NAB 2025において、複数の企業がThunderboltストレージを展示する中、iodyneは独自性の高いストレージを展示し注目を集めていた。「PRO MINI」は発売が間近に迫っているが、米国の関税問題の影響により、発売時期が若干遅れる見込みである。
iodyneは、ZFSファイルシステムなどのファイルシステム開発に携わっていた人物たちが設立した企業である。同社の主張として、ビデオプロダクションにおけるバックアップ用途で外付けハードディスクなどが広く用いられている現状に対し、長期間保管されたまま利用されず、内容や所在が不明確になりがちである点を指摘している。また、書き込み中にケーブルが抜けるなどした場合、ファイルシステムが破損しデータが読み取り不可能になるリスクが存在することから、これらの課題を包括的に解決することを目指しているという。
PRO MINIは、iodyne Cloudに追加されたフリートマネジメントサービスにより、プロジェクトで使用するPRO MINIおよびPRO DATAのデバイスをグループ化し、遠隔からの集中管理および設定を可能とする。
また、PRO DATAに採用されていた独自のコンテナ技術がPRO MINIにも導入された。これにより、macOS、Windows、Linuxのクロスプラットフォーム環境において、高度なワークフローの実現が期待される。iodyneのコンテナ機能を利用できる初のポータブルドライブとして、データ管理およびワークフロー効率の向上が見込まれる。
「Pro Mini」には2.1インチの電子ペーパーディスプレイが搭載されており、ユーザーは自由に情報を書き込むことができる。例えば、内容の記録やプロジェクトの進捗状況の表示、カメラからの収録時には残りの容量などを表示することが可能である。
「Pro Mini」と「Pro Data」は共に複数のSSDを内蔵し、RAID-6構成を採用している。「Pro Data」は12枚のM.2 SSDを搭載し、RAID-6化されている。「Pro Mini」はSSDチップを8枚内蔵し、同様にRAID構成となっている。容量については、「Pro Mini」が4TBと8TB、「Pro Data」が12TB、24TB、または48TBのモデルがあり、さらに今年は96TBのモデルも発表される予定である。
両モデルとも暗号化機能を備えている。紛失した場合でも第三者が内容を閲覧することはできない。パスワードキーを所持していればアクセス可能であり、コンピューターに接続してパスワードを入力することもできる。
パスキーを相手に送信することで、それを用いてアンロックすることも可能である。さらに、「Pro Mini」にはNFCが搭載されており、パスキーが保存されたiPhoneをかざすことでアンロックが可能となる。ロック操作も同様に行える。加えて、NFCに加え、AppleおよびGoogleのデバイス位置追跡ネットワークと連携可能な、完全に統合された安全なBluetooth信号ビーコンが搭載されている。「探す」アプリを通じてデバイスの位置を常に把握することができる。
紛失時には、デバイスの所在を把握できるだけでなく、遠隔操作による全データ消去も可能である。また、12TBから48TB、あるいは4TBと8TBの容量を持つストレージにおいて、全体を一つの大きなボリュームとして利用するだけでなく、複数の分割されたボリュームとして構成することも可能である。各ボリュームごとにパスワードを設定できるため、異なる用途や複数のユーザーが同一のデバイスを共有することができる。
「Pro Data」には、静粛性の高いファンが3基搭載されており、常時冷却されることで、使用開始後の発熱による速度低下を抑制する。「Pro Mini」はファンレスであるが、強制空冷システムが採用されており、側面の切れ込みから空気を取り込み、短辺から排出する機構により、速度の維持を図っている。
パフォーマンスとして、「Pro Mini」は持続的に2.5GB/秒以上の速度を、「Pro Data」は最大5GB/秒の帯域幅を実現する。「Pro Mini」はThunderboltまたはUSB-Cでの接続に対応しており、AppleのMac OSとWindowsの両環境で使用可能である。
「Pro Data」はThunderboltバスを4つ装備し、計8つのポートを備えている。パススルー接続も可能であるが、そのうち2つのポートを介して1台のコンピューターに接続することで、書き込みおよび読み取り速度を向上させることができる。
