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平和精機工業

8割以上のミラーレスカメラユーザーが三脚を所有

ミラーレスカメラユーザーの三脚所有率は筆者の予想よりも高い結果であった。機動力が売りで、手持ち撮影も想定された製品づくり、コンセプトとなっているので、三脚を使わないユーザーや補助で一脚を使うユーザーも多いのではと考えていたが、予想と違った。ミラーレスカメラでも三脚の必要性を感じ、その重要性を理解しているユーザーが多いという結果の表れだろう。

最近のミラーレスカメラには強力な手ブレ補正搭載モデルが増えてきてはいるが、当然ながら、撮影シーンによっては三脚の利用が必須であったり、意図した映像を安定して撮影するには三脚がベターな場合も多い。また、長時間にわたる撮影なら三脚は絶対にあったほうがいいだろう。

Q.ビデオ用の三脚をお持ちですか?

[映像人のカメラ・アクセサリー2022]三脚編説明写真

ミラーレスカメラに限らずビデオ用の三脚は、日本の市場においては昔からSachtler、Vinten、Libec、Manfrottoの4大ブランドが強い。昨今、ビデオグラファーの機材は他のカテゴリーも含めて全体的に中国メーカーが台頭してきている印象があるが、今回のアンケートが表す通り、三脚に関しては昔からの定番ブランドが変わらず支持されているようだ。

今回のミラーレスカメラユーザーの所有ブランドは、Manfrotto、Sachtler、Libecの順で多くの割合を占めていた。Manfrottoが多いのは、ミラーレスカメラユーザーがフォトグラファー出身の方が多いからかもしれない。フォトグラファー向けの三脚定番ブランドと言えば、Manfrotto、Gitzoがまず出てくるだろう。

Q.お持ちのビデオ三脚のメーカー名をお教えください(複数回答可)

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ミラーレス向け三脚選びの重要なポイント

ミラーレスカメラ向けの三脚選びに3つの重要なポイントがある。1つ目は、小型・軽量と剛性のバランスをとることだ。三脚の材質には主にカーボンとアルミの2種類があるが、ワンマン撮影が多い場合は1gでも軽量であることが求められるだろう。価格を気にしないのであればカーボンがオススメではあるが、アルミタイプとの価格差は大きいので予算に応じて取捨選択が必要だ。

また、比較し難いこともあり、あまり議論に上がってこないが、ビデオ用雲台の場合、雲台自身の重さで差が出やすい。雲台はメーカー各社が素材や構造の工夫で軽量化を図っているのでしっかりと見て選びたい。それらを踏まえ、載せるカメラやレンズの重さ、重心高を勘案しながら、雲台や脚部の耐荷重が範囲に入っているかを確認する。そして、出来る限り自重が軽いものを探していく。

注意点としては、比較的軽量なタイプは耐久性やねじれ剛性とトレードオフのものが多いため、樹脂やマグネシウム、チタンといった素材を要所で駆使したり、アルミと他の金属との合金を選択したりと、剛性、耐久性と軽量化がしっかりと計算、工夫されたものであるかを見極める必要がある。ただ、製品ページの説明書きやスペックを見ただけではわからないので、販売店やメーカーのショールームなどで試用して確かめてみるのが望ましい。

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Manfrottoのカーボンファイバー製ツインタイプビデオ三脚「MVTTWINMC(ミッドスプレッダー付属)」(左)、「MVTTWINGC(グラウンドスプレッダー付属)」(右)

2つ目は雲台の動き、つまりパン・チルトの動きのスムーズさが自分の好みに合うかだ。主に特殊グリスの粘性でパンチルトの動きをつくっているオイルフリュード式(油圧式)と、グリスの粘性に頼らず、主に歯車のギアや金属積層ユニット等で動きをつくっている機械式の2タイプがあり、パンチルトの動きそれぞれに特徴がでる。

どちらかというと油圧式を採用しているメーカーや製品が多いと言われているが、最近では製品やシリーズによって油圧式と機械式を使い分けているメーカーも多いようだ。また、メーカー各社、より良い動きを出すために油圧式と機械式それぞれで機構的な改良を加えていて、油圧式と機械式と一概に分けられないものもあるようなので、実際に試してみて使いやすいか、自分の好みに合っているかどうかを是非確かめていただくのが良いだろう。

※編集部註:一部表現を修正しました(07/28.2022)

3つ目はカウンターバランスのスペック確認だ。カウンターバランスとはティルト動作時にカメラが重力によって更に傾こうとする力と、雲台内部のスプリング機構等で発生する水平状態(静態状態)に戻ろうとする力を調整して打ち消すようにしてバランスを取る機能だ。

カウンターバランス機能を使えば、-90度~+90度のティルト角度の範囲(※メーカーや雲台の種類によってカウンタ―バランス機能が使える角度の範囲は違う場合がある)でも、パンバーに力を加えていない状態でもカメラが静止することができる。このカウンターバランス機能は繊細な動きを要求するプロユーザーには必須といって良い。

カウンターバランス機能がないまたは、備わっているが固定のタイプと、カウンターバランスの範囲をダイヤルで切り替えてある程度の範囲でバランスの取れる段階切り替え式のタイプ、バネを縮める方向で絞めこみ、その反発力を利用してカウンターバランスを取る無段階式のタイプといくつかある。

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LibecのHSシリーズはカウンターバランスを無段階調整できる機構を搭載。カウンターバランス調整ツマミを締めると数字の部分が回転する仕組みを採用しているのも特徴としている

カウンターバランスチャート図は縦軸が載せるカメラの重心高を表し、横軸は載せるカメラの重さを表したもので、その重さと重心高の組み合わせで、バランスの取れる数値が違ってくるのだ。カメラボディが高さ方向で長かったり、モニターやレコーダー、マイク、アダプターを付ける予定であれば、重心高が変わるので注意が必要だ。いずれにしてもカウンターバランスチャート図の見方をまずは覚えることが大切だ。

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NX-100Cヘッド部「NH10」のカウンターバランスチャート。5段階の段階式カウンターバランス切替が可能

カウンターバランスの機能の中でも無段階式のタイプが対応範囲が広く、その範囲でリニアにバランスが取れるので大変便利で扱いやすい。ただ、無段階式の雲台は比較的に上位モデルで価格が高い傾向にあるので、ここでも予算と相談になる。映像人であれば、ちょっとの差を追求、こだわっていくべきだと思うので、ぜひパーファクトバランスが取れる無段階式タイプの三脚キットを選んで欲しい。

カウンターバランスの取り方

(01)ヘッドの水平をとる
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(02)カメラを取り付け、ティルトドラグを一番軽くする
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(03)使用するアクセサリーをすべて取り付ける
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(04)スライドプレートを前後に動かし、バランスをとり、スライドプレートロックのつまみを回し、カメラの位置を固定する。
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(05)カウンターバランス調整つまみを回し、カメラが傾く場合はカウンターバランスを強め、跳ね返る場合は弱める
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ミラーレスカメラでもカウンターバランスが得られる三脚登場

カウンターバランスで調整できる重さの範囲は限られる。そこで三脚メーカーは、ヘッド内部のバネや機構設定の設定を変えた複数種類をラインナップしているのが一般的だ。

例えば、LibecのHSシリーズは段階式のカウンターバランス機構を搭載した全4種類のヘッドがあり、一番小さいミラーレス向けはHS-150(カウンターバランス範囲約0.8kg〜2kg)、その次はHS-250(約1.7kg〜4.5kg)、HS-350(約3kg〜7.5kg)、HS-450(約4.5kg〜10.5kg)をラインナップしている。この中でも特に注目したいのは、0.8kg〜2kg対応のHS-150だ。

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ミラーレスカメラや小型一眼レフカメラに最適なLibec「HS-150」

これまでリグを組まずにボディとレンズだけの搭載重量に対応できる三脚は少なかった。そこにLibecはミラーレスカメラの搭載重量に対応する無段階カウンターバランス対応の三脚システムを発売してきた。小型カメラ対応でカーボン脚部や無段階カウンターバランス対応の三脚を選びたいならば、唯一無二の存在といってよさそうだ。

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HS-150ヘッド部「H15」のカウンターバランスチャート

最後に三脚がなぜ必要なのか、ミラーレスを対象としたおすすめブランドや選定ポイントをインタビューしてみたので紹介したい。


平和精機工業
ザハトラーaktiv8T+Flowtechを選ぶ理由

ザハトラーaktiv8T+Flowtechを選んだ理由

田中誠士

1975年兵庫生まれ。2002年に株式会社フルフィルを創業し、グラフィック関連業務の拡張として2010年ごろより映像業界へ携わる。2018年現在、大阪中央区および東京銀座にてフルフィルスタジオを運営し、年間50作品内外の企業系VP制作を行う。昨今では自らシネマトグラファーとして撮影を行い、プロデュースするスタイルでの作品も多く、医療系分野の外資系企業顧客が多い。

私は三脚システムとして、ザハトラーaktiv8TにFlowtech(GS)、スピードロック75CF、Gitzoシステマティック三脚GT2542S(75mmボール仕様)を状況に合わせて組み替えて使っている。

三脚ヘッドは必ずしも「大は小をかねない」ものだが、このaktiv8Tは「大が小を兼ねてしまう」ヘッドだと感じる。ペイロードグラフを見て頂くと分かる通り0〜12kgと軽い機材から中型機材までを広くカバーし、守備範囲が大きいのが魅力だ。よって、ミラーレス機から中型シネマカメラぐらいまではaktiv8Tを使うことが多い。

私の実感としてはシステム重量1kg程度あれば適合し、カウンターバランスも素早く取れる。パン・ティルトの粘りはまさにSachtler品質で素晴らしく、望遠域レンズを装着しても安定したカメラワークができる。

三脚はミラーレス機ではおおむねスピードロック75CFまたはGitzo GT2542Sを、中型程度のシネマカメラではより剛性の高いFlowtech(GS)を組み合わせる場合が多い。カメラ構成によらず、三脚ワークの感覚が常に同じにできる運用が気に入っている。新機構のスピードレベルに慣れると過去に戻れないぐらい快適で、より素早く正確にレベリング操作が可能だ。

横方向から見ることのできる水準器PrismBubbleも逸品で、ハイに上げた時のレベリング作業での威力は絶大だ。脚立に登って水準器を見ることが本当になくなった。

追加でボールコネクタを購入してそれぞれの三脚にプラグを装着したままにしてある。なお、Gitzoシステマティック三脚にはメーカー公式では非対応だが、自己責任で運用している。今のところ大きな問題なく使用できている。

ミラーレス機が中心であれば、aktiv6という選択肢もあるかと思うので、カメラ構成によって6か8かを選べば良いかと思う。スピードロック75CFはすでに販売終了となっているがいつか後継モデルがリリースされることを望む。

Libec HS-250を選ぶ理由

Libec HS-250を選んだ理由

宏哉

のべ100ヶ国の海外ロケを担当。テレビのスポーツ中継から、イベントのネット配信、ドローン空撮など幅広い分野で映像と戯れる。

私がロケなどで使用しているミラーレス一眼カメラはパナソニックのLUMIX GHシリーズ。この春からはその最新モデルとなるDC-GH6を使用している。そのGH6と一緒に使っている三脚システムはLibec HS-250。

雲台H25は完全カウンターバランスを実現しており、脚部はRT30Bにグランドスプレッダを装着している。HS-250はのターゲットとしては、ハンドヘルドカメラ(デジ)や小型のシネマカメラだが、ミラーレス一眼カメラでも重装備仕様で利用する際は、HS-250ぐらいの対応範囲が必要だ。ロケの際は。音声収録に音声マンと音声ミキサーがつくため、専用のXLRユニットのDMW-XLR1を装着する。さらにそのユニットの上に、ATOMOS SHINOBIなどの外部モニターを載せるため、かなり重心が上に上がってしまう。

ここまで重心が上がると、同社三脚でミラーレスカメラをターゲットにしているHS-150では対応しきれない可能性がある。HS-250であれハンドヘルドカメラにも適合するので、フル装備スタイルでミラーレス一眼カメラとハンドヘルドを主に使うカメラマンであれば、HS-250は最適だろう。

ミラーレス一眼カメラに限らないが、まずはしっかりとカウンターバランスが調整できること。ロケでは接写なども多いため、精密なカメラワークを行うためにも、ちゃんとカウンターバランスの調整が行える物を選びたい。また、パン・ティルトのドラッグの重さも重要。私はフリクションの重たい雲台が好きで、最大まで重く調整して接写を行うことが多い。

三脚を使うからには丁寧なワークを意図通り行えることを重視しており、それを実現するためであれば三脚の製品重量は問題にしていない。軽量な三脚というのは持ち運びの面では魅力だが、ワークの精巧さを犠牲にするのであれば、軽さは重要視しない。

特に気に入っているのは、パン・ティルトのドラッグは完全フリーの0から+3段階。従来機種のRH25の2段階よりも細かなドラッグ調整が可能になり、フリクションもより重く調整できる。従来機種以上にパンやティルトのワークが滑らかに意図通りに行えるようになった。料理撮りや商品撮影がスムーズに行えるのは大変に嬉しい。

また、カウンターバランス部分には、設定値の目安となるメーターが新設され、複数のカメラやセッティングを1台の三脚で使い分けたいユーザーには便利になった。またフレキシブルアームなどを取り付けられるアクセサリーポートも備わっており、1/4インチと3/8インチのネジに対応する。

今後の製品展開で希望があるとすれば、さらなるドラッグの多段化やさらにフリクションを重たくしてもらえると嬉しい。また、Libecファンとしては、脚部の進化もお願いしたい。ワンロックで三段脚の伸縮が可能な機構をスマートに実現させたモデルなどを期待している。

Libec HS-450を選ぶ理由

Libec HS-450を選んだ理由

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。

実勢調査コレーダー編説明写真

ミラーレスカメラでの撮影はカメラ本体のみの軽い物からRIGを組んだ重めの物まで多種多様在るが、今回の撮影ではLibecの新製品HS-450を現場投入したのでその様子を紹介しよう。

ミラーレスに限らず全てのカメラに言えることは三脚の耐荷重と実際の荷重はかなり開きがあるのでそれを先ず考えなければならない。メーカーの公式Webページに耐荷重の重心位置がグラフに書かれている物は、そのグラフから荷重バランスを知ることができる。

例えばマンフロットはプレート面での荷重なのでそこから重心位置が上がれば上がった分荷重は増えることになるので、例え2㎏の軽いカメラでも重心位置が5㎝上がっただけで仮想荷重は4㎏になる時もある。三脚とカメラの一番のバランスは自分のカメラの重さと重心位置が何処に在るのかを知ることが大事だ。

パーフェクトバランスの名前の通り動作荷重内ならどんなカメラでもゼロバランスが取れるのが最大の特徴だが、前作のRS450から精度を増し動き出しの微速が更に良くなった。個々の部分の滑らかさが良い三脚とそうでない物との決定的な差だと思う。

ヴィンテン・ハトラーはこの部分が非常にアナログ的に動くがHS-450も同じ位に滑らかに動く。また標準でロングプレートが付属してるのもRIGによって重心位置が大きく変わるシステムには嬉しい。

メーカーへの要望だが、従来の油圧トルクに変わるドラッグシステムを取り入れて欲しい。例えばブラシレスモーターを仕込んだDD(ダイレクトドライブ)システムや小型カメラを仕込んでセミオートで被写体を追い続ける機能等を希望したい。