ミラーレスカメラで本格的な動画撮影を実現できる時代到来
9回にわたる「映像人のカメラ・アクセサリー2022」も今回が最後となる。実勢調査の全体結果から、ミラーレスカメラ使用率の高さや撮影環境の改善が見えてきた。
つい数年前までのミラーレスカメラの動画機能は、発熱の問題や最長30分の記録制限、外部マイク入力の機能不足などの問題に悩まされることがあった。スチルカメラの一機能として発展したため、本格的な映像制作には対応しにくかった。ところが最近ではカメラメーカーも動画機能にかなり力を入れ始めており、30分以上の記録対応や高ビットレートでの記録、AF機能の充実など、環境が整ってきている。
特に2020年以降に発売したミラーレスカメラは、4K、6K、8Kの動画記録モードや4K120Pのハイスピード撮影、RAWの内部記録を備えたシネマカメラ並の仕様をもったカメラの登場が相次いだ。それが民生機の価格帯で買えるのは本当にありがたい。
もちろん、トップエンドのシネマカメラの立ち位置は健在である。16ストップのラチチュードを備えるソニーVENICEシリーズや、17ストップのダイナミックレンジを実現しているARRI ALEXA 35など、この分野も話題に事欠かない。
しかし、そのシネマカメラにも周辺にも面白いトレンドは押し寄せている。FX3を始め、FX6、FX8、VENICE 2をラインナップするソニーの「Cinema Line」シリーズは、まさしくその傾向を示していると言える。
コモディティ化するミラーレスと撮影スタイルの変化
ミラーレスカメラの新製品発表に新鮮な驚きを感じなくなりつつあるのも事実である。ミラーレスカメラの動画機能はコモディティ化が確実に進んでおり、メーカー問わず誰が撮ってもきれいに映る、十分な性能を備えてきている。カメラの最新技術は飽和状態を迎えてきたようにも思える。
特に最近ではiPhoneなどのスマートフォンで動画撮影・編集が可能で、ここまで簡単に動画を撮れるようなると「映像制作って何?」という疑問に直面する。そう考えると、カメラに頼らない見せ方や工夫の勝負になるので、若い世代にもどんどんとチャンスが訪れるのではないだろうか。
PRONEWSでは「映像人カメラ・アクセサリー実勢調査」を今後も定期的に実施・発信していく予定だ。あくまでもこの結果は、2022年現在のものであって数年後にはレガシー化することは言うまでもない。トレンドはすぐ変化するものだから。いつの時代にも対応できる準備をしておきたいところだ。「映像人」は今、何を求め、これから何を求めていくのか?さらにPRONEWSでは追い続けていきたい。今後の展開も期待してほしい。