帰ってきたぜラスベガス
2年ぶりリアル開催のCES 2022。直近のオミクロン株の流行でPRONEWS編集部(一部)始め日本からの渡航キャンセルの話も多く耳にしながらのラスベガス入りである。CESで出会える「おなじみの」の仲間に会えない寂しさはありつつ、久々のラスベガス現地で開催されるCESに胸躍る。
ラスベガス・マッカラン空港でのCESバッジ受け取り時に早速今までと違うCESに出会った。コロナのワクチン接種証明をみせることAbbott社のコロナ簡易テストキットが手渡された。イベント会期中、体調に異変があった場合は適宜活用するためのものらしいのだが、この提供元のAbbott社は今年ヘルスケア分野では初の基調講演を行うアメリカの医療用医薬品・医療機器メーカーである。100社以上の出展企業がヘルスケア分野から登場するCES 2022のなかでも群を抜いて注目を浴びそうな企業である。空港からAbbott社の存在を大きく感じた。
Google、Twitter、Meta、T-Mobileと名だたる大企業がオミクロン株流行を理由に直前の出展キャンセルの発表をした今年のCESだが、トータルで2,200社の出展が予想されるという。コロナはもちろん怖いがコロナ以降の我々の生活のデジタル化がどのようにCESに反映されているのか楽しみでもある。
1月5日からの本開催を前に、1月3日、メディア向けの「Media Day」が開催された。CES主催CTAによる今年のテックトレンドと本番出展を前に今年の注目プロダクトを紹介する「CES 2022 Unveiled」が開催される。いち早くCES2022の様子をお伝えしたい。当記事では「テックトレンド」を中心に紹介する。
CES主催CTAのスティーブ・コーエン氏が紹介する「テック・トレンド」のなかで私のなかで浮かび上がったキーワードは以下の通りだ(講演を聞いているなかで私の中で出てきたキーワードなのでコーエン氏の発言そのものではないこと、悪しからず)。
- 21世紀型生活へようこそ!レベルアップした生活者たち
- 安さよりも「プレミアム」
- スタートアップが産業のドライバー
21世紀型生活へようこそ!レベルアップした生活者たち
我々はコロナ禍でリモートワークやリモートの授業を余儀なくされたり、外部のイベントやライブに参加できないので家庭内で楽しめるゲームやライブストリーミングサービスを購買するに至った。この状況は世界中で同時多発的に発生し、テクノロジーへの需要や関連製品の販売増加につながった。4K TV、ラップトップコンピューター、ゲーム、フィットネス、そして出前やアマゾンなどの利用増加によるスマートドアベル需要などはコロナ以降所有数が増えている。そしてハードウェアだけではなく、NetflixやAmazon Prime、そしてフィットネスデバイス&サービスのPeloton始めサービスの利用も増加し、しかも継続利用されている。
コロナ以降、一人当たり平均8つほどのサービスをサブスクリプションしているという。特に30代以下においては20以上のサービスをサブスクリプションしているというから驚きだ。私たちは最新のテクノロジーデバイスに囲まれ、そこでサービスを受けることを当たり前にする21世紀型の生活に入り始めた。人々がレベルアップしている、とCTAスティーブ・コーエン氏は語る。確かに、部屋に転がっていたOculus Questを起動回数が増えたり、渡航ができない分海外動向を知りたいとNew York Timesの記事をサブスクリプション始めたり、生鮮食品をデリバーしてもらう回数も増えたり、オンラインヨガのクラス「Alo Moves」を利用開始したり、私自身もテクノロジー・レベルアップしている感覚はある。
デバイスの進化といえば、メディア・デイのセッション会場で、一眼レフよりもiPhone始めスマホで撮影する記者が増えているのもデバイスの進化および我々のレベルアップの証かもしれない。
安さよりもプレミアム
さて、レベルアップした我々生活者に面白い傾向が見られるという。それは「プレミアム」を求める傾向が出てきているという。テクノロジー製品でも著名なブランドの、しかも高級ラインを購入する、という動きだ。例えばSamsungの中でも安い製品群よりも、最上位ラインテレビを購入するというようなものだ。ハードウェアはもちろん、サービスでもプレミアムな体験を求める人が増えているという。コロナ禍で急成長したフィットネススタートアップPelotonがここでも例に出されて語られていた。
ストリーミングサービスではNetflixが圧倒的なのは言わずもがなではあるが、2年前にスタートしたDisney+もかなり検討している。スティーブ・コーエン氏は「スターウォーズのような強力なコンテンツがあるのは大きい。Content is a king」と語る。ハードウェアとサービス、そしてさらに強力なコンテンツがあるとプレミアム体験を求める21世紀型の生活者からの需要が高くなる、というのがスティーブ・コーエンの語るところである。確かに家の中での生活が長くなる分、外出用のブランドの服よりも家庭内のオーディオや映像にこだわる方が感動が大きくなる。
スタートアップが産業のドライバー
CESの見どころの一つが世界中から集まるスタートアップの見本市「エウレカパーク」だ。今年も800社のスタートアップが19ヵ国から参加しているという。コロナにより私たちは新たな社会に突入しているのだが、そのような新たな生活様式・産業形態を生み出すのが、スピード感をもって進んでいけるテクノロジー・スタートアップである。グラフの伸びも前年比205%とかなり顕著な伸びが認められる。
特に、リテールテック、フィンテック、ヘルスケア分野への投資が進んでいるという。確かに、テックトレンドのあとに行われたUnveiledではヘルスケア分野のスタートアップの展示が目立った。スマートフォンでコロナ簡易テストが5分で完了できるイノベーションアワード受賞の「Grapheal」、尿で健康チェックをする「vivoo」、夜泣き赤ちゃんの睡眠管理もする「I’m beside you」、空間を殺菌する「Lod Protect Excloosiva」、マスク生活を快適にするスタートアップなど私たちの安心安全な生活を取り戻すための製品群が目についた。
「必要は発明の母」とはことわざの世界だけではなく、我々が今置かれている状況でも多く感じることができる。そしてそのようなスタートアップ群に多くの投資が行われている状況もとても頼もしい。
大企業が出展キャンセルをしている状況ではあるが、その分スタートアップやヘルスケア分野などの私たちの生活に必要な製品やサービスを提供する企業に注目しながらCES 2022を見て回りたい。PRONEWSからも数名の記者がラスベガスからの報告を行うので楽しみに待ってて欲しい。