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txt:石川幸宏 構成:編集部
ATOMOS
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年々存在感を増すATOMOSは今回、NINJA ASSASSINの赤、SHOGUN STUDIOの黄色の2色のカラーリングが目立つバナーとデザインが会場内でも大きく目を引いた
年々IBCでも会場外観等の巨大なバナー広告面積を拡大し続けているATOMOS。今回の展示の中心はすでに日本でも発表のあった、SHOGUNのHDMI入出力専用モデルとなるレッドの筐体枠が印象的な4Kレコーダー「NINJA ASSASSIN」。
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NINJA ASSASSIN
NINJA ASSASSINとともにIBC2015では、SHOGUNを2台並列させ、スタジオ使用向けにも便利な3Uのラックマウント仕様にした「SHOGUN STUDIO」を発表。もちろん単に2台をラックマウントしただけではなく、ProResとDNxHDなどのデュアルコーデック記録や4KとHDなどのデュアル解像度記録が可能なことが一番のメリット。そのほか、4K30p、HD1080/60pに対応し、RS422とEthernetを装備。SHOGUN STUDIO内で様々なパターンでの変換収録/出力が可能なことから、単にスタジオ使用向けということだけでなく、イベント映像出力用として、またストリーム映像配信用など、様々な場面で活躍が期待できそうだ。発売は2015年第四半期(10月以降)で、価格は$3,495。
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AJA Video Systems
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ROSS Video社のオープン規格openGearに準拠した製品群を発表したAJA Video Systems
IBC初日の恒例となっているランチタイム・プレスミーティングでは、毎回自らが新製品のプレゼンテーションを行うCEOのNick Rashby氏が、急な体調不良のため欠席(後日無事に回復)となるアクシデントがあったAJAだが、今回のIBC2015でも多くの新しい発表があった。
今春から始まったシネマカメラCIONを無償で多くのユーザーにテスト撮影/制作できる#TryCION企画では、すでに北米では500を超えるユーザーチームがトライしており、現在、日本を含む欧州とアジア圏でも展開中だ。そのCIONのファームウェアも新たにv1.2.1をリリース。多くのバグフィックスとエンコード関連を強化して、IBC開催当日からフリーダウンロード可能になった。またキャプチャーデバイス用のデスクトップ・ソフトウェアもv12.3にバージョンアップ。
また、ROSS Video社が提唱する「openGear」規格に対応した、フレーム及びAJAの新製品「OG-3」に対応した新しいビデオ/オーディオカード製品を発表。openGearは、Ross Video社が開発した様々な端末メーカーに採用されているオープンアーキテクチャのモジュールフレームシステム。今回発表のopenGear準拠の新製品は、1対9のリクロッキング機能付きディストリビューションアンプ「OG-1×9 SDI-DA」、2チャンネルFiber to SDIコンバータ「OG-FIBER-2R」、2チャンネルSDI to FIberコンバータ「OG-FIBER-2T」のカード製品と、これらopenGear規格準拠のカードを20枚挿入できるスロットを備えた、2UサイズのopenGearフレーム「OG-3-FR」。
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さらに注目だったのは、Corbid HEVCだ。CorbidはAJAが提供するデベロッパーパートナー向けに、4KまたはマルチチャンネルHEVCエンコーディングを可能にするビデオカード。4Kの送信コーデックとなるH.265/HEVCのコーデックへのエンコーディングを低レイテンシーで行うことができ、AJA社のデベロッパーパートナーは、同社のSDK(無償提供)でCorvid HEVCをWindowsやLinuxアプリケーションに統合、柔軟性のあるAPIを使って様々な製品開発が行える。またオーディオやメタデータも同様にキャプチャしたり、エンコードされたファイルに含むことも可能だ。
今回のIBCのAJAブースでは、Cisco社のラックマウントサーバーCisco UCSに統合したCorvid HEVCのデモンストレーションが行なわれていた。これまでAutodeskやQuantelなどメジャーなハイエンドNLEシステムにカードを提供してきたAJAがHEVCの世界でも幅を利かせてきそうだ。
AJAのEric Hamilton氏は次のようにコメントしている。
Hamilton氏:HEVCへのエンコーディングは、4K化もしくは8Kへの進展にとって非常に大事な技術で、特に今後15~20年はとても大事なものになると思いますが、新規に開発環境を作るのは大変なことです。しかしこのAJA Corvid HEVCは、AJAのデベロッパーであればこれまでの開発環境を大きく変えずに、HEVCコーデック対応のエンコーダー開発をすぐに始められるのです。
4K60p対応ですし、これまでGPUベースで行っていたエンコードがこの1枚のカードでできるようになることは画期的だと思います。皆さんそろそろこういうものが出て来ないか?と期待していたようで、会場での評判も非常に良いです。
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「Corvid HEVCはこれからの4K、8Kへの道筋に大きな役割を果たすだろう」と語るAJAのEric Hamilton氏
JVCケンウッド
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ツァイスレンズに最新のATOMOS NINJA ASSASSINを付けた完全シネマ仕様のGY-LS300CH
レンズ交換式、4K対応のスーパー35mm CMOSセンサーとマイクロフォーサーズマウントを搭載した、新型カメラGY-LS300CHのデモ展示を中心に展開。装着レンズにあわせて最適なセンサー領域を設定出来るバリアブルスキャンマッピング技術など、JVCのユ二ークな最新技術が詰まったシネマカメラだ。
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IBC2015のJVCケンウッドブースで目立ったのは、IBC2015で提携を発表した、Streamstarとのコラボレーションコーナー。ストリーミング配信ソフトウェアであるStreamstarは、GY-HM650/850/890の各ビデオカメラとのリモートコントロールユニットで連携が可能なウェブキャスト専用のシステムセット。汎用性が高く使いやすいストリーミング配信システムで、直接オンラインチャネルに4つの高品質のビデオストリームをストリーミング配信が可能だ。今回は3ヶ月無償の試用版ウェブキャストLITEのデモと、150時間まで月額無料のクラウドストリーミングプラットフォームのテストができるという。
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JVCケンウッドブース内にコラボレーションとして展示されたストリーミングソリューションのStreamstar。来場者の多さに欧州でのネットライブ配信の人気度合いが窺われた
ケンコー・トキナー
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ケンコー・トキナーのブースには3本の新シネマレンズを展示。特にワイド側に定評のあるTokinaレンズには欧州でも大きな注目が集まっている
CINEMA ATXレンズシリーズの新たなラインナップとして、16-28mm T3.0レンズのソニーEマウントバージョンを発表。α7Sなどでの撮影では筐体に比べてかなり大きいレンズなのでボディバランスが気になるが、MOVCAM等のサポートリグであればレンズのサポートロッドが使用出来る。また11-16mm T3.0レンズはこれまでのキヤノンEF、マイクロフォーサーズマウントに加えて、新たにPLマウントバージョンを発表。しかも筐体の各指標の表示色が一新され、ユーザーからのフィードバックもあり、これまでの赤/黄文字表示から、白/黄緑色の文字色へ変更されている。さらに100mm T2.9のマクロレンズも参考出品。こちらはPL、キヤノンEF、ニコンF、ソニーE、マイクロフォーサーズに対応、指標文字色も新仕様の白/黄緑色となっている。
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その他ブースで気になった製品たち
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Schneider KREUZNACHからは、こちらもソニーEマウント対応のバージョンが発表。α7S II、そしてPXW-FS5の発表もあり、ソニーカメラを取り巻く周辺の盛り上がりが印象的だ
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SGOのブースでは、年末公開のスターウォーズの最新作のカラーグレーディングに採用されている、ハイエンドカラーグレーディングシステムMISTIKAのデモが人気。MISTIKAはすでに、Bad RobotやFotoKemなどのハリウッドのハイエンドポストプロダクションのメインツールとして採用されており、その信頼と認知から多くの人気を集めている
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デスクトップツールとしても欠かせない、tangent社のカラーコレクションサーフェス。これまでIBCにのみ単独ブースで参加しているが今回も最新型サーフェスが参考展示
txt:石川幸宏 構成:編集部
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