BIRTVのDeity Microphonesブースで最初に目に入ったのは、いかにも現場向けという雰囲気の4入力/6トラックフィールドレコーダー「Deity PR-4」だ。NAB Show 2026で披露されたモデルで、コンパクトな筐体ながら4入力/6トラック収録に対応し、32-bit Float収録やタイムコード機能まで本体に組み込んでいる。

説明を聞いていて面白かったのは、PR-4を単体のレコーダーとして完結させるのではなく、Deityがタイムコードを軸に撮影現場の機器をつなごうとしているところだ。PR-4は有線のSMPTE LTC/ATCに加えてワイヤレスタイムコードに対応し、Deityのタイムコード対応機器と連携できる。

本体には3.5mmのタイムコード入出力端子「TC I/O」を備えており、カメラへタイムコードを送ることも可能だ。カメラ上にPR-4を載せて運用する場合、レコーダーとは別にタイムコードボックスを追加せず、PR-4からカメラへ接続して同期する構成を組める。音声と映像を同期するために機器やケーブルが増えていく撮影現場を考えると、この一体化は分かりやすい。

側面には3.5mmのタイムコード入出力端子「TC I/O」を搭載

PR-4はカメラへの搭載も意識した設計だ。専用ケージを組み合わせることでカメラリグなどへ固定でき、上部にはマイクなどのアクセサリーをまとめて搭載できる。音声バッグに入れて使うだけのフィールドレコーダーではなく、カメラシステムの一部として組み込む使い方まで想定されている。

電源にはNP-F550バッテリーを使用できる。Deityの公称値では約8.5時間の駆動に対応するほか、USB-CやHirose互換4ピン端子からの給電にも対応しており、長時間の撮影にも組み込みやすい。

もうひとつ気になったのが、カメラへ音声を送りながら、PR-4側では32-bit Floatで素材を残せる点だ。本体は2チャンネルのアナログ出力を備えており、カメラ側へ音声を送りつつ、レコーダー側では後処理の余裕を持った32-bit Float素材を収録できる。現場ですぐに使える音声をカメラ側に残しながら、ポストプロダクション用の素材も別途確保できるわけだ。

左側の2基はInput 1/2のXLR/TRSコンボ入力で、マイク/ライン入力と48Vファンタム電源に対応。右上は12~18Vの外部DC電源入力、右下はInput 3/4の3.5mmステレオ入力

ブースでは新型「PR-2ii」も紹介された。スタッフによると、PR-2iiではマイクプリアンプを刷新し、PR-4と同系統のプリアンプを採用するという。小型レコーダーにもPR-4で採用した技術を展開していく方向性が見えてくる。

新型ポケットレコーダー「Deity PR-2ii」

さらに新しいラベリアマイクも展示されていた。細かな仕様まではその場で確認できなかったが、今回の展示を通して見えてきたのは、Deityがレコーダーやマイクを単品で増やすだけではなく、録音、タイムコード、カメラ接続までをひとつの撮影ワークフローとしてまとめようとしていることだ。

PR-2iiに接続して展示されていたラベリアマイク

撮影現場では、レコーダーやタイムコードボックス、カメラへの音声出力など、必要な機器や接続が増えやすい。PR-4を中心とした今回の展示からは、32-bit Float収録やタイムコード同期といった機能をまとめながら、撮影時の音声システムそのものをシンプルにしようとするDeityの方向性が見えてきた。