折からの世界的不況のなかエキシビジョン初日の人出はいかがなものかと心配したが、午前中から休日の渋谷を思わせる賑わいを見せている。これを景気が回復していると見る向きもあるが、製品の低価格化が進み必ずしもビデオ業界が活況を呈しているとはいえないようだ。ただ、制作の仕事の数自体の減少はないがコストダウンが急速に進みそれに見合う制作機器が求められているといえよう。
展示会を歩けば見えてくる今年のテーマ
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一時期は長蛇の列をなしたREDもだいぶ落ち着き、サードパーティ製の周辺機器やソリューションを展開
では今年のテーマはどうだろう?会場を賑わし、Keyとなる物を振り返りながら考えてみたい。 昨年は3D一色で、どこのブースでも派手に3Dをアピールしていたが、今年は3D制作もごく当たり前となり、取り立てて3Dを前面に出したデモンストレーションは非常に少なくなった。
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スーパー35mm 8k CMOSイメージセンサーを搭載したソニーデジタルシネマカメラF65
また、DSLRも当たり前の制作機材として受け入れられたようで、そこここで目にはするもののすでに目新しさは無くなってきている。それもそのはずで、APSやスーパー35サイズのイメージャーを採用したビデオカメラがソニーやパナソニックから発売され、すでに軸足はそっちの方向を向いているようである。
こうした大型センサー人気は、浅い被写体深度やボケといった機材の性能といった側面ではなく、描写や絵作りを求めてのことであり、デジタル化によりすでに性能や画質的には充分ということになりそうだ。一方デジタルシネマ系の製品も多くなっているが、劇場用の映画をこれで撮るというより、テレビドラマやCMなどで従来フィルムを使っていた制作がこうした機材を求めており、2kや4k対応したカメラや制作機材が増えている。
効率化が見せる良い意味での縮小化がもたらすもの
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ALPHATRON BROADCAST ELECTRONICSの二眼式一体型3Dカメラ3D-ONE
以前のように、大型の中継車やヘリコプター、送信設備などをそのまま会場に持ち込んでいたメーカーや代理店も少なくなり、野外会場で衛星回線用のパラボラアンテナが見られる程度だ。一方事前にお伝えした様にネットを利用した製品やソフトウェアが増えているようだ。全体としては大きなブースを出すところは少なくなり、小ぶりなブース出展が多くなったといえるだろう。
今年のNABはある意味新たなイノベーションを提供できるような画期的な機材は出尽くした感があり、いかに制作の現場で3Dやデジタルシネマ系機材を使ってワークフローを組み立て、良い意味でコストダウンと生産性の向上を図るという成熟期に入ったといえるだろう。
しかしまだまだ初日である。会場を隈無く歩き、何かを見つけ出したい。
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REDROCK MICROのソニーNEX-FS100用ケージ
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