「NAB Show 2025」において、MatroxはSMPTE ST2110/IPMX、AV over IP、クラウド技術を活用した次世代ライブ制作ソリューションを展開した。

世界初のST2110/IPMX対応IP KVM「Matrox Avio2」をはじめ、SRT・JPEG XS・NDIなど複数のIPを同時処理可能なAV over IPゲートウェイ「Matrox Vion(ヴァイオン)」、ST2110/IPMXとベースバンドの変換を担うOver IP変換・伝送デバイス「Matrox ConvertIP」、さらにはマスター設備のクラウド化を実現する「Matrox ORIGIN」など、映像制作のIP・クラウド移行に向けた新たなビジョンを提示した。

近年、MatroxはIPMX対応製品の展開を強化している。IPMXは、AV over IPデバイスとIP KVM間のシームレスな相互運用性を実現するために設計されたオープンな規格である。

SMPTE ST2110などの確立されたプロトコルを基盤としており、さまざまなデバイスやアプリケーション間の互換性を保証することで、ワークフローの効率を高める。低遅延・高品質・標準化された互換性という特性は、放送分野と同じく正確さ、即時性、信頼性が重要視される医療分野などでの広がりも期待されている。

手術映像や画像診断装置からの高解像度映像を低遅延かつ高品質で別室へ伝送する、遠隔医療やリモート診断で活用するなど、幅広い用途を想定している。

展示製品一覧

Matrox Avio2シリーズ

Matrox Avio2シリーズ
Matrox Avio2シリーズ

ST2110/IPMXに対応した高性能IP KVMエクステンダー。映像・音声・USB・シリアル信号を1本の10GbEケーブルで延長できる。ST2110/IPMXネットワーク環境に統合でき、NMOSによる制御に対応する。

ほぼゼロレイテンシーの操作性と4K対応の高画質を両立し、放送設備や制作現場に最適。高い安定性と信頼性により、システム停止が許されない重要業務にも対応可能である。

国内では日本総代理店のジャパンマテリアル株式会社より2025年発売予定。

Matrox Vionシリーズ

Matrox Vionシリーズ
Matrox Vionシリーズ

4K対応のコンパクトなIPビデオゲートウェイで、H.264、HEVC、JPEG XS、NDIなど多様なIPビデオフォーマットのエンコード、デコード、トランスコード、クロスコンバージョンを低遅延でマルチチャンネル処理できる。

ST2110-22、IPMX、SRT、RTSPなどのプロトコルに対応し、NDIからSRTへの変換など柔軟なルーティングが可能。4:4:4 10ビットの高精細映像処理やHDMI/SDI入出力により、ライブ制作やクラウドベースのIPワークフローに最適。

ジャパンマテリアル株式会社より2025年国内発売予定。

Matrox ConvertIPシリーズ

Matrox ConvertIPシリーズ
Matrox ConvertIPシリーズ

ST2110/IPMX対応のIPエンコーダー/デコーダー。HDMI、SDI、HDBaseTなど既存インターフェースと相互変換が可能で、4K映像の低遅延伝送を実現。

JPEG XS対応により高画質圧縮と非圧縮の双方に対応し、NMOS制御やST 2022-7の冗長化構成にも対応。柔軟なIPインフラ構築を支援する。

Matrox Monarch EDGEシリーズ

Matrox Monarch EDGEシリーズ
Matrox Monarch EDGEシリーズ

リモートプロダクション(REMI)や高密度な映像伝送を実現する4K/マルチHD対応のH.264エンコーダー/デコーダー。

最大4系統のHD映像または1系統のUHD 4K60p映像を、10ビット4:2:2の高画質・低遅延で伝送できる。SRT、RTMP、MPEG-2 TS、RTSPなど多様なプロトコルに対応し、クラウドやオンプレミス環境での柔軟な運用が可能。

同時エンコード/デコードに対応し、スタジオと現場間の双方向通信やリターンフィードに最適。コンパクト設計で、タリーやインカム、Genlock同期にも対応し、放送品質のリモート制作を実現できる。

Matrox ORIGINシリーズ

AWSブース スポーツ中継向けのライブクラウドプロダクションのデモに使用されたMatrox ORIGIN
AWSブース スポーツ中継向けのライブクラウドプロダクションのデモに使用されたMatrox ORIGIN

クラウドネイティブに設計されたソフトウェア定義メディアフレームワーク。汎用ITハードウェア上で動作し、非圧縮メディアサービスをIPベースで柔軟に接続・管理可能。

ライブマイグレーション、冗長性、フレーム精度制御に対応し、高信頼な運用を実現する。REST APIやSDKによる統合も可能で、マルチベンダー環境やオンプレミス/クラウドの混在構成においても、次世代放送システムの中核を担う柔軟かつスケーラブルなソリューション。