177社の展示を集めた、Exhibition会場

日本のビッグサイトや、幕張メッセで開催される華やか展示会を想像してしまうと、少し違いを感じる。造作には凝っているものの、比較的小規模なブースが立ち並ぶSIGGRAPHの展示会場。国ごとに数個のテーブルが並んだようなブースもある。参加者の真剣さと、長時間、現場の第一線で活躍している関係者と話し込む様子、ブースの裏で商談が進んでいる様子などがみてとれる。

出展者数は177社。昨年よりも2割ほど増え、各社ともリーマンショック後の落ち込みから回復したかのような、活気のある様相である。例年の傾向として、特に目立った業種は、CG教育を手がける学校のブース、書店/出版社のブース、CGプロダクションのブースの数が多い。さらに最近の傾向としては、三次元プリンタや、モーションキャプチャを扱うブースも多く見られた。

OBLONG:ジェスチャインタフェース
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映画マイノリティーリポートのトムクルーズの操作で一世を風靡した、ジェスチャインタフェースを商品化したもの。マイノリティーリポートのアドバイザーでもあったJohn Underkofflerらが起こした会社で、映画の中の未来のユーザインタフェースが今目の前で実現されている気分になる。手や腕のジェスチャによる操作だけでなく、iPhone/Androidスマートフォンでの操作も想定し、Javaベースのアート系簡易開発環境Processingをベースとした開発環境も整えつつあるそう。
http://oblong.com/

Cubify:超安価な三次元プリンタ
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Cubifyは、1300ドルで販売開始された、安価でありながらも高品質な家庭用三次元プリンタだ。素材はABS樹脂となり、価格が1〜2桁違うプロ用の機器と比べてしまうと、大きさも速度も負けてしまうが、紙のプリンタ程度の価格で三次元プリンタが手に入るのが驚きだ。

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三次元プリンタで制作されたオブジェクトを販売するためのオンラインショップも用意されており、紙のプリントアウトと同様の手軽さで、印刷したり、販売したりする世界が広がってきたことが実感される。
http://cubify.com/

半透明ディスプレイ:SIGONGtech
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韓国ブースの一角に設置されていたSIGONGtechの半透明タッチディスプレイ。半透明のタッチディスプレイの向こう側に実際の模型が、さらにその向こうに通常のディスプレイが設置されている。ARというよりは、博物館などの展示解説機器としての利用を想定しているそうだ。
http://ebookpage.co.kr/down/CT-PDF/SIGGRAPH2012-0605.pdf (PDF直リンク)

Shapeways:三次元プリントサービス
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Shapewaysはデータを送りつけると、三次元プリントした物体を送り返してくれるサービスだ。大きさや素材によって、料金が異なる。オリジナルデザインのコーヒーカップや、世界に一つしかないデザインのアクセサリー、どんな熟練した職人でも加工が不可能な独特の形状や、繰り返しデザインなどが三次元形状化されている。種別によっては金属の粉を焼結して作る金属質のものもある。
http://www.shapeways.com/

求人/求職専門のコーナー:Job Fair

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Job Fairブース群に多くの人が行き来する様子

SIGGRAPH展示会場の奥には、求人/求職専門のコーナ”Job Fair”が設けられている。長テーブルが並ぶ簡素なブースばかりだが、連日、ピーク時には歩けないほどの人のにぎわいであった。ハリウッド映画の特殊効果や、最新のTVCMなどを手がけるCGプロダクションが全部で24社がブースをもうけ、募集職種の説明や、学生や求職中のCGアーティストなどの履歴書やデモリールを受け取ったりしている。求人企業も、求職者も、双方とも真剣なまなざしであった。

最近のJob Fairの特徴としては、勤務地がアメリカの職種ばかりではなく、イギリス、オーストラリア、シンガポールと多岐にわたっていることだ。募集の職種は、ハリウッド的分業体制が反映して、とても細かく分かれた職種が提示されている。求人の条件としては、各社とも経験年数や、絵画や彫刻といった美術の素養、利用できるCGツールの種類などが細かく指定されており、即戦力が求められている場合がほとんどだ。またCGアーティストの他にも、いわゆる機器のセットアップやネットワークの管理などを行うシステムアドミニストレータ、研究開発を行うプログラマなども数は少ないながらも募集されている。

イギリスを拠点とするTVCMに強いプロダクションのThe Millもブースを出展していた。The Millの場合は、仕事によって、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドン各地での勤務が考えられるそう。The Millと同じく、ロンドンを拠点とするプロダクションDouble Negative Visual Effects社は、最近では映画John Carterの特殊効果も手がけ、勢いに乗っているプロダクションのひとつだ。

The Mill作品集(2012年の最新版もあり)
http://www.themill.com/showreels.aspx
The Mill求人要項(経験10年の場合と、経験15年の場合で、紹介ビデオも異なる)
http://www.themill.com/careers/working-at-the-mill.aspx

Double Negative作品集(昨年のもの)
http://www.dneg.com/showreel/
Double Negative求人ビデオ(職場の雰囲気や、働いている人の生の声が聞ける)
http://www.dneg.com/jobs/

txt:安藤幸央 構成:編集部


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WRITER PROFILE

安藤幸央

安藤幸央

無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPHをはじめ、 国内外の映像系イベントを独自の視点で紹介します。