開催2日前に開催されるプレス向けイベントでテックトレンドセッション。会場はマンダレイベイホテル

CESが始まる前に知っておきたいトレンド

今年もCESが始まる。その年のテクノロジートレンドを一挙見するのに最適な年始のラスベガスイベントである。2023年1月5日〜8日 、ラスベガスとデジタル会場で開催される。CES 2023のテーマは「BE.IN.IT」。様々なグローバル課題を一緒に解決していこうという気持ちが込められている。

COVID-19は未だ収まらず、政情不安はあらゆる大陸でおきており、経済的にもインフレが収束しない、環境問題も意識しなければいけない、そんな時代にテクノロジーを活用して大企業・スタートアップ・行政ともに手を組んでソリューションを生み出していこうじゃないか、というメッセージが「BE. IN. IT」には含まれているようだ。

昨年比で展示スペースが1.5倍、しかも3,100社出展予定のうち、1,000社が新規の出展という。CESを目指している企業が増えていることは、それだけ良いソリューションに出会える確率も高くなっているといえるだろう。さて、今年はどのようなプロダクト達が私達に新たな価値を提供してくれるのだろうか?

早速当記事ではCES主催CTA(Computer Technology Association)がメディア向けテックトレンドセッションで紹介した内容から、新たな価値の兆しが見えるキーワードをお届けしていこう。

「The Metaverse of Things (MoT)」メタバース・オブ・シングス

まずテックトレンドセッション内で会場が一番ざわめいたのがこのキーワードが出たときだ。「メタバースはあなたが想像するよりも早く産業・社会へ浸透している」と壇上のCTA スティーブ・コーニグ氏は、口火を切り、あらゆるサービスがメタバースにつながっていくと語る。

メタバースは「仮想化」と「没入体験」の2軸で発展していくと予想され、「仮想化」の例としてはCES 2023マイクロソフトブースでニューヨークのスタートアップ「TouchCast」がメタバース小売販売のデモを行うという。

また「没入体験」ではVRと香りを組みあわせた「OVR Technology」がデモを行うという。同じく日本のスタートアップ、アロマジョインが世界初の香り映像プラットフォームAromaPlayer®及びデジタル香りデバイスAroma Shooter®のデモをスタートアップエリア EurekaParkで実施するそうだ。「没入体験」には五感ソリューションを提供するスタートアップの存在が多いに気になるところだ。

メタバースはオワコンだ…という言葉は2022年後半に何度も耳にしたのだが、セッションを聞いているとメタバース関連スタートアップにとって朗報多し!とワクワクしてくる。メタバースはエンタメ&ソーシャルが重要視される消費者向けと、作業コラボレーション&ラーニング機能が重要視されるエンタープライズ向け、双方のアプローチでメタバースが発展していくそうだ。スティーブ氏は以下のように語った。

日本にも多く存在するメタバースプレイヤーには是非とも「CESで、メタバース・オブ・シングス(MoT)という 言葉も生まれ、懐疑的になっている場合ではなくソリューションを考えていきましょう!」とポジティブに当テックトレンドの言葉を使ってもらいたいものである。

メタバースは90年初頭の「インターネット」と同じ存在だ。懐疑的な人が多かったが数年後にはインフラとなっていたインターネットと、現在のメタバースは同じ状況である

とCTAスティーブ・コーニグ氏は熱く語っていた。昨年CES 2022のテックトレンドでは一回のみの言及だったメタバースが今年は手厚く語られておりCES/CTAには多くのポジティブな(=ビジネスとして大きく期待できる)メタバース関連ソリューションの情報が届くようになっている証拠なのだろう。

「Screenification」スクリーニフィケーション & 「Features as a services(FaaS)」

PRONEWS読者に嬉しいキーワードとしてはスクリーニフィケーションも挙げられるだろう。これは自動車内に多くのスクリーン(タッチパネル)が採用されていくことを指している。自動運転時代には車内がエンタメ空間になるとは言われて久しいが、改めて当スライドを眺めながらセッションを聞いていると、車内にいるだけで必要情報が入手できる最高のコックピットとなりそうな未来を描くことができる。

また、Features as a servicesフィーチャーズ・アズ・ア・サービスというキーワードも面白い。例えば車内の座席にマッサージ機能をつける、など、車を構成するコンポーネント(座席、空調、音響 etc…)一つひとつをサービス化していくものがFaaSである、という紹介だったのだが、クルマを構成するコンポーネントを自分好みのサービスで調整できる ”レゴ的” なクルマ程ビジネスチャンスが増えそうなニュアンスの言葉がFaaSには含まれている。スマートホーム/IoT統一規格matterのような統一規格もFaaSの目指す先には出てくるのだろうか?気になるところである。

CES 2023ではモビリティ関連はLVCCコンベンションセンターのTechWestに展示されるのだが、展示エリアがソールドアウトになったそうである。それだけ自動車、モビリティ関連のソリューションが多く生まれているという証拠だろう。ソニー✕ホンダの車両もお披露目されるという。モビリティ関連も引き続き注目のプロダクトとして今年も楽しみである。

テックトレンド総括

印象的だったのは全体を通してエンタープライズビジネスおよびサービス・ビジネスへの注力が強調されていた点である。かつてのコンシューマー向けのトレードショーは、エンタープライズビジネスおよびサービスへシフトしていることを強く打ち出していたテックトレンドでもあった。参加者もFortune Global 500のうち323社が参加予定であり、ビジネスを生み出す機能としてもCESは強力なイベントへ様変わりをみせている。