCDでマスターモニターは不可能といわれていたが、CRTの最後の砦だったこの分野までLCDになってしまった。会場を見ても比較にCRTがおいてあることはあっても、新製品はなくなってしまい、現行製品も次々と製造中止になっている。LCDモニターは、画質的にも機能的にも充実し、様々な製品が発売されている。

アストロデザイン

同社は、パソコンのモニターがマルチシンク化した時代にモニター検査用のシグナルジェネレータを開発していたことから、モニターや映像信号の計測に関しては造詣が深いメーカーと言える。こうした技術を元に、各種モニターや映像機器を開発しており、特に小型LCDモニターに波形モニターやベクトルモニターをビルトインした先駆者と言えるだろう。同社のモニターラインナップは、小型から大型まで多岐にわたるが、今回3G対応のモニターWM-3209と高輝度、広視野角の液晶パネルを採用したDM-3105が目を引いたので取り上げてみた。

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WM-3209は、3G/HD/SD-SDI、DualLink、コンポジットなどの入力に対応した波形表示が可能なLCDモニターで、音声レベルのほか、位相比較、アンシラリーデータ検出機能などをもつ。2つの信号を比較できるコンペアーモードやピクチャーモニターと同等な画質調整機能なども可能。

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DM-3105は、簡易波形表示、簡易ベクトル表示を備えた5インチ小型モニターで、背面にVマウントのバッテリーを装着することができる。また、画質調整および表示機能としてブライトネス調整、コントラスト調整、クロマ調整、マーカー表示といった多様な機能を備えている。入力は、HD/SD-SDIを2系統とコンポジット入力1系統を装備。

http://www.astrodesign.co.jp/

池上通信機

監視用から放送用のマスターモニターまで、同社は従来からモニターには定評のあるメーカーである。LCD時代になっても積極的に商品展開しており、小型なものからマスターモニタークラスのものまで様々なラインナップを揃えている。

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HLM-1711WR/HLM-1510R。SD/HD-SDIのほか、コンポジット入力も可能なマルチフォーマットLCDモニター。HLM-1510Rは、19インチラックでは、高さが6Uとなるため、14型CRTモニターの更新に最適なほか、HLM-1711WRは、19インチラックでの高さが7Uとなるため、15型CRTモニターの更新に最適となっている。

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HLM-1750WRは、優れた動画応答と色再現性の 10bit高精細パネルを採用しており、放送局・プロダクションなど副調整室、中継車などのVE編集をはじめ、マスターモニターとしても運用可能。フルHD(1920×1080)、広視野角(優れた黒再現)、高輝度・高コントラスト(1000:1)といった特徴を持ち、電源はACのほか、外部12V DC、バッテリー(オプション)の3電源に対応できるため、ロケ先でのVE用としても運用可能。

http://www.ikegami.co.jp/

NAMSONG INDUSTRIAL CO., LTD.

30年以上の歴史ある会社ということだが、Webページが無く製品の検索もできない不思議な会社だ。製品自体はアストロデザインの波形、ベクトル表示ができるタイプのものと同様で、なかなか使えそうな感じだ。ただ、国内代理店が無いようで、サポートが心配だ。

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SUPERTRON PMD-9050(上)、PDM-7040(下)。ピクチャー表示の下に、音声レベル、ベクトル、波形などを同時表示可能。HD/SD-SDI入力に対応しており、バッテリーオペレーションも可能。KONICA MINOLTA社のCA-210カラープローブシステムでユーザーが直接色温度などを調整することが可能

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ラックマウント可能なSUPERTRON PMDシリーズ、DMDシリーズ。ピクチャー、波形モニター、ベクトルスコープ、音声モニターの機能を備えており、同時に画面内に配置することができるほか、それぞれ単独表示にすることもできる。入力はHD/SD-SDIで、エンベデッドされたデジタル音声の任意の2chをヘッドホンジャック又は後面出力のジャックから出力、モニターすることが可能。

エルグベンチャー

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6.5インチLCD FULL HDモニターHDM-EV85。アナログコンポジット入力とオプションでアナログコンポジットに対応可能で、電源にソニーのHDVカメラで仕様されている7.2Vバッテリーを装着することができる。三脚取付キットにより簡単に三脚に装着可能。SDIに対応していないが、その分ローコストになっている。D端子やアナログコンポーネント出力を装備した小型ビデオカメラは、結構あるのでこうしたカメラとの組み合わせには最適と言えそうだ

http://www.erg-ventures.co.jp/

パナソニック

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フルハイビジョンプラズマディスプレーTH-85PF12。大画面、高輝度、高コントラストとなるとまだプラズマディスプレーに分があるようで、パナソニックでは右下にあるカメラの紹介を兼ねて出展。コントラスト比40,000:1、6,144階調の表現力をもつほか、オプションのファンクションボードを差し替えることで、多彩な入力に対応出来る

http://panasonic.biz/

ザハトラー

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オートスクリプト(autoscript)は用途に合わせ、数種類のLCD表示部分を揃えており、各種カメラに装着できる。また、オプションでタイム表示やタリー表示などを装着することができる。日本語はもとより、英語のほか数ヶ国語に対応したスクリプト送出ソフトウエアがあり、縦書きにも対応。

http://www.sachtler.co.jp/  

ソニー

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PVM-L3200は、バックライトにワイドCCFLを搭載しており、その他の部分はBVM-Lシリーズをベースに開発。32型フルHD10bitパネル搭載により、入力信号を正確に表示可能なほか、色域は放送規格(EBU、SMPTE-C、ITU-709)に対応している。色域以外の部分は業務用ディスプレーエンジンを搭載しているため、BVM-Lシリーズと同等の色再現、画像処理を達成。

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SRM-L560業務用モニターは、正確な色、正確な画像、高い信頼性といった3要素が重要になるが、SRM-L560はTRIMASTER技術を搭載してこれを達成している。また、広色域ディバイスを使用したカラーマネージメントシステムや高解像度、高階調表示のほか、高精度の信号処理により、高画質と高信頼性を実現している。表示は、フルHDの4倍、QFHD(3840×2160ドット、829万画素)解像度の56型液晶パネルを採用しており、14K/QFHD モード、 2Quad Viewモード、 32K/HD Zoomモードの3種類の表示モードをサポート

http://www.sony.jp/



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