BIRTVの会場を歩いていて、思わず足が止まった。LAOWAのブースである。超広角やマクロ、プローブレンズなど、「そこを狙ってくるのか」と思わせる独自仕様のレンズで知られるメーカーだが、今回もその方向性は変わっていなかった。

最初に目に入ったのは、高倍率ズームレンズのUltimaシリーズに展示されていた「20-800」という焦点距離表示だった。一瞬見間違えたかと思ったが、本当に20-800mmである。今年4月のNAB 2026でLAOWAブースに展示されていたのは「Ultima 25-600mm」だったが、それとは異なるモデルだ。倍率にすると40倍にもなる。

「これはスーパー35なのか、フルサイズなのか」と聞いてみると、担当者によれば、この20-800mmは8K対応のスーパー35用レンズだという。しかもズーム全域F5.6。「ドロップなしでオールF5.6?」と思わず聞き返してしまった。

放送分野の高倍率ズームではB4マウント製品が多い一方、このレンズはスーパー35向けとして開発しており、映画制作やスタジオ、放送用途を想定しているという。発売も近いとの説明だったが、日本での展開を含め、製品化時の最終仕様については正式な案内を待ちたい。

20mmから800mmまでを40倍でカバーしながら、スーパー35、8K対応、ズーム全域F5.6という仕様。想像していた以上の内容に、その場で思わず「ビッグニュース!」と口にしてしまった。

その横で展示されていたのが、フルフレーム対応の新たな2Xアナモフィックレンズだ。パネルには中国語で「全画幅 / 2X 变形宽银幕镜头」「SA(球面像差)可调」と記載されており、SA(球面収差)を調整できることが大きな特徴となっている。

LAOWAが展開する既存の「Proteus 2X Anamorphic Lens Series」はSuper 35向けだが、今回の展示はフルフレーム対応で、さらにSAを調整できる点が異なる。展示されたレンズには「PROTEUS」の名称が確認でき、35mm、50mm、70mm、100mmの4本が並んでいた。

担当者によると、球面収差を調整することで、背景の光斑やボケの表情を変化させることができるという。高解像度や低収差だけを追求するのではなく、撮影者がレンズ側で描写特性を調整し、作品に合わせたルックを作っていくという発想である。

3本のほか、もう1本はデモ実機に装着中
フルフレーム対応のBOSMA「VEGA H2 6K」との組み合わせ

話を聞いていくと、今回のブースは「民生用」「映画用」「放送・業務用」の3カテゴリーで構成しているという。大型の20-800mmやアナモフィックレンズの展示から少し移動すると、今度はコンパクトなAFレンズが並んでいた。

次に気になったは、すでに展開されている超広角レンズ「LAOWA 10mm f/2.8 Zero-D FF」。さらに開発中のAFレンズとして、「AF 8-15mm F2.8」「AF 35mm F2.8」「AF 7.5mm F2.8」の3本も案内された。8-15mmはLAOWA初のAFズームレンズ、35mmは最大撮影倍率1:1のマクロレンズとして開発されているという。

8-15mmや7.5mmという焦点距離を見ると、AF化を進めながらも、LAOWAが得意としてきた超広角領域へのこだわりは変わっていないことが分かる。操作性を一般的なAFレンズへ近づけながら、焦点距離では独自性を打ち出すという方向性が見えてくる。

さらに案内されたのが、「Laowa Aksen 45mm f/2.8 1-5X Ultra Macro APO」と「Laowa Aksen 17.5mm f/1.7 5-10X Ultra Macro APO」だ。2本を組み合わせることで、等倍から10倍までの高倍率マクロ領域をカバーするシリーズである。

特徴は、倍率を変更してもフォーカスを維持するパーフォーカル設計にある。説明だけでは少し分かりにくかったため、その場で実演してもらった。担当者が被写体にピントを合わせ、そのまま倍率を変えていく。それでも被写体へのフォーカスは維持されており、ここでこのレンズが狙っている使い方がようやく腑に落ちた。

高倍率マクロでは、倍率を変更するたびにフォーカスやカメラ位置、ライティングなどを追い込む必要が生じやすい。Aksenシリーズでは、パーフォーカル設計とインターナルズーム機構によって倍率変更時のフォーカスとワーキングディスタンスを維持し、こうした調整の手間を抑えている。

担当者によると、このシリーズは2026年のCP+でも披露しており、日本のユーザーや業務関係者からも高い関心が寄せられたという。

そして最後に案内されたのが、LAOWAを象徴するプローブレンズだった。細長い鏡筒を生かし、通常のレンズではカメラを置きにくい位置までレンズ先端を入り込ませて撮影できる独特の製品で、広告、映画、商品撮影、特殊撮影など幅広い用途で使われている。

担当者との会話で印象に残ったのは、LAOWAが研究開発とイノベーションを重視し、「市場にまだない仕様」のレンズを作ることを目指しているという説明だった。

今回の展示は、その言葉をそのまま形にしたようなラインナップだった。20-800mmの高倍率ズーム、SAを調整できるフルフレーム対応2Xアナモフィック、超広角を中心としたAFレンズ、高倍率マクロのAksen、そしてプローブレンズ。民生用からシネマ、放送・業務用まで製品領域は広がっているが、既存の定番製品をそのまま追うのではなく、どこかにLAOWAならではの切り口を盛り込む姿勢は共通している。

なかでも今回最も印象に残ったのは、やはり20-800mm F5.6だった。超広角やマクロで知られてきたLAOWAが、シネマだけでなく放送・業務用の大型ズームへも領域を広げようとしていることを象徴する一本に見える。

BIRTVのLAOWAブースは、「次はどこを攻めてくるのか」と思わせる同社らしさを残しながら、その製品領域がこれまで以上に広がっていることを確認できる展示だった。