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Shureといえば、マイクロホンのメーカーとして毎年NABでも数多くのマイクを出品していたが、今年は新製品としてデジタルワイヤレスマイクロホンAxient Digitalのラインナップを一気に発表し、ブースでも新製品のAxient Digital(日本ではAXT Digital)ワイヤレスマイクロホンでほとんどのスペースが埋められていた。
今回発表されたAxient Digitalワイヤレスマイクロホンシステムで特長的なのは、放送局の取材やバラエティー番組などでよく使われる仕込み用の送信機として超小型なモデルADX1Mがラインナップされていることで、今後の番組制作が変わる可能性を秘めているといっても過言ではない。Axient DigitalワイヤレスマイクロホンシステムにはADシリーズとADXシリーズの2つのラインナップがあり、ADXシリーズ送信機はShowLinkに対応し、すべての送信機パラメーターのリアルタイムコントロールに加え、自動的な干渉検出・回避が可能なシリーズだ。
なお、すでに同社でも会議室用や音楽用など様々なデジタルワイヤレスマイクロホンとしてQLX-DやULX-Dシリーズを発売しているが、充電器やバッテリーなど可能な限り共有できるようになっている。
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新製品についてお話を伺ったプロダクトマネージャーのMichael Johns氏
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ボディパック型送信機ADX1は専用充電池と、別途アダプタを使用することにより単4電池に対応可。マイクコネクターもレモタイプとShureから選択可能
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ADシリーズ(左)とADXシリーズ(右)のボディーパック型送信機。遅延はマイクロホンのトランスデューサーからアナログ出力まで2ミリ秒
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ADXシリーズADX1Mは、同社独自のセルフチューニングアンテナを内蔵しており、仕込んだ時に目立ちにくくかつ装着しやすい
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ハンドマイク型の送信機。マイクカプセル部分は交換可能でKSM9、BETA87、BETA58、SM58、VP68といったハンドマイクとして定評のあるタイプのものが用意されている
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受信機は2chタイプのAD4Dと4chタイプのAD4Qが用意されている。AD4Qは1組のダイバーシティアンテナを異なるゾーンに配置したり、1つのゾーン内のアンテナ数を2倍にすることにより、厳しい環境におけるRF信号のS/N比を改善できるQuadversityモードを搭載している。また、ハイデンシティモードにより、音質を維持しながら同時運用可能な最大チャンネル数を6MHz TV帯域当たり17チャンネルから47チャンネル(または8MHz TV帯域当たり23チャンネルから63チャンネル)に増加させることができる。デジタル出力も装備されておりAESのほかDanteに対応
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充電器SBC200はハンドマイク型パック型の送信機で共通で使用できるほか、バッテリーのみの充電にも対応している。4個まで連結することができるが、電源供給は1系統だけで済むようになっている
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受信状態の管理を行うShure Wireless Workbench。RFレベル、オーディオレベル、干渉検出、ShowLink信号強度などのチャンネルステータスのほか送信機のバッテリー残量や使用可能時間などのチェックも一覧で表示可能
ワイヤレスマイクはアナログの時代が長年続いていたが、地デジへの移行により空いた周波数帯域を携帯電話などの移動体通信と分け合いお互いの住みわけが決まった。それに伴いワイヤレスマイクのデジタル化が進み、当初は遅延などが問題になり普及の足かせになっていたが、そうした問題も次第にクリアされ、最近各社から製品が市場に出てきて現在ではかなり普及しているという。現在ホワイトスペースの帯域以外にも1.2GHz帯もあるが、電波の直進性が強くなるので業務用ではホワイトスペースを利用した帯域のワイヤレスマイクロホンがユーザーに受けがいいようだ。
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