Tiltaといえば、カメラケージやリグ、電源まわりのアクセサリーという印象が強い。だが、BIRTVのブースを実際に歩いてみると、そのイメージだけでは収まらない。シネマカメラ向けのリグからスマートフォン、アクションカメラ、フォーカス関連機器、バッテリー、カメラカートまで、とにかく守備範囲が広い。ブースを一周するだけで、Tiltaが現在どこまで撮影現場へ入り込もうとしているのかが見えてくる展示だった。

もっとも注目したのは、ソニーFX5用の新しいカメラケージシステムだ。取材時点ではまだ発売前だったFX5の実機を使った展示である。会場内のほかのブースでもFX5を見かけることはあったが、まだ実機を見る機会が少ない時期だっただけに、目の前にすると「おお!」と思わず足が止まってしまう。

そんなFX5だが、展示されていたのはカメラ本体を囲うケージだけではない。バッテリーを含めた周辺アクセサリーまで組み合わせ、ひとつのシステムとして構成されていた。Tiltaらしいのは、単純にカメラを保護するフレームで終わらず、実際の撮影スタイルに合わせてシステムとして組み上げていくところである。
さらに気になったのが、「Nucleus Auto Focus Adapter(E to PL)」だ。対応するソニー製カメラの位相差AFデータを利用し、Nucleusシリーズのモーターを介してマニュアルのシネマレンズをオートフォーカスで駆動するシステムで、2基のNucleus Nano II Motorを組み合わせたDual Motor Kitも用意されている。展示ではFX5用システムと組み合わせて紹介されていた。もはや単なるケージメーカーというより、「マニュアルレンズや撮影リグを含め、カメラそのものの操作系まで拡張する」という領域に踏み込んでいるのが面白い。

ここまで見てくると、Tiltaの考え方がかなりはっきりしてくる。カメラを買ってそのまま使うのではなく、「このカメラをどう現場仕様に変えるか」を考えたときに必要になるパーツが、ほぼ一式そろっている。ケージ、電源、モーター、操作系を別々の製品として見るよりも、ひとつの撮影システムとして見たほうが理解しやすい。
続いて目を引いたのが、スマートフォン向けの「Khronos」シリーズだ。会場ではiPhone 17シリーズ向けのケース/リグが展示されていたほか、今後登場するスマートフォンに向けた製品についても準備を進めているという。さらにOPPOなど、iPhone以外のスマートフォン向け製品も並んでおり、Tiltaがスマートフォン撮影を本格的なひとつのカテゴリーとして扱っていることがわかる。


単にスマートフォンを保護・固定するケースではなく、レンズやフィルター、グリップ、電源、各種アクセサリーを追加し、「撮影機材」へと変えていくのがTiltaの考え方なのだろう。スマートフォンで撮ることとシネマカメラで撮ることを完全に別ジャンルとして扱うのではなく、その間をリグやアクセサリーでつないでいくという発想だ。
その隣には、小型カメラ向けのアクセサリーも並んでいた。中でも「Osmo Pocket 4P」向けの製品が目を引く。専用ケースやフィルター関連製品などが展開されており、小型カメラに対しても、本格的な撮影リグと同じ発想でアクセサリーを組み合わせていく方向性は一貫している。



さらにブースを進むと、バッテリーをはじめとするカメラ用アクセサリーのエリアへと続く。ブース内は大きくカテゴリーごとに分かれており、アクションカメラ、スマートフォン、カメラ用アクセサリー、バッテリーなどが一続きに展示されていた。カメラ用バッテリーについては完全な新製品というより、各ブランドや機種への対応を継続的に広げているという説明だった。


そしてブースの最後で待っていたのがカメラカートである。ここは個人的にちょっとテンションが上がった。小さなケージやスマートフォンアクセサリーを見ながら歩いてきた最後に、いきなり撮影現場そのものを載せるような大きなカートが出てくる。Tiltaの製品領域の広さをもっともわかりやすく見せていたのは、実はこれかもしれない。

会場担当者によると、このカメラカートは日本でも展開されており、Tiltaの車載撮影システム「Hydra Alien Pro」と組み合わせた運用も想定しているという。レンタルハウスや大規模な撮影現場で、カメラ、リグ、電源、アクセサリー類をまとめて運用するためのベースとして使える構成だ。
Tiltaブースを一周して感じたのは、同社が単に「便利なケージを作るメーカー」ではなくなっていることだ。カメラ本体を中心に、フォーカス、電源、スマートフォン、アクションカメラ、車載撮影、そして現場で機材を運ぶカートまで、撮影の周辺にあるものを次々と自社のシステムへ取り込んでいる。
ひとつひとつの新製品以上に面白かったのは、この広がり方だ。シネマカメラのケージを見た直後にiPhone用リグがあり、その先には小型カメラ向けアクセサリー、最後にはカメラカートがある。一見するとバラバラなのだが、「撮影するために必要なものを拡張する」という視点で見ると、すべてがつながっている。
BIRTVのTiltaブースは、同社が現在どこを目指しているのかをかなり素直に見せる展示だった。カメラの周辺機器を作るメーカーから、撮影現場そのものを組み立てるメーカーへ。その変化を、ブースを歩きながら実感できた取材となった。