キヤノン、FLEX ZOOM LENSシリーズやR5C、122倍ズームレンズなどを展示[NAB2022 Booth]

FLEX ZOOM LENS

一番の注目は、EFシネマレンズラインナップ向けの新しいレンズシリーズ「FLEX ZOOM LENS」だ。同社初の8Kシネマレンズで、フルサイズ・ラージフォーマットセンサー搭載のカメラに対応。20-50mmと45-135mmを展開する。RED MONSTROやC500 markIIなどのフルフレームセンサーをカバーできる。キヤノンのEFシネマレンズシリーズのスタイルと使いやすさを維持しながら、高い光学設計と性能の両方を備えている。広角用に20~50mm、望遠用に45~135mmの焦点距離範囲を備えたズームレンズで、既存の6つのプライム(単焦点)レンズと同じ範囲をカバーする。

フルフレームまたは大判カメラと組み合わせると、カメラの特徴である浅い被写界深度の特徴を十分に活用し、滑らかで自然な背景のぼかしを実現可能。ズーム範囲全体にわたって明るいT2.4を維持し、自然光と暗い環境の両方で撮影できるという。複雑な照明設定の必要性を減らし、より効率的で費用対効果の高いワークフローが可能になるとしている。

EOS R5 C

EOS R5 Cは、8Kフルフレーム、RAW記録、8K30pに対応したR5のシネマバージョンだ。8K RAW収録のカメラメニューは、同社のシネマカメラと同じだという。RFマウントに複数のアダプターを備えており、PLやEFまたはRFマウントのいずれかのレンズを装着可能。

EOS C300 MarkIIIとEOS C500 Mark IIがファームウェアアップでFrame.ioカメラとクラウドの互換性が可能

EOS C300 Mark IIIとEOS C500 Mark IIのファームウェアアップデートを発表。同ファームウェアにより、Frame.io Camera to Cloud(C2C)互換デバイスとして使用可能になる。映画やテレビの制作、ドキュメンタリー、コマーシャルなど、さまざまな制作環境でのクラウドベースのコラボレーションワークフローが実現できるという。

UHD DIGISUPER 122 AF

UHD DIGISUPER 122 AFは、122倍ズームを備えた4K放送用カメラ用の新しいフラッグシップフィールドズームレンズ。

同社4Kブロードキャストカメラ用の新しいフラッグシップフィールドズームレンズで、AFを内蔵したモデルは同社初。高速で高精度の被写体追跡機能を備えたAFを追加することで、没入型の高解像度の撮影が可能に。被写体を追いかけながらズームインすると、自動的にピントが合うため、正確なAFを必要とするスポーツイベント、コンサート、その他の屋内および屋外のイベントなどの4Kでの幅広いニーズに対応する。

PTZカメラWebcamドライバーを無償提供

映像制作用4Kリモートカメラ「CR-N500」「CR-N300」「CR-X300」を対象に、これらをウェブカメラとして活用するためのソフトウエア「Webcam Driver」を2022年6月下旬に無償提供する。Webcam DriverをインストールしたPCからIP接続しているカメラを登録するだけで、ウェブカメラとして使用可能になる。

また、自動検索機能によりIPネットワーク上にあるカメラを簡単に検索できるほか、最大5台まで登録し、用途に応じて複数のカメラを切り替えて活用することも可能だとしている。

PTZカメラプロトコルファームウェアアップデート

映像制作用4Kリモートカメラ「CR-N500」と「CR-N300」向けのファームウェアを2022年8月上旬に無償提供する。リモートプロダクションとバーチャルプロダクションの各分野で広く採用されている「SRTプロトコル」と「FreeDプロトコル」に対応する。

SRTプロトコル」は「Secure Reliable Transport」の略で、「Secure:映像データを暗号化する高いセキュリティー性」「Reliable:パケットロスの再送・リカバリーの仕組みによる信頼性と安定性を確保した確実な映像伝送」「Transport:ネットワーク状態のモニタリングと柔軟で適応性の高いバッファ管理システムにより、ビットレートが不安定な環境でも低遅延で高品質な映像を安定的に配信」の3点を特長とする。

「FreeDプロトコル」は、VR/AR映像の制作時に用いるバーチャルスタジオソフトにおいて広く採用されている。撮影カメラのパン、チルトを含む撮影情報をもとに高品質なVR/AR映像制作を可能になるとしている。

また、初期設定としてMac OSのカメラ検索ツールを発表し、さらに屋内カメラの3Dサポートを追加したという。

AMLOS

AMLOSは、カメラ1台で同じ会議室にいるかのような臨場感の高いオンライン会議を実現できるコラボレーションミーティングソリューション。1台のカメラをミーティングルームに置くだけで、複数のビューをリモートユーザーに届けられるシンプルさが特長だ。リモートユーザーは、ウェブブラウザ上で1ビュー、2ビュー、3ビューモードのいずれかを選択できる。

2ビューモードを選ぶと、動画では資料として表示したホワイトボードを前面に押し出して、裏で画像処理することで文字の判読性を高めているという。3ビューモードではプレゼンターを追従する。

最もユニークな機能が、ジェスチャーによるコントロールだ。アイデアを共有したい時、単純にジェスチャーをするだけでカメラが動き、ジェスチャーで指し示した部分を静止画に切り出し、ハイクオリティな画像をリモートユーザーに届けられるという。

DP-V1830

同社の最新HDR 4Kリファレンス・ディスプレイ「DP-V1830」は、全白・ピーク輝度1000cd/m2、黒輝度0.001cd/m2を実現。HDR映像制作に適したコントラストレンジを提供するという。

DP-V1830は1000cd/m2のピーク輝度を持ち、この素材は1000cd/m2用にグレーディングされているが、その信号の中にある輝度やHDRの表示が可能。また、他の競合ディスプレイと比較して優れた広視野角を実現。斜めから見ても輝度・色の変化が少ない映像表示が可能だという。

従来のマルチ画面表示は、同じ画質設定のみ表示可能だったが、4画面に異なる画質設定できるようになり、1台で異なる4つの映像(HDサイズ)を確認可能。2画面表示時には、波形モニターやベクトルスコープもそれぞれ表示ができるため、撮影現場での利便性が向上する。

また、2022年7月には新ファームウェアをリリース予定。HDR波形、ベクトルスコープ、クルーインテンシティダイアグラム、そしてフレーム輝度モニターなど、複数のツールを組み合わせたもの。フレーム輝度モニターは、画面全体のピーク輝度や平均輝度、時間経過を見ることができ、画像の評価に必要な輝度レベルや色情報を提供するとしている。