映像関係者なら今すぐ参加を!

いよいよ今年もテキサス州オースティンでSXSW(South by Southwest/サウス・バイ・サウスウエスト:以下SXSW)の季節がやってきた。SXSWは、「Music」、「Interactive」、「Film」と三つのカテゴリーを中心に1000を超えるセッションや展示会から構成されるイベントである。

今年も3月9日から18日まで周辺イベントも含め約2週間という期間で開催中である。その風変わりなイベント名は、映画「North by Northwest」(北北西に進路を取れ)に由来している。オースティンコンベンションセンターを中心に市街のホテルや店舗を巻き込んでの開催で、地元住民も参加してしまう街を挙げての一大イベントとなっている。

日本では「Interactive」部門がよく取り上げられテック関連のイメージが大きいSXSWではあるが、実は「Film」部門が熱いと断言する。さらに他の映画祭よりも!

世界的なインディーズ映画祭で登竜門とされていた「サンダンス映画祭も今や権威化してしまい(良い意味での成長)。それをSXSWが引き継ぎ、その熱い想いや熱狂が繰り広げられている。 なぜインディースからハリウッド大作までSXSWに集うのだろうか?

それは、一重に規模に関わらず映像を愛してやまない人々がこのイベントに参加しているからだ(日本のFilm参加者はまだまだ少ない!今年日本からの作品は3本しかない…)。有名無名を問わずSXSWなら!と参加する人が多いのだ。映画会社や配給会社、機材関連のメーカーや、現場のスタッフなど映像関連に携わる多くの人々がこのオースティンに集っている。

祝・Film部門25周年!全ての見たくなる内容の濃さにうれしい悲鳴

収容人数2000人を超る歴史のあるパラマウントシアター

今年25周年を迎えるFilm部門は、スクリーニング上映と、カンファレンスセッションから構成されている。インディーズ映画からメジャー大作まで数多くの作品が日々公開される。

SXSWがワールドプレミアになるスピルバーグ監督(左)とSXSWFilm部門ディレクターのジャネット女史(右)

2018年も盛りだくさんでワールドプレミア上映が多く、今年のシークレット上映(昨年はT2トレインスポッティング)も、ハリウッドの雄スティーブン・スピルバーグ監督自身が登壇し、新作「Ready Player One」が世界初お披露目された。Film部門25周年として「Ready Player One」のストーリーを絶妙に再現したパーティーも開催された。またウェス・アンダーソン監督の新作「Isle of Dogs |犬ヶ島」もSXSW最終日に上映予定だ。

バリー・ジェンキンス監督は、自分の生い立ちと重ねマイノリティーとしてのポジションと監督業について振り返る内容となった

さらに基調講演には昨年のアカデミー賞受賞作品「Moonlight」バリー・ジェンキンス監督が登壇。SXSWでワールドプレミアされたことも記憶に新しい「π」や「ブラックスワン」のダーレン・アロノフスキー監督も基調講演を行った。

Netflixで旧作がリメイクされ活動の幅が広いスパイク・リー監督は独特の口調で悩める若手監督志望者のQ&Aに多くの時間を割いた

また久々にスパイク・リー監督も新作「Pass Over」を引っさげカンファレンスも行った。

Film部門25周年記念オープニングパーティーは、日本の銃夢のハリウッド版「Alita: Battle Angel(2018冬公開予定)」のオースティン市近郊の撮影スタジオを利用して開催された。「シン・シティ」のロバート・ロドリゲス監督も登壇した。「銃夢」は、ジェームズ・キャメロン監督だあったが、制作総指揮に回り、ロバート・ロドリゲスが監督を務めることになった。

ロバート・ロドリゲス監督スタッフ陣がコメント。トレードマークのテンガロンハットは今回着用していなかった。

スクリーニング後には、長めの質疑応答が開催され、直接監督や出演者と交流するまたとない機会になる。カンファレンスは、映像制作に関わる事ほぼすべてが網羅されている。朝から、深夜までスクリーニングやカリキュラムがびっしりと組まれ、何を選択するか?悩みは尽きない。トレードショーでも機材出展が行われている。「Music」、「Interactive」でも注目すべきものを含め映像にどっぷり浸かる事が出来る「Film部門」を中心に追いかけて行こうと思う。

SXSW2018 Filmでホットな作品たち

■READY PLAYER ONE | Steven Spielberg
■She’s Gotta Have It (Netflix) | Spike LEE
■ISLE OF DOGS「犬ヶ島」 | Wes Anderson
■Alita: Battle Angel(銃夢)| Robert Rodriguez
■Perfect | Steven Soderbergh with music by Flying Lotus

txt・構成:編集部


[SXSW2018] Vol.01

WRITER PROFILE

猪蔵

猪蔵

いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。